大字朗詠集切(大字和漢朗詠集切)和漢朗詠集 巻上 鴈  戻る 大字朗詠集切 一覧へ 
    本鳥の子紙(薄茶色)5寸5分×8寸2分
字粒が他の和漢朗詠集の物よりも大きく書かれており、字間・行間も大らかである。表面は高野切同様の加工に染の砂子振りの物と雲母振りの物とが在る。伝藤原行成筆。
料紙は金銀の荒い砂子振りの染紙。


薄茶色

『大字朗詠』 大字和漢朗詠集切 断簡 
20.1cmx25.6cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。



         漢詩・かな                                
水色文字は使用時母

322
  碧玉装筝斜立柱、青苔色紙

        天浄識賓鴻
  数行書。
 菅

323
  雲衣范叔羈中贈、風櫓濟湘

       寛鴻是故人
  浪上舟
後中書五

324
  あきかぜに はつかりのねぞ き

  こゆなる、たがたまづさを か

  (けてきつらむ 
友則



 

              
しゃうのこと      ことぢ
  碧玉の装ほひせる筝の斜に立てる柱、青苔の色の

     
すかうのしょ 天浄識賓鴻
  紙の
数行書。


  
うんい   はんが きちゅう  おくりもの  
  雲衣は范叔羈中の贈、風櫓は瀟湘

  
なみ      寛鴻是故人
  浪の上の舟 
後中書五 (具平親王)



 安支可勢爾 波川可利乃年曾 支

 己遊奈流、堂可多末川左遠 可

 (遣
弖支徒良無 
友則







秋風に初雁の音ぞ聞ゆなる、誰が玉梓を懸けて来つらむ

                                (紀友則)











漢字の意味の通じるものは漢字で表記
一行は一行に、繰返しは仮名で表記


へきぎょく
碧玉;緑色の玉。勾玉の類。


そうのこと
筝;中国・日本などの撥弦楽器の一つで、古くは「筝のこと」と称したが、近世以降は単に「こと」と呼ぶようになり「琴」の字を当てた。
ことぢ
柱;筝や和琴の弦と胴の間に挟み立てて弦の張りを強くし、これを移動することによって音程を調節する道具。

しょうしょう

瀟湘;中国湖南省洞庭湖の南にある瀟水と湘水。

 たまづさ 
玉梓;手紙。消息。文。(古代に手紙を梓の枝などに結び付けて使者が持参したことから)




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