金沢本万葉集 (7寸1分5厘×8寸9分5厘)       戻る 金沢本万葉集 一覧へ 
 万葉集・巻二  具引唐紙 『七宝紋』第二十一紙(清書用極薄茶色)

薄焦茶色(うすこげちゃいろ) 七宝紋(七宝)  

古筆臨書 粘葉本金沢万葉集 料紙 具引唐紙 『七宝紋』







 本文解説へ



唐紙の柄は

七宝紋(七宝)














21.6cmx27.1cm 
良く見ないと判らないぐらい柄がはっきりしておりません。実際の見え具合は中央上側の薄くグレーに見えている程度と為ります。 水色文字は使用字母


185
 きみさくみちを またもみむかも


186
 一日者 千遍参入之 東乃、大寸御門乎 入不勝鴨

 ひとひには ちたびまいりし ひむがしの、

 おほきみかどを いりかてぬかも


187
 而由无 佐太乃崗邊尓 反居者、嶋御橋尓 誰加須舞无

 よしもなく さたのおかべに かへりゐば、

 しまのみはしに たれかすまはむ


188
 旦覆 日之入茖者 御立之、嶋尓下居而 嘆鶴鴨

 あさぐもり ひのくれゆけば みたちせし、

 しまにおりゐて なげきつるかも


189
 旦日照 嶋乃御門尓 欝悒、人音毛不為者 真浦悲毛

 あさひてる しまのみかどに おぼつかな、

 ひとおともせねば まうらがなしも


190
 真木柱 太心者 有之香杼、此吾心 鎮目金津毛




 幾美左久美知遠 末太毛見武可毛


186
 
ひ と ひ        ま い  ひむがし
 一日には千たび参入りし東の、大き御門を入かてぬかも

 比止比耳波 知多比末以利之 比武可之能、

 多本支美可止遠 以利可天奴可毛

187
     さ だ      かへ       み は し
 由もなき佐太の岡辺に反りゐば、島の御階に誰か住まわむ

 与之毛那久 左多乃遠可部仁 可部利井波

 之末能美者之仁 多礼可寸末者無


188
 
あさぐもり          みたち      
 朝覆日の入りぬれば御立せし、島に下りゐて嘆きつるかも


 安左久毛利 比乃久礼由計波 美多知世之、

 志末仁於利井天 奈計支川留可毛


189
        み か ど  おぼ
 朝日照る島の御門に思ほしく、人音もせねばまうらがなしも

 安左比天留 之末能美可登耳 於保川可那、

 比止於止毛世禰波 末宇良可奈之毛

190 まきばしら              わがこころ しず
 真木柱太き心はありしかど、この吾心鎮めかねつも


み は し きざはし
御階;階の尊敬語、宮中・神社などの階段。特に紫宸殿の南階段。

あさぐもり         
旦覆;朝曇り。よく晴れた日の朝、靄で曇ったように見えること。

み た ち いでたち
御立;出立すること。来客のお帰りの尊敬語。

ま う ら が な
真心悲し;何となく悲しい思い、心に悲しいと思う様子。


紫宸殿の南階段にある右近の桜と左近の橘をそれぞれ御階の桜、御階の橘と呼ぶ。










               
拡大図 七宝紋(薄焦茶色)  
古筆臨書 粘葉本金沢万葉集 料紙 具引唐紙 『七宝紋』