香紙切 (巻第九 賀 断簡)           戻る 香紙切 へ 
    丁子染紙(素色或は薄香色)
こちらの色は、未晒しの繊維そのものの色の様にも見えますが元々は淡色の香染で、長年の変化により褪色、或は脱色した物と思われます。
素色は『しろいろ』と読みますが、未晒しの繊維其の物の色、薄香色とは、香色を更に薄くしたような色で、有るか無いかの程度の色。そこはかとなく丁子の香りのするような色のこと。


素色
(しろいろ)
香紙切 麗花集 巻第九 賀 (素色) 解説へ11.5cmx20.9cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。

          かな
         使用時母         現代語訳へ



  しの、ふたばのまつの 千よにこそみめ


       右大臣のうたあはせに

           ゆげのよし時

  君がよの ためしにたてる まつのけに

  いくたびみづの すまむとすらん








 
志乃、不多者乃末川能 千與爾己曾美免


        右大臣乃宇多安者世爾

            由希乃與之時

 君可與乃 多免之爾多天流 末徒乃希爾

 以久多日美徒乃 春末无止寸良无





 
          現代語訳
           解説        使用字母へ

 しの、双葉の松の千代にこそみめ

若い小松の寿命の如く千年の先をこそ見るべきであろう。

      右大臣の歌合に

             弓削嘉時

 君が代の例に立てる松のけに、幾度水のすまむとすらん

君が御代の先例に倣って立てている門松に、何度となく水が澄み渡る様に心の迷い無く何度でもこの地に住むとしよう。



上の句は不明
双葉;物事の初めの時。又、幼少の時を喩える語。


松のけに;「け」は「木」、或は「異」。門松のことか。

すまむ;「澄まむ」と「住まむ」とにかけたもの。

澄む;濁りが無く透明になる。曇りが無く清らかになる。
又、心の迷いが去る。


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東京国立博物館蔵