大字朗詠集切(大字和漢朗詠集切)和漢朗詠集 巻下 山寺  戻る 大字朗詠集切 一覧へ
    本鳥の子紙(薄茶色)5寸5分×8寸2分
字粒が他の和漢朗詠集の物よりも大きく書かれており、字間・行間も大らかである。表面は高野切同様の加工で染の雲母振り。
料紙は雲母振りの染紙。


薄茶色

『大字朗詠』 大字和漢朗詠集切 断簡 
14.0cmx25.2cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。



         漢詩・かな                                
水色文字は使用時母

584
  泉飛雨洗
聲聞夢、葉落風吹

  相秋。 相如


585
  おほてらの いりあひのかねの おと

  ことに、けふもくれぬと きくぞ

  かなしき 



   

          しゃうもん
 泉飛んでは雨聲聞の夢を洗ふ、
          しきさう
 葉落ちては風色相の秋を吹く。
                    高丘相如



 
於保天良乃 以利安比乃可年能 於止

 己東爾、个不毛具禮奴止 支久楚

 可奈之支







御寺の入相の鐘の音毎に、今日も暮れぬと聞くぞ悲しき。


参考(御物朗詠、伊予切、近江本の各和漢朗詠)
山寺の入相の鐘の声毎に、今日も暮れぬと聞くぞ悲しき。










漢字の意味の通じるものは漢字で表記
一行は一行に、繰返しは仮名で表記

しょうもん
聲聞;仏の説法を聞いて悟りを得る人。元々は仏弟子を意味したが、後世自らの利(阿羅漢)のみを求める小乗の修行者として大乗仏教から批判されるようになった。

 しきそう
色相肉眼で見える姿かたち。現象界の物質的存在。

いりあい  かね
入相の鐘;晩鐘。日暮れに寺でつく鐘の音。

おほてら(おてら)
御寺;
寺の丁寧語。「おほむ寺」の約語、「おほ寺」か。





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