針切 重之の子の僧の集6
生成り楮紙(素色)
こちらの色は、ぼかしの様にも見えますが元々は未晒しの繊維の色で、長年の変化により褪色、或は褐色化した物と思われます。素色(しろいろ)とは、漂白していない元の繊維の色でやや黄味の砥の粉色~薄香色の様な色。本来染めていない為、素の色のことを素色(しろいろ)といいます。。写真は薄目の薄香色でかなり褪色しているように見えます。
高い所より書出してあるのが歌、一段低い所より書出してあるのが詞書です。
素色(しろいろ)
15.0cmx22cm
実際は極淡い薄茶色です。
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。
かな 使用時母へ
むかしの はるぞこひしき 花のちるさかりなにごとをかこのごろは おもふととはせたまへる御かへりごとに 人はいさ われはあけくれ 花ざくら、ちるよりほ かの ものおもひもなし よしの山にこもりはべりとてかたらふ 人に ふるさとを かすみへだてて よしの山、はれぬくも ゐに とほざかる覧 花のもとにてたび人にわかれおしみはべりと て |
むかしの 春ぞ恋しき 花の散る盛り何事をかこのごろは 想うと問わせ給える御返りごとに 人はいさ 吾はあけくれ 花ざくら、散るよりほ かの 物思いもなし 吉野山に籠りはべりとて語らう 人に ふるさとを 霞隔てて 吉野山、晴れぬ雲 井に 遠ざかる覧 花のもとにて旅人に別れ惜しみはべりと て |
漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 次項~残り半葉分の内の詞書の一部 |
読みやすい様に所々に漢字、読点を入れております。 解説へ |
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