針切 相模集5
生成り楮紙(素色)
こちらの色は、ぼかしの様にも見えますが元々は未晒しの繊維の色で、長年の変化により褪色、或は褐色化した物と思われます。素色(しろいろ)とは、漂白していない元の繊維の色でやや黄味の砥の粉色~薄香色の様な色。本来染めていない為、素の色のことを素色(しろいろ)といいます。。写真は薄目の薄香色でかなり褪色しているように見えます。
高い所より書出して歌のみを書写、書き下ろしてゆくに従い行がやや右に流れる特徴が有り、詞書は有りません。
素色(しろいろ)
15.5cmx22.3cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。
かな 使用時母へ
すずか山 おぼつかなくて ほどふれど、おとづれも せぬ 人やなにびと 人もうし わがみもつらしと おもふには、うらうら にこそ そでもぬれけれ あふことの かたきとみゆる ひとはなほ、むかし のあだと おもほゆるかな みにしみて つらしとぞおもふ 人にのみ、うつる こころの いろにみゆれば |
鈴鹿山 おぼつかなくて 程経れど、訪れも せぬ 人やなにびと 人も憂し わが身も辛しと 思ふには、うらうら にこそ 袖も濡れけれ 逢ふ事の 敵と見ゆる 人は尚、昔 のあだと 思ほゆるかな 身に染みて 辛しとぞ思ふ 人にのみ、うつる 心の 色に見ゆれば |
漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 |
読みやすい様に所々に漢字、読点を入れております。 解説へ |