大字朗詠集切(大字和漢朗詠集切)和漢朗詠集 巻上 鴈  戻る 大字朗詠集切 一覧へ 
    本鳥の子紙(薄茶色)5寸5分×8寸2分
字粒が他の和漢朗詠集の物よりも大きく書かれており、字間・行間も大らかである。表面は高野切同様の加工に染の砂子振りの物と雲母振りの物とが在る。伝藤原行成筆。
料紙は金銀の荒い砂子振りの染紙。


薄茶色

『大字朗詠』 大字和漢朗詠集切 断簡 
19.0cmx24.7cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。



         漢詩・かな                                
水色文字は使用時母


   鴈 
付歸鴈
317
  萬里人南去、三春鴈北飛、不知

  何歳月、得
汝同歸

318
  尋陽江色潮添満、彭蠡秋聲

  鴈引來。


319

  四五朶山粧
雨色、兩三聲鴈點

  (雲秋。
杜荀鶴




   かり
   雁 
付歸雁

  
ばんり          さんしゅん          しらず
  萬里に人南に去る、三春に雁北に飛ぶ、不知

      
せいぐぇつ   なんぢ
  何れの歳月にか、汝と同じく歸らんことを得む。
                         
(韋承慶)

  
じんよう        うしほ        はうれい
  尋陽の江の色は潮に添ひ満り、彭蠡の秋の聲は

           
りゅううしゃく
  雁引き來たる。
劉禹錫

  
し ご だ              りょうさいせい
  四五朶の山の雨に粧える色、両三聲の雁の雲に

  點ずる秋。
杜荀鶴





( )は次項に在り。











漢字の意味の通じるものは漢字で表記
一行は一行に、繰返しは仮名で表記

 きがん
歸雁;春になって北へ帰る雁。

さんしゅん

三春;孟春(初春)・仲春・季春(晩春)の三月の春。

じんようこう   
潯陽江;白楽天の「琵琶行」に見える九江市付近の川(長江)。

はうれい   
彭蠡;波頭の砕け散る様子か。「彭」はふくらむ「蠡」はひさごでその花の様子から波頭のこと。


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