金沢本万葉集 (7寸1分5厘×8寸9分5厘)       戻る 金沢本万葉集 一覧へ 
  万葉集・巻二 具引唐紙 極薄茶色『大菊唐草』第十二紙(清書用焦茶色)

薄焦茶色(うすこげちゃいろ) 大菊唐草

古筆臨書 粘葉本金沢万葉集 料紙 具引唐紙 『大菊唐草』











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唐紙の柄は
大菊唐草(牡丹唐草)











21.6cmx27.1cm 
良く見ないと判らないぐらい柄がはっきりしておりません。実際の見え具合は中央上側の薄くグレーに見えている程度と為ります。 水色文字は使用字母

120
 吾妹児尓 恋川々不有者 秋萩乃 咲帝散者 花

 尓有猿尾

 わぎもこに こひつつあらずば あきはぎの

 さきてちりぬる はなにあらましを 

121
 暮去者 塩満来奈武 住吉乃 浅鷹乃浦尓

 玉藻苅手名


 ゆふされば しほみちきなむ すみよしの

 あさかのうらに たまもかりてな

122
 大船乃 泊流登麻里能 泡夕日二 物念痩奴

 人能児故尓

 おほふねの とまるとまりの たゆたひに

 ものおもひやせぬ ひとのこゆゑに


 三方沙弥娶園臣生羽之女未経幾時臥病

 作歌三首





120 わぎもこ       
 吾妹児に恋つつあらずば秋萩の、
     
ちり      
 咲きて散ぬは花にあらましを。

 和支毛己耳 己比川々安良寸波 安支者幾能、

 左支天知利奴留 者那爾安良満之遠。


121
             すみのえ
 暮去れば塩満ちきなむ住吉の、浅香の浦に
 
たまも
 玉藻苅りてな。

 
由不左礼八 之本美知幾奈无 寸見与之乃

 安左可能宇良仁 多末毛可利天奈。

122           たゆた     ものも
 大船の泊つるとまりの揺蕩いに、物念ひやせぬ
     
ゆゑ
 人の子故に。

 
於保不禰乃 止末留東末利乃 多由堂比耳

 
毛能於毛比也世奴 比止乃己由恵仁。

  みかたのきみ  そののおみいくは     
 三方沙弥、園臣生羽の女に娶ひて、
    
いくだ         
 未だ幾時も経ず、病に臥して作れる歌三首。 
たゆたひ
揺蕩;気持ちが揺れて定まらないさま。かなたこなたへゆらゆらと揺れて漂う。


 


               
拡大図 大菊唐紙(薄焦茶色)
古筆臨書 粘葉本金沢万葉集 料紙 具引唐紙 『大菊唐草』