三十六人集 伊勢集(石山切) 破り継『我宿波』(清書用臨書用紙) 戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ  戻る 『伊勢集』  一覧へ

伊勢集第三十紙料紙、破り継『我也止波』の部分の清書用臨書用紙になります。伊勢集そのものには裏面にも歌が書かれておりますが、表面のみの加工ですので表面のみの使用と御承知おきください。裏面にも墨入れをすることは可能ですが、裏面を使用するには力量が必要となります。裏面の臨書には同じ料紙をご利用頂くか、白具引料紙(花鳥折枝)をご利用下さい。

三十六人集 破り継 『我也止波』 (伊勢集)   伊勢集 破り継 『我也止波』 第三十紙 書拡大へ
破り継料紙の書手本
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第十四紙用料紙
伊勢集・破り継『我宿波』 (半懐紙)原本より一回り大きくなります。
こちらの破り継は左側五分の一に白台紙を右側に大きく色紙を集めたタイプのもので、継口が大きく波を打っていて複雑に入り組んだ地形に見えるタイプのものです。右下側には金銀を鏤めていない染紙が用いられており、唐草柄の無い色台紙となっており湖のようにも見えます。台紙の具引唐紙の柄は二重唐草です。
 
  
三十六人集 破り継 『我也止波』 (伊勢集) 左上部分拡大 左上破り継部分


伊勢集 破り継 『我也止波』 第三十紙 部分拡大へ
花鳥折枝金銀袷型打に
光を当てた見え方
 
 伊勢集・破り継 『我宿波』左上破り継部分の拡大です。
右上側の藍白の唐紙柄は、花唐草で破り継紙片の様に使用してあります。
この写真の中に1枚の破り継紙片、2枚の台紙(右上側藍白色は具引唐紙・花唐草、右下側白色は具引染紙)が有ります。
   
三十六人集 破り継 『我也止波』 (伊勢集) 左下部分拡大 左下側破り継部分

花鳥折枝金銀
袷型打
(千鳥・紅葉・松枝・草藤)


 
伊勢集 破り継 『我也止波』 第三十紙 部分拡大へ
花鳥折枝金銀袷型打に
光を当てた見え方
 伊勢集・破り継 『我宿波』
左下側破り継部分の拡大です。左下隅の極薄茶台紙の唐紙柄は二重唐草です。
右上隅の白色は唐草柄の無い白具引の台紙です。
花鳥折枝金銀袷型打は原紙の物とは異なります。同等の雰囲気の柄としてご了承下さい。
 
三十六人集 破り継 『我也止波』 (伊勢集) 右下側台紙部分拡大 染紙台紙部分
花鳥折枝金銀袷型打

(千鳥・紅葉・松枝・蝶々・草藤)
 
伊勢集・破り継『我宿波』  花鳥折枝金銀袷型打 
右側の台紙部分は唐草柄の無い白色の具引染紙です。
 


伊勢集 破り継 『我也止波』 第三十紙 書手本(伊勢集)   解説及び使用字母
 伊勢集・亭子院歌合 書手本 縦6寸7分、横1尺5分5厘 第十四紙 破り継料紙

歌番号は伊勢集内での通し番号                 青色文字は
使用字母        解釈(現代語訳)
268
 我やどは いまぞふるすと なりぬなる、
 君よるさとの さかのななれば


269
 山びこの よそにこたへし こゑなれど、
 こととひしこそ 恋しかりけれ


   かへし

270
 よそながら へなむとぞおもふ 恋しきか、
 なれてののちは あらしとおもへば


   たび人のちかことたてし時
271
 いふことも たのむることも あやまたば、
 よにふるみとも あらじ
          とぞ思


   かへし

272
 いふことの たがはぬ物に あらませば、
 のちうきことぞ きこえざらまし


   そらこといふ人ありとききて

273
 なみだがは わがなきよめむ ももしきの、
 (人のこころを まくらにもがな)


 
268
 我也止波 以末所婦類春止 奈利奴那類、
 君與類左止能 左可能奈々礼者


269
 山比己能 與楚爾己太部之 己恵奈礼登
 己止々比之己楚 戀之可利計礼


   加部之

270
 與所奈可良 部奈武止所於毛婦 戀之支可、
 奈禮天乃々知者 安良之止思部者


   太比人能知可己止多天之時
271
 以婦己止无 太乃武類己止无 安也末多波、
 與爾布類美止毛 安良之
          止所思


   可部之

272
 以不己止能 堂可者奴物爾 安良万世波、
 能知宇支己止楚 支己盈佐良末之


   楚良己止以不人安利止支々天

273
 奈三太可者 和可那幾與女武 毛々之支乃、
 (人乃己々呂乎 万久良仁毛可那)


「與」は「与」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。
「禮」は「礼」とすることも。
( )内は次項にあり。

          現代語訳                      解釈         解説及び使用字母
   (返し)

