寸松庵(寸松庵色紙・古今和歌集抄本) 巻六・冬      戻る 寸松庵色紙 一覧へ
 具引唐紙『亀甲紋』(蜜柑茶色)「白雪の」  田中親美氏作模写本

寸松庵色紙は古今和歌集の四季の歌を精撰して書写したもので、佐久間将監が京都大徳寺の離れ寸松庵で愛玩していた事により、寸松庵色紙と名付けられたもの。元々堺が繁盛していた頃に南宗寺の襖に三十六枚の色紙が貼られており、その内の十二枚を寸松庵に譲り受けたもの。残りの幾つかは烏丸光弘が譲り受けている。
茶掛けとして古筆が持て囃されてくると、この小さな色紙もその散らし書きの美しさからやがて陽の目を見ることとなり、後の世に高値で取引されるに至った。

古筆了佐によると寸松庵色紙には扇面が付けられていた。所謂歌意を表現した絵扇面であるが、昭和の中頃までは6枚が存在していたと云う。金色地彩色画の扇面で色紙2枚分の幅よりもやや大きく、上に色紙下側に扇面画添えられていた。手鏡風帖の大きさは横1尺3寸2分×縦1尺4寸6分で、添えられていた扇面は左右が其々約8分前後空いていた。
「わがせこが」「ほととぎす」「おくやまに」「たがために」「しものたて」「しらゆきの」の6枚である。
 
歌『しらゆきの ところもわかず ふりしけば・・・』へ、 歌『むめのかの ふりおけるゆきに うつりせば・・・』へ


                かな                                水色文字は使用時母

寸松庵色紙 冬 『しらゆきの』 (蜜柑茶色) 拡大
12.6cmx13.0cm

     きのあきみね

  しらゆきの ところ

  もわかず ふりしけ

   ば、いはほにもさ

    く 花かとぞみ

         る


      
使用時母

      幾乃安支見年

  志良由支乃 止己呂

  毛和可春 不利之个

   者、以 者本爾毛左

     久 花可止曾三

             流

                           紀秋岑
324
 白雪の所もわかず降り頻けば、巌にも咲く花かとぞ見る。

白雪はどこそこの分別もせずに頻りに降り積もっているので、巌の上にあたかも白い花が咲いているかのように見えてしまいましたよ。



巌;岩穂。高く突き出すような大きな岩。


蜜柑茶色具引唐紙・白雲母『亀甲紋』(一重亀甲・全面)
                                   富田重助氏蔵
ここに添えられている扇面は金色地に大岩が三山、後ろ側に隠れる様に落葉した冬枯れの木が4本あり複数の枝を見せている。赤い実をつけた灌木が手前右側の岩の左端に1本添えられ、脇に石楠花、岩の周りには、枯れ草が在る。岩に隠れる様に3か所に緑の葉を着けた笹が雪をかぶって垂れ下がる様に描かれている。

 漢字の意味の通じるものは漢字で表記
 一行は一行に、繰返しは仮名で表記
「爾」は「尓」とすることも、「个」は「介」とすることも。





写真では確認できないが、亀甲紋が施されている。


蜜柑茶色;赤・黄丹などとすることも。
 右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙      上製       普通清書用
  寸松庵色紙 具剥奪唐紙(蜜柑茶色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪唐紙(蜜柑茶色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
清書用 蜜柑茶色具剥奪唐紙・白雲母『亀甲紋』

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(寸松庵色紙・古今和歌集抄本) 巻六・冬
 具引唐紙『雲鶴紋』(薄茶色)「梅の香の」

                かな                                水色文字は使用時母

寸松庵色紙 冬 『むめのかの』 (薄茶色) 拡大
 12.6cmx13.0cm
     つらゆき

  むめのかの ふりお

  けるゆきに うつり

  せば、たれかことごと

  わきてをらまし


      
使用時母

      川良由支

  武 免 乃 可能 不利於

   个留由支仁 宇 川 利

  世波、太礼可己止々々

   和 支 天 遠 良 万 志
 
 
                           紀貫之
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 梅の香の降りおける雪にうつりせば、誰か異々別きて折らまし

梅の花の香りが降ってくる雪に乗り移ったならば、誰かがまちまちにやって来て取分け折り取ってしまいますでしょう。





薄茶色具引唐紙・白雲母『雲鶴紋』(全面)         益田孝氏旧蔵
 
 漢字の意味の通じるものは漢字で表記
 一行は一行に、繰返しは仮名で表記
 「个」は「介」とすることも。






写真では確認し辛いが、雲鶴が施されている。

薄茶色;茶とすることも。
 右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(上製のみ)
これまでの清書用には入れられていない柄
(普通清書用では薄渋黄土色柄無の物を利用してください)
若しくは薄茶色柄無の物を利用してください。
     上製       普通清書用
  寸松庵色紙 具剥奪唐紙(薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪紙(薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
清書用 薄渋黄土色具剥奪唐紙・白雲母『雲鶴紋』

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