金沢本万葉集 (7寸1分5厘×8寸9分5厘)
万葉集・巻二 具引唐紙 薄焦茶色『大華紋』第十八紙(清書用薄焦茶色)
具引唐紙 黄茶色『二重唐草』第十九紙(清書用黄茶色)
黄茶色(きちゃいろ) 二重唐草 薄焦茶色(うすこげちゃいろ)菱唐草
本文解説へ 唐紙の柄は 大華紋(大華唐草紋)右側・第十八紙表面 二重唐草(重ね唐草)左側・第十九紙表面 21.6cmx27.1cm |
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良く見ないと判らないぐらい柄がはっきりしておりません。実際の見え具合は中央上側の薄くグレーに見えている程度と為ります。 | 水色文字は使用字母、 |
163 かみかぜの いせのくににも あらましを なにしかきけむ きみもあらなくに 164 欲見 吾為君毛 不有尓 意何可来計武 馬疲尓 みまほしみ わがおもふきみも あらなくに なにしかきけむ むまつかるるに 移二葬大津皇子屍葛城二上山一之時、大来 皇女哀傷御作歌二首 165 宇都曾見乃 人尓有吾哉 後明日者 二上 山乎 弟世登吾物見 うつそみの ひとにあるわれや あすよりは ふたがみやまを ちよとおもはむ 166 磯之植尓 生流馬酔木乎 手折目杼 今視 倍吉君之 在常不言尓 いそのうへに おふるつつじを たをらめど (みすべききみが ありといはなくに) |
163 可美可世乃 以世能久爾々毛 安良満之遠、 奈爾志可幾計武 幾見毛安良那久仁 164 ほ わが 見まく欲り吾なす君もあらなくに、いかにか来けむ 馬疲るるに 美末本之美 和可於毛不幾見毛 安良那久仁、 奈爾之可支介武 々末川可留々仁 みかばね かつらぎ はふむ 大津皇子の屍を葛城の二上山に移し葬りし時、 おほくのひめみこ かなし 大来皇女哀傷みて作りませる御歌二首 165 われ うつそみの人にある吾や明日よりは、二上山を いろせ わが 弟世と吾みむ 宇川曾美乃 比止仁安留和礼也 安寸与利波 布太可見也末遠 知与止於毛者武 166 お あ し び た を 磯のうえに生ふる馬酔木を手折らめど、 あ 見すべき君の在りと言はなくに 以曾乃宇部爾 於不留川々之遠 多遠良女登 (美寸部支々見可 安利止以者那久爾) |
う つ そ み うつそみ 宇都曾見;現人、うつせみとも読む。この世に存在する人間。生存している人。 世間の人。また、現世。 いろせ 弟世;同母弟または同母兄。姉妹から見て同母の兄弟。 |