装飾料紙　『源氏物語絵巻』詞書　『東屋』詞書二

装飾料紙　源氏物語　絵巻詞書　半懐紙（８寸2分5厘×1尺２寸)　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あづまや　ことばがき
　雁皮製　中色染ぼかし　金銀切箔ノゲ砂子振　『東屋』詞書二　
この料紙は源氏物語のような料紙に書きたいという書家の声を聞き、廉価で保存性もある料紙を制作することとした物です。
源氏物語絵巻54帖の中より代表的且つ代用可能な個所１０項を選び、比較的見る機会の多い木版本復刻版よりもやや明るめの色で仕上ておりますので、源氏物語の臨書のみならず､独自の作品の清書にも利用していただけるものと思います。

源氏物語絵巻の部分抜粋になります。　

写真をクリックすると部分拡大が御覧に為れます。東屋・詞書二　　　


左上側部分	右上側部分

左下側部分	右下側部分

この部分の料紙

かな
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中色染の燻銀色飛雲ぼかしと隈ぼかしを施した装飾料紙です。更に金銀大小切箔砂子ノゲを散らし、金銀のちぎり箔風に金銀泥摺りを施した料紙になります。全体には淡色での後染ですが、淡色の隈染ぼかしとなっております。ほぼ全面に金銀の砂子切箔を施し、大小の切箔等を振り分けております。手作りになりますので雲の形や位置及び金銀箔は一枚一枚異なります。同じものは出来ませんのでご了承ください。実際の見え具合は手に取ると艶も感じられて雲ももう少しハッキリ見えるように為ります。
源氏物語絵巻用料紙として作成されたものですが、一般の金銀彩装飾料紙としてもご利用頂けます。

源氏物語絵巻
東屋・詞書二

半懐紙
写真をクリックすると部分拡大が御覧に為れます。東屋・詞書二　右上側部分

	東屋・詞書二　右上側部分かな使用字母へ
東屋・詞書二　右上側部分銀ボカシを飛雲のように施して金銀大小切箔砂子が全体に鏤められております。飛雲を見易く写すために光を弱くしていますので金銀が渋く色を失ったように映っております。ご心配なく、手にして頂ければちゃんと輝いて見えます。	東屋全・詞書二
東屋・詞書二　右下側部分	東屋・詞書二　右下側部分かな使用字母へ
東屋・詞書二　右下側部分銀ボカシを飛雲のように施して金銀大小切箔砂子が全体に鏤められております。飛雲を見易く写すために光を弱くしていますので金銀が渋く色を失ったように映っております。ご心配なく、手にして頂ければちゃんと輝いて見えます。	東屋全・詞書二
東屋・詞書二　左上側部分	東屋・詞書二　左上側部分かな使用字母へ
東屋・詞書二　左上側部分銀ボカシを飛雲のように施して金銀大小切箔砂子が全体に鏤められております。飛雲を見易く写すために光を弱くしていますので金銀が渋く色を失ったように映っております。ご心配なく、手にして頂ければちゃんと輝いて見えます。	東屋全・詞書二
東屋・詞書二　左下側部分	東屋・詞書二　左下側部分かな使用字母へ
東屋・詞書二　左下側部分銀ボカシを飛雲のように施して金銀大小切箔砂子が全体に鏤められております。飛雲を見易く写すために光を弱くしていますので金銀が渋く色を失ったように映っております。ご心配なく、手にして頂ければちゃんと輝いて見えます。	東屋全・詞書二
東屋・詞書二　　代用臨書用紙	東屋・詞書二臨書用料紙この部分の料紙詳細（旧作版）へリメイク版へ
東屋・詞書二　　この部分の代用臨書用料紙　写真が少しボケてしまい見え辛いですが、ご了承下さい。	東屋全・詞書二

源氏物語風料紙としての使用の他に、通常の料紙としてもご利用になれます。
資料館にて、雁皮製1冊25850円(税込)、1枚2970円(税込)でお譲り致しております。本年の追加作成になりますが数に限りがございますので、お越しの際にはお問合せ下さいます様お願い致します。尚、本鳥の子製は1冊37400円(税込)となります。

