針切 相模集3
生成り楮紙(素色)
こちらの色は、ぼかしの様にも見えますが元々は未晒しの繊維の色で、長年の変化により褪色、或は褐色化した物と思われます。素色(しろいろ)とは、漂白していない元の繊維の色でやや黄味の砥の粉色~薄香色の様な色。本来染めていない為、素の色のことを素色(しろいろ)といいます。。写真は薄目の薄香色でかなり褪色しているように見えます。
高い所より書出して歌のみを書写、書き下ろしてゆくに従い行がやや右に流れる特徴が有り、詞書は有りません。
素色(しろいろ)
16.0cmx21.8cm
少し斜めに映っております。申し訳御座いません。
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。
かな 使用時母へ
あき ぬるかりし あふぎのかぜも 秋ききては、おもひ なしにぞ すずしかりける たなばたは あまのはごろも ぬぎかけて、たつと ゐるとや くれをまつらん いろかはる はぎのした葉を みるとても、人の こころの あきぞしらるる をぎのはを なびかす風の おときけば、あはれ みにしむ あきのゆふぐれ |
あき 微温かりし 扇の風も 秋きては、思い 做しにぞ 涼しかりける たなばたは 天の羽衣 ぬぎかけて、たつと ゐるとや 暮れをまつらん 色変わる 萩のした葉を みるとても、人の 心の 秋ぞ知らるる 荻の葉を なびかす風の おときけば、哀れ 身に染む 秋の夕暮れ |
漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 |
読みやすい様に所々に漢字、読点を入れております。解説へ |