金沢本万葉集 (7寸1分5厘×8寸9分5厘)
万葉集・巻三、四 断簡 具引唐紙 『小唐草』(清書用極薄茶色)
薄茶色(うすちゃいろ) 小唐草(小重ね唐草)
本文解説へ 唐紙の柄は 小唐草(小重ね唐草) 前田家所蔵の万葉集巻三の断簡 四葉のうちの一部 左側は巻四の断簡 (團家所蔵の一葉) 21.6cmx27.1cm |
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良く見ないと判らないぐらい柄がはっきりしておりません。実際の見え具合は中央上側の薄くグレーに見えている程度と為ります。 | 水色文字は使用字母、 |
娘子復報歌一首 大伴宿禰駿河麿娉二同坂上家之二嬢一歌一首 大伴宿禰家持贈二同坂上家人大嬢一歌一首 大伴宿禰駿河麿歌一首 大伴坂上郎女橘歌一首 和歌一首 市原王歌一首 大網公人主宴吟歌一首 (萬葉集巻四) 595 わがいのち またけむかぎり わすれめや いや日ことには おもひますとも 596 八百日往 濱之沙毛 吾恋二、豈不益欣 奥嶋守 やほかゆく はまのまさこも わがこひに あにまさらめや おきつしまもり 597 宇都蝉之 人目乎繁見 石走、間近君尓 恋度可聞 うつせみの ひとめをしげみ いしばしり まぢかききみに こひわたるかも |
をとめ また こた 娘子、復報ふる歌一首 さかのうへのいへ おといらつめ 大伴宿禰駿河麻呂、同じき坂上家の二嬢を つまど 娉ふ歌一首 おほいらつめ 大伴宿禰家持、同じき坂上家の大嬢に贈れる 歌一首 大伴宿禰駿河麻呂の歌一首 たちばな 大伴坂上郎女の橘の歌一首 こた 和ふる歌一首 いちはらのおほきみ 市原王の歌一首 おほあみのきみひとぬし うたげ うた 大網公人主、宴に吟へる歌一首 595 和可以能知 末多計武可幾利 和寸礼女也 以也日己止爾波 於毛比末寸止无 596 や ほ か ゆ はま まなご あにまさ 八百日往く濱の沙も吾恋に、豈益らじか沖つ嶋守 也遠可遊久 者末能末左己毛 和可己比耳 安耳末左良女也 於幾徒之末毛利 597 うつせみ こひわた 現人の人目を繁み石走り、間近き君に恋度るかも 宇川世美乃 比止女遠之計美 以之者之利 末知可支々美爾 己比和多留可毛 |
たちばな ときじくのかくのこのみ 橘;食用とする柑橘類の総称。常緑でよい香りを放つ花が咲く。非時香菓。 まなご まさご 沙;砂の細かいもの。真砂。 あに 豈;決して。何も。(打消し語を伴って表現を強める) |