躬恒集・上下隅ぼかし（全面金銀砂子振）ー三十六人集ー

　　三十六人集（西本願寺本）
躬恒集　上下隅ぼかし『全面金銀砂子振』（清書用臨書用紙）　　　　　

	地を金雲母でｷﾞﾗ引し、唐草柄が色胡粉で施されている為全体的にぎらぎら感が強い様に感じられていますが、何方の上にも墨が乗るように加工が施されておりますので、安心してお使いいただけます。参考写真です唐紙料紙の書手本拡大へ使用字母へ
上下隅ぼかし・全面金銀砂子振（躬恒集）・（半懐紙）
	写真は代用品です。極薄黄茶色具引に白雲母で柄刷りしたもの実物は白雲母でギラ引花唐草の柄を黄土色の胡粉で柄刷りしたもの
上下隅ぼかし・右上側部分（躬恒集）花鳥折枝銀燻銀袷型打枝松・桜草・千鳥・柳
裏面用料紙（表面加工のみ）	原本の第六紙の裏面は具引唐紙丸獅子唐草。（二重丸紋獅子唐草）
上下隅ぼかし・右下部分（躬恒集）花鳥折枝銀燻銀袷型打枝松・千鳥（本清書用臨書用紙は表面加工のみです）

　書手本

上が隅ぼかし（右上左下の上下隅に紫の隈ぼかし）（躬恒集）書手本　縦6寸7分、横1尺5分5厘
第五紙　写真が不鮮明ですみません。文字の参考はこちらをどうぞ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

歌番号は躬恒集での通し番号　　　　　　　　　　　　　　青色文字は使用字母

　　　わかれのうた
44
　かたかけのふねにやのれるしらな
　みの、たつはわびしくおもほゆる
　　　　　　　　　　　　　　　かな

　　　　あめのふるひひとにおくる
45
　ころもでぞけさはぬれたるおもひねに、ゆめぢにさへや
　　　　　　　　　　　　　　　　あめはふるらむ

　　　さうのうた
46
　きみみてはありぬべしやとこころみむ、たたまくをしき
　　からにしきかな

47　
　おほそらをながめぞくらすふくかぜの、こゑはすれども
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　めにもみえねば

48
　いづこなるやまにかあるらむかりがねは、
　おとのほのかにきこえつる哉

49
　かみなつきもみぢのときはやまとにて、
　からくれなゐにみゆるさほやま

50
　おもへどもあひもおもはずおもふ
　とき、おもふ人をやおもはざりける

51
　したひものときしばかりをたのみ
　つつ、たれともしらぬこひをする
　　　　　　　　　　　　　かな

52
　おふれどもこまもすさ
　めずあやめぐさ、かりにもひと
　のこぬがわびしさ

　　　和可礼乃宇太
44
　閑太可計能不年爾也乃礼留之良那須
　三乃、多川盤和比之久於裳本遊留
　　　　　　　　　　　　　　　可那

　　　　安女乃不留比悲止仁於久ル

45　　　　　　　　　　　　　　　　　乃
　己呂裳弖曾遣左盤奴礼多留於毛比年爾、由女知爾佐部也
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　安女盤不留良武

　　　左宇乃宇太

46
　幾美々天盤安利奴部之也止己々呂身武、太々万久遠之幾
　　閑良爾之支可那

47
　於保所良遠那可女所久良寸不久可世乃、己衛盤寸礼止毛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　女爾母美盈年盤

48
　以川己那留也満爾可安留良無可利可年盤、
　於止乃本乃可爾幾己衣川留哉

49
　閑美那川支毛身地乃止支盤也万止爾天、
　加良久礼那為爾身遊留左本也満

50
　於裳部止毛　安比毛於毛者寸　於母不
　止幾於毛婦人越也　於裳波左利計ル

51
　志多飛母乃止起之者可利遠多乃美
　川々、多礼止毛之羅奴古比遠寸留
　　　　　　　　　　　　　可那

52
　於婦礼止母己万母寸左
　女寸安也免久左、可利仁毛比止
　乃己奴可王比之左

「个」は「介」とすることも。　○・□は脱字と思われる部分、〇は「み」□は「美」の抜け落ちか。
「爾」は「尓」とすることも。
「弖」は「天」とすることも。
「與」は「与」とすることも。

