継色紙 (4寸4分2厘×8寸8分4厘)
古今和歌集 粘葉本 染紙(両面加工)
料紙一葉を使い、一葉の右半分(右項)に上の句を左半分(左項)に下の句を書き歌一首を納めた様式のもの。
同様式の歌が15首存在しております。
渋草色(しぶくさ) 13.4cmx26.8cm |
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水色文字は使用字母 「上の句」(右項) 「下の句」(左項) 神がきのみ むろの山 のさか木 ばは かみのみ むろに しげり あいに けり 神可幾乃見 武呂能山 濃左可木 者々 閑美乃美 无慮耳 之遣梨 安比二 个利 古今集(巻二十;雅)神あそびのうた とりもののうた 渋草色。ほぼ渋青緑グレーです。薄紺染の上から黄土で染めたような色合いです。やや暗めに写っています。(元々は紺色の物が経年変化により草色に見えるようになったものです) 昭和中期の模写本へ |
解説へ (現代語訳) |
昭和中期の模写本(粘葉装)渋草色ではなく紺色に書写
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「上の句」神がきのみ むろの山 のさか木 ばは 「下の句」かみのみ むろに しげり あひに けり 神可幾乃見 武呂能山 濃左可木 者々 閑美乃美 无慮耳 之遣梨 安比二 个利 |
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「神垣の三室の山の榊葉は 神の御室に繁り合ひにけり」 現代語訳 三室山の榊の葉は神のお住まいである神社に一面に茂ってしまったことだなあ。 解釈 神の鎮座する場所である三室の山に生えている榊の木の葉が、お住まいの神社をぐるりと取り囲むように辺り一面に繁茂してしまったことであるなあ。 神垣の;枕詞。「三室の山」に掛る。「御室」を引合いに出す為で通常は訳さない。 神垣;神社の周囲にめぐらした垣根。玉垣。 榊;神事に用いっる常緑樹の総称。またツバキ科の常緑小高木で、深緑色の光沢のある厚い革質の葉をつけ、5〜6月頃白い小さな花を付け根に咲かせて紫黒色の小さい液果を結ぶ。この枝葉を神仏用として利用する。但し通常はよく似ていてより葉の小さなヒサカキを用いる。こちらは冬から春に白色〜黄緑色の小花を密生し同様の紫黒色の小液果を付ける。 にけり;…てしまったことだ。…ていたのだった。完了の助動詞「ぬ」の連用形「に」に過去の助動詞「けり」で、何かに気づいたことや詠嘆を表す。 三室山;歌枕。奈良県生駒郡斑鳩町竜田にある神南備山(御室山)。山麓を竜田川が流れ古くから紅葉や時雨の名所として名高い。また奈良県桜井市三輪にある三輪山。「御室山」とした場合には「神のいる山」の意で各地にある。 ページ |