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東屋・詞書二　　　　　　かな　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　使用字母　　　　　　　　現代語訳へ

ものが　たり、いとなつかしうしたまひて、れいならぬと　ころなど、なおもひなしたまひそ。女ひめぎみの　おはせずなりにしのち、わすらるるよなきに、いと　よく、おもひよそへらるるおほむさまをみれば、いと　あはれに、なぐさむ心も、いとあはれになん。おもふ　人はさらになきみに、むかしのおほむこころざし　なきやうにおぼさば、いとうれしくなんなど、か　たらひたまへば、いとものつつみして、またひなびた　る心のいらへ、きこゆべきこともなくて、としごろ、　いとはるかにのみ、おもひきこえさせしに。かく　みたてまつるは、なにごともなぐさむここちして　なん、とばかり、いとわかびたるこゑにしていふ。　ゑなど、とりいでさせたまひて、右近にことばよ　ませてみたまふに、ものはぢも、えしあへず、心　をいれてみたまふに、ほかげさらにこそとみゆ　　　　　　　　　　か　るところなく、こま〇にをかしげなり。ひたゐ　つき、まみのおほどかにかをりたるここちする。　ただ、おもひいでらるれば、ゑはめもとまらず、　それとのみ、いとあはれなるひとのかたちかな。さ　て、かくしもありけるならん。こみやににたて　まつれるなめりかし。	毛乃可　堂利、以止那川可之宇之太末比天、禮以奈良奴止　己呂那止、奈於无比奈之太末比曾。女比女幾美能　於者世須奈利爾志乃知、和春良留々與奈幾爾以止　與久於毛比與曾部良留々於保武左末遠美連波以止　安者禮爾奈久左武心毛、以止安者連爾奈无於无不　人者佐良爾奈幾美爾、武可之乃於保武己々呂左之　奈幾也宇爾於本左波、以止宇礼之久奈无奈止、加　太良比多末部波,以止毛乃川々美之天末太比奈比多　留心乃以良部,幾己由部幾己止毛那久天、止之己呂　以止者留可爾乃美、於毛比幾古衣佐世之爾。加久　美多天末川留波、奈爾己止毛那久左武己々知志天　奈无、止者可利、以止和可比多留己恵爾志天以布　恵那止、々以弖左世太末比弖、右近爾己止波與　末世天美多末不爾、毛乃者知毛、衣之安部数、心　遠以禮弖美多末爾、保可希佐良爾己曾止美由　　　　　　　　　　　　　　可　留止己呂那久、己末□爾於可之計奈利。比多為　徒幾、末美乃於保止可爾加遠利太留己々知寸留　太々、於毛比以弖良留礼者、恵盤女毛止末良須　曾礼止乃美,以止安者禮奈留比止乃可太知可那。佐　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　爾　天、加久之毛安利个留奈良无。古美也乃仁多天　末川礼留奈女利可之。
。東屋・詞書二　　　　　　　　　　　現代語訳	「礼」は「禮」とすることも　　　　　　　茶字は前項又は次項に在り「爾」は「尓」とすることも　　　　　　　□は不明文字（上の茶字は推定）「與」は「与」とすることも　　　　　　　「弖」は「天」とすることも　　　　　　　「个」は「介」とすることも　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　使用字母へ
