道済集 (6寸7分5厘×1尺2分)            戻る 道済集 一覧へ 
   前田家所蔵 具引唐紙(清書用4・5枚目)
こちらは昭和初期の複製本となります。原本は小紋の緞子表紙で、見返しには金銀切箔を散した装飾料紙が使われております。左右両項とも薄い黄雲母が使われた丸獅子唐草の具引唐紙になります。
此処では見開きに一葉が使用されております。通常、臨書用紙1枚はこの状態となります。(但し臨書用紙は実物よりもやや大きめに造られております。)

灰色はいいろ) 丸獅子唐草         灰色   
粘葉本 『道済集』 灰色(丸獅子唐草) 拡大へ 


 道済集(道成集)


右項;丸獅子唐草
具引唐紙(黄雲母)


左項;丸獅子唐草
具引唐紙(黄雲母)



本文解説
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20.4cmx30.9cm
 
光を当てて唐紙を強調しております。実際の見え具合は周りの薄く金茶色に見えている程度と為ります。   
       かな                   使用字母

 ちどりすむ やすのかはら

 の まさごまで、ちとせのかげ

 を おきつしら浪

  女のもとにつかはしける

 さかきばを さしはへていのる

  しるしあらば、ゆふつ
           けてと

 も いはれにし哉


  おむなのうめすこし
           と
  いひてはべりしに、もも

     をつかはすとて

 みな人の ならすかずをし

   かずふれば、あやしく

          梅も もも

              と
   いはるる

 

 遅登梨須舞 也春乃可者良

 乃 末佐己末天、知止世乃可遣

 越於支川之良浪

  女乃毛登仁川可波之个類

 左可起者越 佐之者部弖伊乃留

  志流之安良波、由不徒

             遣弖度

  裳 伊者礼爾之哉


  乎無那乃宇女春己之
              止
  以比弖者部利之爾、裳々

       越川可波春登天

 美那人乃 奈良数可須遠之

  閑須不礼盤、阿也志久

           梅毛 々々

                登
   以者流々

 

千鳥棲む安の河原の真砂まで、千歳の影を沖つ白波
 女の許に遣はしける
榊葉を指し延へて祈る徴有らば、木綿付てとも言はれにしがな
 女の梅少しと言ひて侍りしに、桃を遣はすとて
皆人の均す数をし数ふれば、怪しく梅も桃と言はるる
 



安の河原;天の河原。天上界に在ると云われている河原

 ゆふ
木綿;楮の木の皮を剥ぎ、その繊維を蒸して水に晒して、細く裂いて糸としたもの。主に幣として祭りの時などに榊に付け、祈願に用いた。









拡大図 唐紙(丸獅子唐草) 
唐草文様には、黄ギラが使用してあります。鈍い黄白色に光って見えておりますが、実際に手に取ってみますと淡い金茶に光って見えます。

粘葉本 『道済集』 灰色(丸獅子唐草) 拡大