継色紙 (4寸4分2厘×8寸8分4厘)
古今和歌集 粘葉本 染紙(両面加工)断簡 穎川美術館蔵
料紙一葉を使い、一葉の右半分(右項)に上の句を左半分(左項)に下の句を書き歌一首を納めた様式のもの。
同様式の歌が15首存在しております。
渋草色(しぶくさいろ) 13.4cmx26.8cm |
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水色文字は使用字母 「上の句」(右項) 「下の句」(左項) なつのよは まだよひな がらあけに けり くものいづこ に月かく るらん 奈川能与盤 末多余飛那 閑良安希爾 希梨 久毛乃以川己 仁月可倶 留羅无 (清原深養父) 古今集(巻三;夏歌) 月のおもしろかりける夜暁かたによめる。 薄渋草色。やや青味強いの薄い青緑に写っています。紙の地色が透けて薄茶色とのまだらに見えます。薄青色と紙の地色の黄色とで元々浅緑色(青緑)に見えていたものと思われます。。見開き一紙に歌一首散らしていますが、上の句と下の句それぞれが色紙(豆色紙=半紙)一枚に収まる様書写されております。(このことから、半首切と呼ばれていた。) 製作当初の色は藍色であったと思われます。 |
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この句は万葉集 「上の句」なつのよは まだよひな がらあけに けり 「下の句」くものいづこ に月かく るらん 奈川能与盤 末多余飛那 閑良安希爾 希梨 久毛乃以川己 月可倶 留羅无 (清原深養父) 古今集(巻三;夏歌) 月のおもしろかりける夜暁かたによめる。 |
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月が風流に浮かんで見えていた夜の暁方(夜明け前のまだ薄暗い頃)に詠んだ歌、 「夏の夜は未だ宵ながら明けにけり 雲の何処に月隠るらん」 現代語訳 夏の夜は未だ宵だと云うのに明けてしまったようだ、いったい雲の何処いら辺りに月は隠れてしまったのだろうか。 解釈 美しい夏の月を趣深く眺めながら時を過ごしている内に、思いの外夏の夜は短くて気が付くともう夜明けに成っていた。こんなに早くに夜が明けてしまったのでは、月も西の山へは未だ辿り着けていないだろうに!それじゃあ雲隠れでもしたのだろう、いったい月は雲のどこら辺にいるのだろうか。と洒落て詠んだ歌。 ながら;…のままで。…のままの状態で。体言又は動詞の連用形などの後に付いて、その有様や状態を変えないである動作が行われたことを表す。 らむ;…なのだろう。というので…だろう。現在の事実について、その原因・理由を推量する意を表す。 おもしろ 面白し;見ていて心が晴々する様。風流である。 きよはらのふかやぶ 清原深養父;平安時代中期の歌人で、中古三十六歌仙の一人。清原房則の子で、梨壺の五人の一人として後撰集を撰した清原元輔の祖父に当たり、清少納言の曾祖父でもある。官位は内蔵大允、従五位下。家集に深養父集がある。生没年未詳。 ページ |