伊勢集（石山切）具引染（薄ﾍﾞｰｼﾞｭ）

　　　　
伊勢集(石山切)　具引染紙　（清書用臨書用紙）　　　　　　　　　　　　

伊勢集第一紙及び第二紙料紙の裏面で、白具引紙『花鳥折枝金銀袷型打』の部分の清書用臨書用紙になります。伊勢集そのものには裏面にも歌が書かれておりますが、その裏面用の料紙になります。（料紙そのものは表面のみの加工ですので表面のみの使用と御承知おきください。裏面にも墨入れをすることは可能ですが、裏面を使用するには力量が必要となります。）裏面の歌の臨書をご希望の場合には具引唐紙『丸獅子唐草』（第一紙料紙）又は『丸唐草』（第二紙料紙）の柄をご利用下さい。

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具引染　極薄ﾍﾞｰｼﾞｭ（白）　花鳥折枝金銀袷型打　第二紙料紙の裏面料紙となります。

	花鳥折枝金銀袷型打（千鳥・蝶々・蕨・蔓竜胆）
花鳥折枝金銀袷型打部分　光を当てて強調してあります。　　金と銀で一つの柄になるように作ってあります。	伊勢集　書
	花鳥折枝金銀袷型打（陰での見え方）（紅葉・松枝・千鳥・蝶々）
花鳥折枝陰部分　（具引染　薄ﾍﾞｰｼﾞｭ）左側半分は地色部分も陰の為、灰色っぽく映っております。

解説及び使用字母へ

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伊勢集　書　縦6寸7分、横1尺5分5厘　前項具引唐紙『丸獅子唐草』（第一紙）と次項『丸唐草』（第二紙）の裏面です。

歌番号は伊勢集での通し番号　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　青色文字は使用字母　　　　　　　　　　　　　解釈（現代語訳）へ

　　　おもへとさるべきすくせにこそあらめ

　　　わかき人たのみかたくぞあるやとそい

　　　ひけるとしぶるほどにその時の大将

　　　のむこになりにけり。おやききてさればよ

　　　とおもひけり。をんな、かぎりなくはつか

　　　しとおもふほどにこのをとこのもと

　　　より、をとこのおやのいへは五条わたり

　　　なるにきて、かきのもみぢにかくかき

　　　つけたり。

1
　ひとすまずあれたるやどをきてみれば

　いまぞこのはは錦おりける

　　　をんないと心うき物からあはれにお

　　　ぼえければ
2
　なみださへしぐれにそへてふるさとは

　もみぢのいろもこさぞまされる

　　　とかきて、ねずみもちにつけてやりける。

　　　なが月ばかりのことなるべし。をとこも

　　（みてかぎりなくめでけり。・・・）

　　　於毛部止左類部支春久世仁己所安良女

　　　和可支人太乃三可太久楚安流也止所以

　　　比希類止之婦類保止爾楚能時乃大将

　　　能武己爾奈利爾希利。於也支々天左禮者與

　　　止於毛比遣利乎无那、可支利奈久者川可

　　　志止於毛婦保止爾己能遠止己能毛登

　　　與利、乎止己能於也能以部者五条和太利

　　　奈流二幾天、可支能毛美遅仁可久可支

　　　川希太利。

1
　比止春万須安禮多留也止乎幾天美禮葉

　以末所己能者々錦於利希流

　　　遠无那以止心宇支物可良安者禮爾於

　　　保衣希禮八
2
　奈美太左部志久禮爾所遍天不留左止波

　毛美遅能以呂毛己左所万左禮留

　　　止可支天、禰寸三毛遅仁川希天也利計留。

　　　奈可月者可利能己止那留部之乎止己母

　　　（美天可支利奈久女天希利。・・・）

「禮」は「礼」とすることも。
「與」は「与」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。
「禰」は「祢」とすることも。
（　）は次項にあり

　　　　　　　　　　　　　　　　　現代語訳　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　解釈　　　　　　　　　　解説及び使用字母へ

　　　考えておきなさいよと、きっとそうなるべき宿命であったのだろう
　　　（という事にして）。
　　　（男性は）若い人は頼みごとが容易ではない（=頼りない）
　　　と思いますよと口添えされるとためらいながらもその時の大将
　　　（近衛府の長官）の婿になったのであった。両親はそのことを聞いて
　　　思った通りだと憂慮なされた。女性は大変恥ずかしい思いで
　　　この男性（次官）の下（住居）より、
　　　男性の両親の屋敷のある五条辺りに来て、
　　　柿の木の紅く色付いた葉にこの様に書き付けたのであった。

1
「人住まず荒れたる宿を来てみれば、今ぞ木の葉は錦織ける」
人が住まなくなり荒れ果ててしまった屋敷を訪ねてみれば、ちょうど今柿の木の葉が（色とりどりの）紅葉に色付いた処ですよ。

　　　女性のことがたいそう辛そうであるので悲哀に満ちた感情に
　　　思われてきて

2
「涙さへ時雨に添えて故郷は、紅葉の色も濃さぞ勝れる」
（貴女の）悲しみの涙さへも（冷たい）時雨に付け加える事で故郷は、さぞかし紅葉の色もその濃さを増すことでしょう。

　　　と書いて鼠黐（和女貞）に付けて遣わした。
　　　確か9月頃の事であったのでしょう。
　　　男性も見られてその美しさを何時までも褒め称えておられた。

　　　（鼠黐に付けてお届けしたのは
　　　”何時までも貞操を続けるお積もりですか”
　　　との意を込めての事）

1
（まるで今、我が身の内なる紅潮を隠すかの思いで詠んだ歌とも取れる）

柿の葉に文（歌）を書きて遣しける＝葉書（柿の紅葉に歌を書く。風流ですね。）
はがき；紙片一葉にしたためた文章の遣り取り、またその紙片のこと。明治十六年頃から
いまそこのはは；、「今ぞ木の葉は」か或いは「今、其処の葉は」ともとれるが。

物から；形式名詞「もの」に格助詞「から」の付いた形。逆説又は順接の確定条件を表す。ここでは順接。…だから。…なので。

2
（紅葉は冷たい時雨が降る毎に鮮やかに色濃く移り変わって行くもの。女性の涙さへ付け加える事で更に色深くなる事でしょう。と女性を気遣いつつ風流に詠んだ歌）

「ふるさと」は「故郷」と冷たい時雨の「降る里」との掛詞。
ねずみもち
鼠黐；モクセイ科の常緑低木関東以南に自生する。庭木や生垣として植栽してきた。葉は椿に似て光沢がある。初夏、枝先に円錐花序を出して漏斗状の白色小花を密生させる。果実は熟すと紫黒色で、乾燥した核果は和女貞と呼ばれる生薬で利尿・滋養・強壮等に使用される。
ながつき
長月；陰暦9月の異称。

なるべし；…であるに違いない。断定の助動詞「なり」の連体形「なる」に推量の助動詞「べし」の付いたもの。

　ページ

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	花鳥折枝金銀袷型打（千鳥・蝶々・蕨・蔓竜胆）
花鳥折枝金銀袷型打部分　光を当てて強調してあります。　　金と銀で一つの柄になるように作ってあります。	伊勢集　書
	花鳥折枝金銀袷型打（陰での見え方）（紅葉・松枝・千鳥・蝶々）
花鳥折枝陰部分　（具引染　薄ﾍﾞｰｼﾞｭ）左側半分は地色部分も陰の為、灰色っぽく映っております。