伊勢集(石山切)  具引白『金砂子振』(清書用臨書用紙)     戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ 戻る 『伊勢集』  一覧へ

伊勢集第二紙及び第三紙料紙の裏面で、白具引紙『花鳥折枝金銀袷型打』の部分の清書用臨書用紙になります。伊勢集そのものには裏面にも歌が書かれておりますが、その裏面用の料紙になります。(料紙そのものは表面のみの加工ですので表面のみの使用と御承知おきください。裏面にも墨入れをすることは可能ですが、裏面を使用するには力量が必要となります。)裏面の歌の臨書をご希望の場合には具引唐紙『丸唐草』の柄(第二紙料紙又は第三紙料紙)をご利用下さい。

伊勢集 具引白 『金砂子振』 花鳥折枝金銀袷型打 拡大  伊勢集 具引白 『金砂子振』 書拡大へ
白具引料紙の書手本
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    伊勢集
 第二紙・三紙裏面
 具引白 『金砂子振』 花鳥折枝金銀袷型打 (半懐紙)
原本では白具引唐紙『丸唐草』の裏面となる部分の料紙です。(実際に墨入れが有りますので裏面を料紙として興したものになります。)伊勢集では右項と左項に多少の色の違いが御座いますが、この料紙では他の部分にも代用できるよう染め分けはしておりません。
    伊勢集 書



伊勢集 具引白 『金砂子振』 拡大 花鳥折枝金銀袷型打 
 右上側部分 花鳥折枝金銀袷型打  
白具引に金砂子振り花鳥折枝を施したものです。
ススキ、柳、紅葉、松葉、蔓竜胆、蕨、千鳥、蝶々。
 伊勢集 書


伊勢集 具引白 『金砂子振』 拡大 
判り辛いですが、金銀で一つの柄になっております。  
 左下側部分 具引白 花鳥折枝金銀袷型打
白具引に金砂子振り花鳥折枝を施したものです。
柳、紅葉、松葉、萩、千鳥、蝶々。
 


伊勢集 具引白 花鳥折枝金銀袷型打 書手本 拡大  解説及び使用字母


伊勢集 具引白 『金砂子振』 書拡大へ
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 伊勢集 具引白 書 縦6寸7分、横1尺5分5厘 (第二紙・第三紙裏面)
 両面加工の料紙を使用して綴じた帖です(裏面同士) 前項は丸唐草(白雲母)次項も丸唐草(黄雲母)。

歌番号は伊勢集での通し番号                            青色文字は
使用字母            解釈(現代語訳)

   十一日ばかりなりけり。このてらのさま

   はくものなかよりたきはおつるやうに

   みゆ山の人のいへといふはいたうと

   しへていはのうへにこけやへむしたり

   みしらぬ心ちにいとかなしう物のみ

   あはれにおぼえて、なみだはたき

   におとらずはしのもとにしばし

   あるにいとくらうなりぬ。雨やふらん

   とすらんとも、なる人といふ法師はら

   雪ぞふらんといふほどにいみじうおほ

   きなるゆきかきくらしふれば人々歌

   よまむといふにこのまうでたる人

 たちぬはぬ きぬきし人も なきものを

 なにやまひめの ぬのさらすらん

   とよみたりければさらにこと人

   よますなりにけり。いまはみにいでて

   こしへといふ所にやどりぬかのみてら

   (のあはれなりしをおもひいでて)



    十一日者可利奈利希利。己能天良能左万

    者久毛乃奈可與利太支波於川留也宇爾

    美由山能人乃以部止以不者以太宇登

    志部天以者能宇部爾己計也部武之太利

    美志良奴心遅仁以止可那之宇物之三

    安者禮爾於保衣天奈美太者多支

    耳於止良寸八之能毛止仁志者之

    安流爾以止久良宇奈利奴雨也不良无

    止寸良无止毛那留人止以不法師者良
    
    雪所不良无止以不本止爾以三之宇於本

    幾那留由支可支久良之不禮者人々歌

    與万武止以不爾己能末宇天太類人


 堂遅奴者奴 支奴支之人毛 奈支毛乃越

 奈爾也万比免乃 奴能左良須良无

    止與美堂利希禮者、左良仁己止人

    與万寸奈利爾希利。以末波美爾以天々

    己之部止以布所二也止利奴可能美天良

    (能安者禮奈利之乎於毛比以天々)


「礼」は「禮」とすることも。
「與」は「与」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。

         現代語訳                          解釈      解説及び使用字母

   (大和の国に三ヶ月ほど居りまして
   竜門と云う寺に参詣しておりました)
   正月十一日頃の事です。この寺の様子は
   雲の中より滝が落ちるかの如くに見え、
   山の人の家というのは大変な年月を
   経ているようで、岩の上には苔まで生えておりました。
   見たことも無い有様に心ざわついているので、ひどく悲しくなって
   物だけなのが寂しそうに思われて涙は滝に
   劣らず(溢れ出て)そこ(流れ落ちる発端の元)に暫くの間
   あったのですが、 (どうなるのかと)大変心配になってしまいました。
   雨が降ろうとしているのかも、なる人と云う法師(が言うには)、
   原雪が降るのかもと云う程に大変な
   大雪で辺り一面を暗くして降れば、人々が歌でも
   詠もうかと云うので、ここに参詣した人、

7
「裁ち縫はぬ衣着し人も無きものを、なに山姫の布晒すらむ」
裁断したり縫ったりしない着物を着た(仙人の様な)人もいないのに、どうして山姫は布を晒しているのでしょう。

或は「支」を「爾」と読んだ場合
裁断したり縫ったりしない着物を着た(仙人の様な)人も何物だと云うのでしょうか、どうして山姫は布を晒しているのでしょう。


   と読んでいたので更に別の人も
   読まれた。今では外見に現れて(俗世に現れて)
   越辺と云う所に暮らすこととなってしまった。あのお寺の
   (しみじみとした情趣であったのを思い出して)



















7
(幽谷(憂国)の谷に見える滝を、晒した布に見立てて詠んだ歌。山の女神は何故に、あのように滝を流しているのでしょう。)との意。

  
裁ち縫はぬ;布を断って着物などに縫うことのない。「ぬ」は打消しの助動詞「ず」の連体形。
きぬ          
衣;着物、衣服。また、衣冠の装束。直衣の下に重ね着する衣。或いはここでは絹か?

山姫;山を守り、山を司る女神。
ぬの
布;葛、麻などの繊維で織った織物。古には絹に対しての呼び名とも。

何物=実態の判らない事象

巳に出て;南南東の方角に離れて




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  解説及び使用字母
 伊勢集 具引白 書 縦6寸7分、横1尺5分5厘 (第二紙・第三紙裏面)
 両面加工の料紙を使用して綴じた帖です(裏面同士) 前項は丸唐草(白雲母)次項も丸唐草(黄雲母)。