三十六人集(西本願寺本)
躬恒集 破り継料紙『天の川(縦)』(清書用臨書用紙)       戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ

三十六人集 破り継料紙 『天の川(縦)』 (躬恒集) 拡大    躬恒集 破り継料紙 『天の川(縦)』 書拡大へ
切継料紙の書手本
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敏行集・装飾料紙(叢雲ぼかし・金銀切箔散し) 
見開き一葉の隈ぼかしに金銀の大切箔と大量のノゲを散らした装飾料紙です。
全体に金銀の花鳥折枝と青草(緑色の葉に緑茶色の穂)が描かれております。

 
 左上側部分
三十六人集 破り継料紙 『天の川(縦)』 (躬恒集) 拡大 
 躬恒集・装飾料紙(破り継)左上側「秋の夜の」部分の拡大です。
花鳥折枝金銀泥袷絵。松枝・草藤・千鳥・萱
   中央やや左部分
三十六人集 破り継料紙 『天の川(縦)』 (躬恒集) 花鳥折枝部分拡大
 躬恒集・装飾料紙(破り継)中央やや左側「雨と降るとも」部分の拡大です。
花鳥折枝金銀泥袷絵。芒・桔梗・萱・紅葉・千鳥
 右側中央付近
三十六人集 破り継料紙 『天の川(縦)』 (躬恒集) 花鳥折枝部分拡大 
躬恒集・装飾料紙(破り継)中央右側「白雲の」部分の拡大です。
花鳥折枝金銀泥袷絵。芒・紅葉・千鳥
 


三十六人集 破り継料紙 『天の川(縦)』 (躬恒集) 拡大 書手本
 躬恒集・装飾料紙(叢雲ぼかし・金銀切箔散し)書手本 縦6寸7分、横1尺5分5厘 第四十紙

歌番号は躬恒集での通し番号                   青色文字は使用字母
466
 あきごとに
  たびゆくかりは しらくもの、

 みちのなかにや 夜をばつぐさむ

467
 すぎがてに のべにきぬべし はなすすき、これかれまねく
      そでとみゆれば

468
 ひとしれぬ ねをやなくらむ あきはぎの、
        はなさくまでに しか
         のおとせぬ



   屏風の
     うた
469
 うちわたり みてをわた
         らむ
      もみぢばの、あめとふるとも
    みづはまさらじ


470
 あきのよの
 ながゐをやせむ はかなくて、
もみの川に ひを
                くらしつつ

471
 風にちる あきのもみぢは のちつひに、
           たきのみづこそ おとし
                  はてけれ



 
466
 安起古登爾
  堂比由久我利盤 之羅久母乃、

 身地乃那可爾也 夜越盤川久佐無

467
 寸幾可天仁 能部爾起奴部之
盤那寸々幾、己礼可礼万禰久
       所弖止身由礼盤

468
 悲止之礼奴 年越也那久良無 安支盤幾乃、
          者那左久末天仁 之加
           乃於止世奴



   屏風乃
     宇太
469
 雲地()多利 見弖乎()多
             羅武
         裳美知盤乃、安免止婦留止母
    見川盤末散良之

470
 安幾能與乃
 那可為乎也世武 盤可那久弖、裳美□乃川二 比乎
                     久良之徒々

471
 風爾知留 安起乃毛美千盤 乃知川比仁、
               多起乃美川己曾 於止之
                          盤天遣礼



「與」は「与」とすることも。  
「爾」は「尓」とすることも。
「礼」は「禮」とすることも。
「弖」は「天」とすることも。
「()」は「〇」で輪(わ)のことを表していると思われますが、該当する漢字がないので「()」で対応しています。

466
毎年秋になると旅立って往く雁は、白雲の中の道であるからこそ(多少なりとも明るく感じて)昼も夜も休まず飛び続けようとしているのだろうか。

夜をば継ぐさむ;夜を日に継ぐ。昼夜兼行の意。昼も夜も休まず続けて物事を行う様。『孟子』の「夜を以て日に継ぐ」から出た言葉。

467
通過しかねて野辺までやって来てしまいましたよ、花薄に誘われてね、まるでこの人あの人を手招きする袖かと見えましたので。

468
人には知られないように(消え入る様に)声に出して泣いていよう、秋萩の花の咲くまでは(牡鹿が女鹿を呼ぶ)鹿の鳴声もしないので。(私の声をかき消す事が出来ないですから。)

469
ずらっと並んでいる見物人の間を舞い散り続ける紅葉葉は、まるで雨の様に降り続けようとも(川の)水が溢れる事は無いよね。

470
秋に夜に長居をするだろうか(否しないだろう、ここに留まることは)儚くて紅葉の川で日がな一日中過ごしながら。(も考えてしまいますよ)
「日を暮らし」の「日を」に長居しない「氷魚」を又、儚い事の例えとして「ひを虫」の「ひを」も掛けている。

 ひ を
氷魚;鮎の稚魚。体が氷の様に透き通っている為。(秋に川で生まれ、その場に留まる事無く海へ下る一年魚。)

ひを虫;カゲロウの類と思われる虫の名前。朝生まれて夕方には死ぬと云われているほどの儚い命。

471
風に散る秋の紅葉はその後遂に滝の水でさへ(紅葉の葉で塞き止められて)音がしなくなって終いましたよ。


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