大字朗詠抄切(大字和漢朗詠抄切)和漢朗詠集 巻上 春(雨)
本鳥の子紙(茶色)3寸7分×8寸3分
字粒が他の和漢朗詠集の物よりも大きく書かれており、字間・行間も大らかである。漢詩の部分までもが散らし書きになっている大変珍しい例。表面は高野切同様の加工に染の砂子振りの物と羅紋柄の物とが在る。伝源俊頼筆。
料紙は金銀揉み箔振りの染紙及び羅紋紙。
薄茶色・濃茶色
11.2cmx25.1cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。
漢詩・かな 水色文字は使用時母
苔生二石面一 いともてゆける たまかかぞ見る |
夏(首夏) 苔石面に生いて(軽衣短し、 はちす 荷池心より出でて小蓋疎かなり。) ・・・この間脱錯誤在り・・・ 春(雨) (青柳の枝にかかれる春雨は、) 糸もてぬける 以度毛傳由个留 玉かとぞ見る 多末閑々所見流 |
苔石面に生いて軽衣短し、蓮池心より出でて小蓋疎かなり。 (物部安興) 青柳の枝に掛かれる春雨は、糸も手抜ける珠かとぞ見る。 漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 個人蔵 |
ゆ ぬ 「由」は「奴」の見間違いか か と 「々」は「止」の見間違いか 黄字は詩の欠損部分、青字は使用時母 けいい 軽衣;飾りのない略式の着物。薄手の軽い着物。 はちす 荷;蓮。ハスの古名。実の形が蜂の巣に似ていることから。 青柳の;枕詞。糸にかかる。 青柳は春芽吹いた頃の青々とした葉の柳。 春雨;春、若芽の頃の静かに降る細かな雨。 |