大字朗詠集切(大字和漢朗詠集切)和漢朗詠集 巻上 紅葉  戻る 大字朗詠集切 一覧へ 
    本鳥の子紙(薄茶色)5寸5分×8寸2分
字粒が他の和漢朗詠集の物よりも大きく書かれており、字間・行間も大らかである。表面は高野切同様の加工で染の雲母振りだが、振ってある量はかなり多い。
料紙は雲母振りの染紙。


薄茶色

『大字朗詠』 大字和漢朗詠集切 断簡 
15.8cmx25.2cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。



         漢詩・かな                                
水色文字は使用時母

304
  外物獨醒松澗色、餘波合力錦

  江聲 山水唯紅葉 以言


305
  しらつゆも しぐれもいたく も

  るやまは、したばのこらず を

  みぢしにけり 
貫之


   

        さめ   しょうかん
 外物の獨り醒たる松澗の色、
     
かうりょく
 餘波の合力するは錦江の聲。

            
山水唯紅葉 大江以言




 
之良徒由毛 之具禮毛以多久 毛

 留也末波、志多波乃己良春 越

 美知之爾个利。
貫之






白露も時雨もいたく盛る山は、下葉残らず紅葉しにけり。(紀貫之)

(を)」は「(も)」の間違いか


参考
白露も時雨もいたく盛る山は、下葉残らず色づきにけり。(紀貫之)







漢字の意味の通じるものは漢字で表記
一行は一行に、繰返しは仮名で表記

がいぶつ
外物;意識からは独立に、客観的世界の内に存在するもの。

しょうかん
松澗;潤いのある松の谷。「澗」は「谷」或は「谷水」

こうりょく  
合力;力を添えて助けること。援助。助勢。

きんこう
錦江;
中国江西省北西部を流れる全長約300kmの川。



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