世中そむく人のおほかるころ女御
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みる人の そむきはてぬる 世中に
ふるのやしろの みをいかにせむ
雪いたくひごろふりてきえがてに
ふるにひろはたのみやより
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おもひいでぬ ころふるゆきは したにのみ
ともまつまにぞ とどこほりける
わづらひたまふころにて
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あわゆきの けぬばかりにて ふるほども
とふやとまつに かかるなりけり
もろともにくだり給すずかやまにて
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よにふれば 又もこえけり すずか山
むかしのいまに なるにやあるらむ
みやの御かへり
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すずかやま しづのおだまき もろともに
ふるにはまさる ことなかりけり
大殿みそぎにとかや
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おほよどの うらたつ
なみの かへらすは
かはらぬ松の いろを
みましや
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世中所武久人乃於保可留己呂女御
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美類人乃 曾武支者天奴留 世中爾
布留乃也志路乃 美遠以可爾世武
雪以堂久飛己呂不利天幾衣可天二
布留爾比呂者堂乃美也與利
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於毛比以天奴 己呂不留由支者 之堂仁乃三
東毛万川末仁曾 登々己本利遣流
和川良比堂万婦己呂爾天
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安者由支能 希奴者可利爾天 布留本止无
東不也止万川爾 可々流奈利希梨
毛呂止无爾久多利給春々可也万爾天
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與仁布連波 又毛己要希利 寸々加山
武可之乃以末仁 奈留爾也安留良无
美也乃御可部利
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春々可也末 之徒乃遠堂万支 毛路止无爾
布流爾者万佐留 己止奈可利遣利
大殿美所支爾東可也
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於保與止能 宇良堂徒
奈三乃 可遍良須盤
可者良奴松乃 以呂越
美末之也
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