道済集 (6寸7分5厘×1尺2分)            戻る 道済集 一覧へ 
   関戸氏所蔵断簡 具引唐紙 具引蝋箋(清書用12・13枚目)
こちらは昭和初期の複製本となります。原本は小紋の緞子表紙で、見返しには金銀切箔を散した装飾料紙が使われております。右項は濃い水灰色地に蝋箋で亀甲紋が施されています。
道済集の墨書は藤原定家が記したものとされています。この裏面11帖目は墨書の無い唐紙料紙(清書用11枚目)
両項とも関戸家蔵断簡となります。左項は薄い茶紫色地に黄雲母で丸獅子唐草が施されています。

薄茶紫色うすちゃむらいろ) 丸獅子唐草   濃水グレー色のうみずグレー)   
粘葉本 『道済集』 左側、ウス茶紫色(丸獅子唐草) 右側、水グレー色(亀甲紋) 拡大へ 

 道済集(道成集)


右項;亀甲紋
具引蝋箋(全ローセン)


左項;丸獅子唐草
具引唐紙



本文解説
使用字母へ



20.4cmx30.9cm
 
弱い光を当てて唐紙を強調しております。実際の見え具合は周りの薄い茶色と鈍い青グレーに見えている程度と為ります。   
      かな                  使用字母

    
みちなりしゅう
    道済集



  おもひかけてはべりし

          女

  つれなくのみ侍りしかば

 つれなさぞ あづさの

    ゆみの はるさへに、

  みしらぬさまの 

       けしきなりける


 


   
道濟集



  於裳日可遣弖波部利之

         女

  川礼奈久乃三侍利之可者

 徒連奈散處 安川左乃

   遊美乃 者流左部仁、

  美之羅奴左末乃

     希志支奈利个類


 

 思ひ掛けて侍りし女、連れ無くのみ侍りしかば
つれなさぞ梓の弓の春さへに、見知らぬ様の景色なりける



思い掛けて;心にかけて。恋しく思って。





梓の弓の;枕詞「梓弓」と同義か。
「張る」にかかる。


春だというのにつれない素振を皮肉ったもの。



拡大図 唐紙 (丸獅子唐草)                            具引蝋箋(亀甲文)
唐草文様には、白ギラが使用してあります。
粘葉本 『道済集』 左側、ウス茶紫色(丸獅子唐草) 右側、水グレー色(亀甲紋) 拡大