大字朗詠集切(大字和漢朗詠集切)和漢朗詠集 巻上 氷  戻る 大字朗詠集切 一覧へ
    本鳥の子紙(薄茶色)5寸5分×8寸2分
字粒が他の和漢朗詠集の物よりも大きく書かれており、字間・行間も大らかである。表面は高野切同様の加工で染の雲母振り。
料紙は雲母振りの染紙。


薄茶色

『大字朗詠』 大字和漢朗詠集切 断簡 
14.0cmx25.2cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。



         漢詩・かな                                
水色文字は使用時母

389
  胡塞誰能全
使節、呼池還恐

        雪消氷亦静
  臣忠。 相規


390
  やまかはの みぎはまされる はる

  かぜに、たにのこほりは けふや

  とくらむ 



   

  こさい       
 胡塞には誰か能く使ひの節を全うせむ、
 
    かへ
 呼池には還って臣の忠を失はむことを

 恐る。 雪消えて氷も亦静か  源相規



 
也末可波乃 美支者末左禮留 波留

 加勢爾、堂爾乃己保利波 遣不也

 東久良無。







胡塞には誰か能く使節を全うせむ、呼池には還って恐る臣忠を失はむことを。





山川の汀益される春風に、谷の氷は今日や解くらむ。(紀貫之)








漢字の意味の通じるものは漢字で表記
一行は一行に、繰返しは仮名で表記

 こさい
胡塞;塞外の胡国の土地、北方の夷の国。転じて未開の土地

 こ ち
呼池胡地のことか?

みぎは  
汀;水際。

みぎはま
汀益される;
涙がとめどもなく流れることの喩え。

汀優れる;際立って優れていること。



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