44
片帆を掛けた小舟に乗っていると、立つ白波さえもより侘しく思われてきますよ。(順風満帆ではなく不完全な自分自身と照らし合わせて、そこに立つ白波がより侘しさを掻き立ててしまう。と云う哀愁を詠んだ歌)

45
衣の袖が今朝濡れているのはあの人の事を思って寝ていたからで、夢路にさへも如何してか雨は降ってくるものなのですね。

夢路；夢の中で行き通う道。（現実ではないはずの道、にも関わらず現実に袖が濡れているという矛盾の驚き。）

らむ；現在起っていることの理由・原因・場所などを、疑念を込めて推量する意に用いる。

46
貴方を見ては有るはずも無いだろうと思いながらも（手に入れることを）試してみたくなる、（衣服を作る為に布を）裁断しようとすることさへ惜しく思われる唐錦（の様な存在）であることよ。

唐錦；唐織の錦。舶来の錦で、紅色の混ざった美しい模様。山の紅葉に例えられる。

47
大空を毎度々眺めながら暮していますよ、幽かに噂は聞こえて来ますけれども、実際に目にしたことが無いので。（それがどうだかなんて、何とも言えませんね。）

48
何処とも知れないどこかの山に在るというらしい雁金の、その鐘の音がぼんやりと幽かにでも聞こえてしまったかな。
（雁は不老不死の仙境である常世に棲む鳥と考えられていた。遂に私にも雁金の音が聞こえたのかな、ひょっとして仙人に成れるのだろうかな.）

49
神無月である10月の山々が紅葉の時には大和では、それこそ唐紅に見えるほどの美しい佐保山ですよ。

佐保山；歌枕。奈良市北西部にある奈良山の一部で、紅葉の名所。

50
（誰かが私の事を）思っているのに（私はその人を）思わない、ましてや（私が貴方の事を）思う時には貴方は（私の事など）思わなくて当然であろう。
或は、
私が思っているのに貴方は思ってくれず、貴方が思う時、私は貴方の事を思わないのだろうか（否、そんなことは無い）

51
下紐の解ける事ばかりを願いながら、未だ何方とも分からない恋でもするかな。（古には、人に恋されたり、恋人に会えたりする前兆として、下紐が解けるという俗信が有った。）

52
御触れを出しても馬ももてはやすでもない菖蒲草よ、（私は悪魔では無いにもかかわらず）いささかも人の訪れない程の侘しいことよ。（菖蒲は端午の節句に軒に挿したり身に付けたりして魔除けにするもの。その菖蒲を「刈にも人の来ない」と掛けている。寂しくて心細く、つまらない心情を歌ったもの。）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ージ

	地を金雲母でｷﾞﾗ引し、唐草柄が色胡粉で施されている為全体的にぎらぎら感が強い様に感じられていますが、何方の上にも墨が乗るように加工が施されておりますので、安心してお使いいただけます。参考写真です唐紙料紙の書手本拡大へ使用字母へ
上下隅ぼかし・全面金銀砂子振（躬恒集）・（半懐紙）
	写真は代用品です。極薄黄茶色具引に白雲母で柄刷りしたもの実物は白雲母でギラ引花唐草の柄を黄土色の胡粉で柄刷りしたもの
上下隅ぼかし・右上側部分（躬恒集）花鳥折枝銀燻銀袷型打枝松・桜草・千鳥・柳
裏面用料紙（表面加工のみ）	原本の第六紙の裏面は具引唐紙丸獅子唐草。（二重丸紋獅子唐草）
上下隅ぼかし・右下部分（躬恒集）花鳥折枝銀燻銀袷型打枝松・千鳥（本清書用臨書用紙は表面加工のみです）