せけんばなし　世間話を、大変懐かしそうにおやりになられて、　「普段と様子が違う所など（もおありになりますし)、　（大君様と）勘違い為さりなさるなよ。　若い姫君が(この世に)いらっしゃらなくなられた後、　忘れられる生涯でも無いのに、極自然に　程よく思い合われている御様子を見れば、　しみじみと心動かされて、安らかにと望む心も　随分と気の毒そうに思われる。　愛しい人は更に亡なられたことで、　昔の御志も無くなった様に、　お思いになられたとしたならば、　本当に嬉しう御座います。」　などと語り合いになられるので、何となく　大いに気兼ねして、再び田舎じみたお気持ちなど、　御申し上げるべき言葉も無くて、ここ数年来　全く気持ちが離れてしまっているものとばかり、と　お気持ち申し上げなされておりましたのに。　この様にしてご覧になりまするのは、どんな事にも　増して気が紛れる心地がする様で御座います。　などと、たいそう若々しい声で語った。　絵を取り出しあそばされて、右近に和歌を一つ、と　仰られましても、物怖じ一つされなかったり、　目を凝らして拝見致してみても、灯火で見えるお姿は　今更それ以上（の人）は見るべき者も無く、　きめ細かで美しい御様子でございます。　額の形や目もとの感じなど、ゆったりとして　育ちの良さがにじみ出ている様子に感じられます。　ただ思い出されるのは、(自身のお気持ちを）　制御する事もお出来にならず、はっきり言って、　随分と愛おしい御様子に拝見されるばかりです。　そう云う訳で、私もこの様で在りたいものですね。　お亡くなりになられた宮様と瓜二つで有るように　お見受け致しますですよね。	れひ　　　　　いつ例ならぬ；何時もと違っている。普段と様子が異なった。名詞「例」に断定の意の助動詞「なり」の未然形「なら」更に打消しの意の助動詞「ず」の連体形「ぬ」。な…そ；…するな。動詞の連用形（カ変・サ変は未然形）の上に付いて、下に終助詞「そ」を伴い、その動作を禁止する意を表す。おも　　な思ひ為し；思い込みなどで、それと決めてしまうこと。又は本人の心構え、或いは他人の受け止め方。思ひ寄そへ；考えあわせて関係づける。相通ずる処があるものと見なす。「思ひ寄そふ」の未然形。おほんこころざし（おこころざし）御志；心をお寄せする気持ち。恋心。　　　まさなん；正しくそれであると強調する意を表す。強意の係助詞「なむ」の音便で、後に述語「思す」・「侍り」などの連体形「思す」・「侍る」が省略されて、余情を込めた柔らかな物言いになる。わか若びたる；若々しい。子供っぽい。うこん右近；右近衛府に属する宮中警護の役人。ものはぢ物恥；何となく恥ずかしいと思うこと。幾分か恥じること。　ほかげ火影；燈火の光。灯火で見える物の形や姿。　ま　み目見；目つき。まなざし。目元。おほどかに；心が広く、ゆったりとしてこせこせしない様で。おおらかな。おっとりして。ナリ活用型形容動詞「おほどか」の連用形。かお薫りたる；艶やかに美しく見えている。四段動詞「薫る」の連用形「薫り」に完了の意の助動詞「たり」の連体形「たる」。その状態であること、又はその性状を供えていることの意を表す　　は　め　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　は　めゑ馬銜も止まらず；制御することも出来ない。「馬銜」は「羽目」とすることも「え…ず」で不可能の意を表す。それとのみ；はっきり言って…だけ。「或ものを指して…ばかりだ」の意を表す。「のみ」は後に続く文節全体に掛る。ひと　　かたち人の容貌；その人の表情の御様子。　か斯くしもありけるならん；こうあったらなあ。この様でありたい。副詞「斯く」に強意の副助詞「し」更に事態の波及を表す意の係助詞「も」、そしてラ変動詞「有り」の連用形「あり」に過去の助動詞「けり」の連体形「ける」更に断定の助動詞「なり」の未然形「なら」、加えて願望の意を表す助動詞「む」の終止形「む」の音便「ん」。相手の動作に付いてその実現を期待する意を表す。こみや故宮；亡くなられた宮様（薫の正妻大君）。なめり；…であるようだ。…であると見える。断定の助動詞「なり」の連体形「なる」に推量の助動詞「めり」の付いた「なるめり」の撥音便「なんめり」の撥音「ん」の表記されない形。かし；…ね。…よ。文末に付いて強く念を押す意を表す終助詞。

