三十六人集 伊勢集(石山切) 破り継『亭子院歌合』(清書用臨書用紙) 戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ  戻る 『伊勢集』  一覧へ

伊勢集第十四紙料紙、破り継『亭子院歌合』の部分の清書用臨書用紙になります。伊勢集そのものには裏面にも歌が書かれておりますが、表面のみの加工ですので表面のみの使用と御承知おきください。裏面にも墨入れをすることは可能ですが、裏面を使用するには力量が必要となります。裏面の臨書には同じ料紙をご利用頂くか、白具引料紙(花鳥折枝)をご利用下さい。

三十六人集 破り継 『亭子院歌合』 (伊勢集)    伊勢集 破り継 『亭子院歌合』 第十四紙 書拡大へ
破り継料紙の書手本
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第十四紙用料紙
伊勢集・亭子院歌合 (半懐紙)原本より一回り大きくなります。
こちらの破り継は左側五分の一に白台紙を右側に大きく色紙を集めたタイプのもので、継口が大きく波を打っていて複雑に入り組んだ地形に見えるタイプのものです。右下側には金銀を鏤めていない染紙が用いられており、唐草柄の無い色台紙となっており湖のようにも見えます。台紙の具引唐紙の柄は二重唐草です。
 
  
三十六人集 破り継 『亭子院歌合』 (伊勢集) 左上部分拡大 左上破り継部分 
 伊勢集・亭子院歌合左上破り継部分の拡大です。左側の唐紙柄は、二重唐草です。
この写真の中に5枚の破り継紙片、2枚の台紙(左側白色は具引唐紙・二重唐草、右下側薄藍色は染紙)が有ります。
   
三十六人集 破り継 『亭子院歌合』 (伊勢集) 左下部分拡大 左下側破り継部分

花鳥折枝金銀
袷型打
(千鳥・紅葉・松枝) 
 伊勢集・亭子院歌合
左下側破り継部分の拡大です。白台紙の唐紙柄は二重唐草です。
花鳥折枝金銀袷型打は原紙の物とは異なります。同等の雰囲気の柄としてご了承下さい。
 
三十六人集 破り継 『亭子院歌合』 (伊勢集) 右下側台紙部分拡大  染紙台紙部分
花鳥折枝金銀袷型打

(千鳥・紅葉・松枝・野菊・蔓竜胆)
 
伊勢集・亭子院歌合  花鳥折枝金銀袷型打 
右下側の台紙部分は薄藍色の染紙です。
 


伊勢集 破り継 『亭子院歌合』 第十四紙 書手本(伊勢集)   解説及び使用字母
 伊勢集・亭子院歌合 書手本 縦6寸7分、横1尺5分5厘 第十四紙 破り継料紙

歌番号は伊勢集内での通し番号                 青色文字は
使用字母        解釈(現代語訳)
100
 さくらはな ひとさかりなる 物なれば、
 なかれてみえす なるにさるべき

   
ていじいんのうたあわせのとき
   亭子院歌合時
101
 あをやぎの えだにかかれる 春さめを、
 いともてぬける たまかとぞみる

102
 あさみどり そめてみだれる
  あをやぎの、いとをばはるの かぜ
                や
              とくらん
103
 みづのおもに あや
   おりみだる 春早雨や、
       山のみどりを なべてそむらん
104
 みる人も なき
    山ざとの さくらはな、
         ほかのちりなむ のちぞ
              さかまし
105
 あふことの 君
  にたえにし 我みより、
    いくそのなみだ ながれいづらん

   
かすがのうたあわせのとき
   春日歌合時
106
 山ざくら ちりてみゆきに
  まがひなば、いづれかはなと はるに
                とはなむ

 
100
 左久良者那 比止左可利奈類 物奈禮盤
 奈可禮天美衣須 奈類爾左流部支


   亭子院哥合時
101
 安遠也支能 衣多爾可々禮留 春左免越
 以止毛天奴希流 太万可止楚三留

102
 安佐美止利 楚免天美堂禮類
  安乎也支能、以止遠波々流乃 可世
                也
              止久良无
103
 美徒乃於毛仁 安也
   於利美太類 春早雨也、
       山乃美止利乎 奈部天所武良无
104
 美類人毛 奈支
    山左止能 左久良者那、
         本可能知利奈武 能知所
              佐可末之
105
 安婦己止能 君
  耳太衣爾之 我三與利、
   以久楚能奈美太 奈可礼以川良无


