香紙切 (巻第七 恋上 断簡)
丁子染紙(丁子茶色)
こちらの色は、ぼかしの様にも見えますが元々は単色の香染で、長年の変化により褪色、或は脱色した物と思われます。丁子茶色とは、丁子の煮汁で濃く染めた色でやや黄茶味の強く出たような色。ほんのりと丁子の香りのするような色のこと。
丁子茶色(ちょうじちゃいろ)
12cmx21cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。
かな |
使用時母 現代語訳へ |
人にわすられたりけるころ、はぎ のしたばにつけて むまのないし うつろふは したばばかりと みしほどに、 やがて秋にも なりにけるかな をとこのうらみければ、せ いせうなこむ よしさらば つらさは我に ならひけり、た |
人爾和寸良礼多利希留己盧、八幾 乃之多者仁川希弖 武万乃奈以之 宇川路不者 之多者々加利止 美之本止二、 也可弖秋爾母 奈利爾計留可奈 遠止己乃宇良見希禮波、世 以世宇奈己武 與之佐良八 川良左波我爾 奈良日个利、多 |
現代語訳 |
解説 使用字母へ |
人に忘られたりける頃、萩の 下葉につけて 馬内侍 人々に忘れられ初めていた頃に萩の下葉にかこつけて 馬内侍 『移ろふは下葉許りと見し程に、やがて秋にもなりにけるかな』 色褪せて行くのは萩の下葉ばかりだと思っていたのに、もうすぐ秋が来るようにやがて私も人々に飽きられる時が来たのかなあ。 男の怨みければ 清少納言 私に靡かない男の事を未練がましく思っていたので、 清少納言 『由さらば辛さは我に慣けり、た… 』 何とも無いそぶりを無くしたならば辛いことも私に馴染んでくるのでしょうか、た…。 |
につけて;関連付けて。ことよせて。 むまのないし むすめ 馬内侍;内侍司の女官。右馬権頭源時明の女。 平安中期の女流歌人で中古三十六歌仙の一人。 選子内親王、中宮定子に仕えたが、晩年には出家。 (色褪せて行くのは萩の下葉ばかりだと敢えて自分には気付かぬふりをしていたのに、もうすぐ秋が来るように、とうとう私にも人々に飽きられる時が来てしまったのかなあ。)との意。 よし 由;それらしく見せること。素振り。 ならい 慣;世の常。きまり。 ページ ![]() |
せいせうなこむ きよはらののとすけ むすめ 清少納言;内侍司の女官(女房)。清原元輔の女。中古三十六歌仙の一人。紫式部と並び称せられ、和漢の学問にも通じた才女。皇后定子に仕え寵遇を受けた。 |
徳川美術館蔵