268

「我宿は今ぞふるすとなりぬなる、君寄る里の嵯峨の名なれば」
我が家は今でこそ飽きて忘れられたものとなってしまいましたが、でも君に傾き好意を感じていた里の嵯峨という名であるのでね。


269
「山彦の他所に応へし聲なれど、言問ひしこそ恋しかりけれ」
山彦の他人様に応じている声ではあるけれども、言葉を掛けられているという事こそ恋しいものであったのですよ。


   返し

270
「他所乍ら経なむとぞ思ふ恋しきか、慣れての後は在らじと思へば」
他所に居ながらでも月日を過ごそうと思っておりますよ、未だに恋しているのか、打ち解けた後のことなどありはしないと思っておりますので。


   旅人が誓いの言葉をかけていた時

271
「言ふ事も頼むる言も誤たば、世に旧みとも在じとぞ思ふ」
言う事も頼みとさせてもらっていた言葉も誤りであると云うのなら、世間ではありふれたこと等という事もあってはならないとさへ思いますよ。
或は
「言ふ事も頼むる言も文俟たば、世に旧みとも在じとぞ思ふ」
言う事も頼みとさせてもらっていた言葉も道理を期待して待っていれば、世間では昔の事等という事も有る訳ないと思いますよ。


   返し

272
「言ふ事の違はぬものにあらませば、後憂き事ぞ聞こえざらまし」
もしも言う事が食い違うことの無いものであるならば、後で思い悩むことなども聞こえて来ないのでしょうに。


   空言を言う人がいると聞いて

273
「涙川我が名清めむ百磯城の、人の心を枕にもがな」
涙川で私の名を清めようと思っていますよ、宮中に居る人の心を枕としたいものですねえ。


268
(我が家は古びて忘れ去られた屋敷となってしまいましたが、心が貴方に傾き好意を寄せていた里の名で貴方と同じ名である「嵯峨」という名前なので。私は貴方の事は忘れはしませんよ。)との意を詠んだ歌。
里の名である「嵯峨」は、飽きられる宿命にあったのだと云う「性」を連想させるので、自身を納得させようとする意もあるのかも。

269
(山彦の声の様に私とは関係のない声で有っても、言葉を掛けられているという事こそが身に染みて懐かしいものだったのです。)との意を詠んだ歌

270
(遠くに居ながら月日を過ごそうと思っておりますよ、未だに恋しているのだろうと思いますけど、親しんで打ち解けあう後のことなどありはしないと思っておりますので。)との意を詠んだ歌。


271
(誓いの言葉も拠り所としていた言葉も有り得ないと云うのなら、世間では珍しくも何とも無く当たり前だという事もあるはずがないとさへ思いますよ。ですから信じて下さいね)との意を詠んだもの。
あや
文;物事の筋道。道理。
文俟たば;物事の道理を期待して待っていれば。
旧み;過ぎ去ったこと。昔の事。「み」が形容詞の語幹に付いてその意味を名詞化する。


272
(若し言う事や当てにしていた事が予想に反するもので無いのなら、後で思い悩むことになる等という言葉も耳に入って来なかったのでしょうに。)と返して詠んだ歌

…せば…ざらまし;もし…だったら…ないであろうに。さ行変格活用の動詞「為」の未然形「せ」に接続助詞「ば」、間を置いて更に打消しの助動詞「ず」の未然形「ざら」に反実仮想の助動詞「まし」の付いたもの。

273
(涙の川の水で私の汚名を洗い清めようと思いますよ、天子様のお気持ちを袖と共に敷きまして、涙を受け止める為の枕としましてね)との意。

もがな;…であればなあ。…したいものだなあ。終助詞「もが」に希望の意を表す終助詞「な」付いたもの。願望の意を表す。
そらごと
空言;実行の伴わない口先だけの言葉。根も葉もない噂。


 ていじいん
            かんぴょうほうおう
亭子院;宇多法皇の院号。寛平法皇とも云う。又その離宮。落飾して坊主になり仏門に入った上皇を太上法皇(法皇)と呼んだ。


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解説及び使用字母
 
 
 
三十六人集 破り継 『我也止波』 (伊勢集) 左上側破り継部分拡大
花鳥折枝金銀袷型打に光を当てた状態


伊勢集 破り継 『我也止波』 第三十紙 左上側部分拡大へ
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 伊勢集・破り継 『我宿波』左上側破り継部分の拡大 花鳥折枝金銀袷型打に光を当てた状態  
 
三十六人集 破り継 『我也止波』 (伊勢集) 左下側台紙部分拡大
花鳥折枝金銀袷型打に光を当てた状態


伊勢集 破り継 『我也止波』 第三十紙 左下側部分拡大へ
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 伊勢集・破り継 『我宿波』左下側破り継部分の拡大 花鳥折枝金銀袷型打に光を当てた状態