   春日哥合時
106
 山左久良 知利天美遊支仁
  万可比奈者、以川禮可者那止 者流爾
                止者那武

「與」は「与」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。
( )内は次項にあり。

          現代語訳                      解釈         解説及び使用字母
100
「桜花人盛りなるものなれば、流れて見えず成るにざるべき」
桜の花は人盛りになってしまうものなので、流れに押されて見えないことになってしまわない様にすべきでありましょう。


   亭子院の歌合せの時に

101
「青柳の枝に掛れる春雨を、いともて貫ける玉かとぞ見る」
青柳の枝に降りかかっている春雨が、糸でもって貫いた珠かと見えましたよ。


102
「浅緑染て乱れる青柳の、糸をば春の風や解くらむ」
浅緑色に染まって乱れている青柳の糸を、春の風が梳いているようですよ。


103
「水の面に綾織り乱る春早雨や、山の緑を並べて染むらん」
水面にまるで綾を乱れ織るかのように降る春雨よ、山の緑を一面に染め上げているかのようですよ。


104
「観る人も無き山里の桜花、他の散りなむ後ぞ咲かまし」
観る人も居ない山里の桜の花よ、他の地域の桜の花が散って終う後で咲いたら良いのに。


105
「逢う事の君に絶えにし我が身より、幾十の涙流れ出づらん」
お会いすることが貴方様との間に絶えてしまった私の中から、どれ程多くの涙が流れ出るのでしょう。

   
   春日の歌合せの時に

106
「山桜散りて御幸に紛ひなば、何れが花と春に問はなむ」
山桜が散って上皇様とのお出かけの道が花弁で見分けが付かなくなってしまったので、どれが桜の花木かと春に問い質さなければなりませんね。


100
(桜の花見は大勢の人々で混雑するので、人の流れに揉まれて花が見られないことになってしまわない様に注意すべきででしょう。)との意を詠んだ歌。


101
(芽吹いたばかりの枝垂れ柳に降りかかっている春の雨が、光を受けて輝いて見えたので糸でもって貫いた珠かと思いましたよ。)との意を詠んだ歌

102
(芽吹いて間もない浅緑色に色付き始めてあちこち向いた葉を付け乱れていた枝垂れ柳の枝を、春の風が一方に吹流してまるで髪の毛を梳く様に優しく梳いているように見えますよ。)との意を詠んだ歌。


103
(水面に様々な模様を織りなすかのようにして降り続く早春の雨よ、山の緑も同じ様に一斉に染め初めているようですね。)との意を詠んだ物。
あや
綾;物の面に現れた様々な線や形の紋様。特に斜めに交差した模様。


104
(山里では見に来る人も少ないので無理に同じ時期に咲かなくても良いのに、人に見られることも無く終わってしまうのは残念ですよ。)との思いを詠んだ歌

まし;…すればよいのに。適当の意の助動詞「まし」。係助詞「ぞ」を受けて連体形となる。

105
(貴方様との仲が途絶えてしまったので私の中から、一体いかばかりの涙が溢れ出てしまうのでしょうか)との意。

にし;…てしまった。完了の助動詞「ぬ」の連用形「に」に過去の助動詞「き」の連体形「し」ついたもの。切ない終焉を表す。
いくそ
幾十の;どれ程多くの。数多くの。

106
(山桜が散って辺り一面に花弁が敷き詰められていて上皇様とのお出かけで道と花との見分けが付かなくなってしまったので、どれが桜の花木かと春に質問しなければなりませんね。)との意。



 ていじいん
            かんぴょうほうおう
亭子院;宇多法皇の院号。寛平法皇とも云う。又その離宮。落飾して坊主になり仏門に入った上皇を太上法皇(法皇)と呼んだ。


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解説及び使用字母