針切 相模集10
生成り楮紙(素色)
こちらの色は、ぼかしの様にも見えますが元々は未晒しの繊維の色で、長年の変化により褪色、或は褐色化した物と思われます。素色(しろいろ)とは、漂白していない元の繊維の色でやや黄味の砥の粉色~薄香色の様な色。本来染めていない為、素の色のことを素色(しろいろ)といいます。。写真は薄目の薄香色でかなり褪色しているように見えます。
高い所より書出して歌のみを書写、書き下ろしてゆくに従い行がやや右に流れる特徴が有り、詞書は有りません。
素色(しろいろ)
約10.0cmx21.0cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。
かな 使用時母へ
わがためは わすれぐさのみ おひしげる、ひと のこころや すみよしのきし なげき 時々は いかでなげかじと おもへども、なら ひにければ しのばれぬ哉 |
我が為は 忘れ草のみ 生ひ茂る、人 の心や 住吉の岸 嘆き 時々は 如何で嘆かじと 思へども、慣ら ひにければ 忍ばれぬかな |
漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 |
読みやすい様に所々に漢字、読点を入れております。解説へ |