小島切 斎宮女御集(緞子表紙)         戻る 小島切 一覧へ 
    鳥の子紙(薄茶色)5寸4分5厘×7寸2分5厘
こちらは、唯一残されていた前田家零本の摸本です。薄目の薄茶色の見返し料紙は表裏に有り、いずれも金銀中小切箔銀砂子銀ノゲです。見返し料紙を除く、両面加工の料紙二葉を粘葉綴じにした冊子です。即ち項数にして8項分です。裏面は高野切同様の加工で、表面には更に一葉につき三か所の飛雲を施してあります。
写真右側は表側の見返し料紙です。左側は雲母振りの染紙(飛雲料紙の裏側)です。


薄茶色

『小島切』 斎宮女御集 (見返し料紙)前田家旧蔵零本の摸本
33cmx22cm
実際よりもやや淡く映っております。薄茶色の雲母振り染紙です。(一項目) 
前田家旧蔵本の見返しとは、金銀彩の施し方が異なっております。(前田家旧蔵本は霞雲風の飛雲)
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。

 
                                        見返し料紙
                                          (前田家旧蔵本の金銀彩加工とは異なります)

                                        金銀中小切箔銀砂子銀ノゲ散し
                                        金の切箔は僅かで、殆ど銀を使用しています。
                                        銀砂子は磨出し用のものが撒いてあり、柄は出されておりません。
                                        銀の焼けがかなり進行しております。


         かな                              使用字母

 くるもいさや とどこほりつつ

    ひろはたの宮のあるまじきよにすみ

    たまて、ひさしうきこえたまはねば
169
 よのほかの いはほのなかに すむひとも、わするるほど

 は あらじとぞ思ふ

    もとならはしたてまつる人、道のくに

    へくだるに、さうずくたまふとて
171
 わかれなん ことはことにて 行くすゑの、まつふく

 かぜを いつかきくべき

 久流止以散也 東々己本利川々

   比呂波多乃宮乃安留万之支與爾須美

   多万天、日散之宇支己盈多末八年者

 
與乃本可乃 以者保乃奈可爾 春无比止无、和春留々本止

 者 阿良之止曾思婦

   毛止奈良者之堂弖末川留人、道乃久爾

   部久多留爾、散宇寸久多末不止天

 
和可礼奈无 己止波己止仁弖 行久須恵乃、末川不久

 可世遠 以川可幾久部支

 一項目

漢字の意味の通じるものは漢字で表記
一行は一行に、繰返しは仮名で表記

一段低くなっているのは詞書

みち くに
道の国;陸奥。

さうず
装束く;装束を着る。

(歌番号は三十六人集中の斎宮女御集での通し番号)
 来るもいさや滞りつつ

   広幡の宮の有るまじき世に住み給て、久しう聞こえ給はねば
169
 世の他の巌の中に住む人も、忘るる程は非じとぞ思ふ。

   元習はし奉る人、陸奥国へ下るに、装束く給ふとて
171
 判れなん琴は琴にて行く末の、松吹く風をいつか聞くべき。


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