針切 相模集8
生成り楮紙(素色)
こちらの色は、ぼかしの様にも見えますが元々は未晒しの繊維の色で、長年の変化により褪色、或は褐色化した物と思われます。素色(しろいろ)とは、漂白していない元の繊維の色でやや黄味の砥の粉色~薄香色の様な色。本来染めていない為、素の色のことを素色(しろいろ)といいます。。写真は薄目の薄香色でかなり褪色しているように見えます。
高い所より書出して歌のみを書写、書き下ろしてゆくに従い行がやや右に流れる特徴が有り、詞書は有りません。
素色(しろいろ)
約13.8cmx22cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。
かな 使用時母へ
あめふれば きしだにみえぬ うとはまの、 松よりもげに まさるわがこひ しばしだに なぐさむやとて さごろも を、かへすがへすも かへしつるかな いのちだに あらばとばかり たのめしも、なに かこのごろ こひぞしぬべき |
雨降れば 岸だに見えぬ 宇土浜の、 松よりも実に 勝る我が恋 暫しだに 慰むやとて 狭衣 を、返す返すも 返しつるかな 命だに 有らばとばかり 頼めしも、何 かこの頃 恋ぞしぬべき |
漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 |
読みやすい様に所々に漢字、読点を入れております。解説へ |