あづまや　　　　ひな　　　　　　　　　のき　　　　　　　　　　よせむね　　　いりもやづくり　　　　しとみ
東屋；東国風の鄙びた家の意。四方へ軒を葺き下ろした家屋。寄棟或いは入母屋造で、簡素な蔀が設けられたもの。また、四方の柱だけで壁が無く、屋根を四方葺き下ろしにした小屋。庭園などの休憩所とし、「亭(ちん)」とも呼ぶ。

とうごく　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とおとうみ　おうみ
東国；都のあった近畿地方から見て東方の国々。古くは遠江(遠つ淡海の意、現在の静岡県西部浜名湖近辺)や信濃(長野県全域)から東側の広くを指すが、後には足柄関(神奈川県南西部で現在の足柄市付近)以東の東北地方までを指した。

うこんえふ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　みゆき　ぐ　ぶ
右近衛府；六衛府の一つ。左近衛府と共に宮中の警護、行幸の供奉などに当たった役所。儀式には儀仗を率いて威儀に備えた。765年に授刀衛を改めて設けられた令外官。長官は大将、次官は中将・少将、半官は将監、主典は将曹と云った。次官以上は有力貴族の子弟の出世コースであった。

は　め　くつわ　　　　　くわ　　　　　　はみ　　　　　　　　　　　あやつ　　　　　　たづな　　　　　　　　　　　　　　　はみ
馬銜；轡で、馬の口に銜えさせる所。喰（マウスピース）。馬を操り制御する為の手綱を付ける道具。「喰」から来た「銜」の訛り。『馬銜を外す』で制御が利かなくなり、調子に乗り過ぎて度を超す意となる（羽目とする説も）。

にほふのみや
匂宮；源氏物語中の登場人物。今上天皇の第三皇子で光源氏の孫にあたり、薫と共に宇治十帖の主人公。妻である中の君は薫の正妻である大君の妹となる。後に中の君に預けられることとなった異父姉妹の美しい浮舟に心を奪われることとなる。

おほいぎみ
大君；平安時代に用いられ、貴人の娘の内、長女に対する敬称。二女を「中の君」、三女を「三の君」と呼び、以下「四の君」「五の君」…と続く。

ゑはめもとまらず；「絵は目も止まらず」とする説もある。（絵には目もくれず=絵には関心を示さないで）の意となる。ヤ行の「ゑ」を使用する場合には通常「体言」を表す場合が多いので、「ゑ」は「絵」を表し此方の意となるが、文脈及び文意から「ゑ」を副詞「え」とする方が心の動きをよく著し、全体として面白くなる。
或は紫式部自身が歌にも長けており、物語中にも和歌を多用していることから、端から掛詞として用いていたとも取れる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ページ

あづまや　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
東屋；源氏物語の巻名。宇治十帖の六番目。

物語では、薫が浮舟を見染める場面。浮舟は八の宮の娘ではあるが母親の身分が低く連れ子であったが為に、常陸介の養女として扱われ不当な振舞いの末、中の君の親でもある母の頼みで二条院(匂宮の邸宅)の西の対の一角に質素な住居(東屋=皇族の屋敷としてはの意)を設けられてそこでひっそりと暮らす事に成り、そこで薫と出会う。

	東屋・詞書二　右上側部分かな使用字母へ
東屋・詞書二　右上側部分銀ボカシを飛雲のように施して金銀大小切箔砂子が全体に鏤められております。飛雲を見易く写すために光を弱くしていますので金銀が渋く色を失ったように映っております。ご心配なく、手にして頂ければちゃんと輝いて見えます。	東屋全・詞書二
東屋・詞書二　右下側部分	東屋・詞書二　右下側部分かな使用字母へ
東屋・詞書二　右下側部分銀ボカシを飛雲のように施して金銀大小切箔砂子が全体に鏤められております。飛雲を見易く写すために光を弱くしていますので金銀が渋く色を失ったように映っております。ご心配なく、手にして頂ければちゃんと輝いて見えます。	東屋全・詞書二
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東屋・詞書二　左上側部分銀ボカシを飛雲のように施して金銀大小切箔砂子が全体に鏤められております。飛雲を見易く写すために光を弱くしていますので金銀が渋く色を失ったように映っております。ご心配なく、手にして頂ければちゃんと輝いて見えます。	東屋全・詞書二
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