小島切 斎宮女御集（緞子表紙） 
鳥の子紙（薄茶色）５寸４分５厘×７寸２分５厘
こちらは、小島切の部分抜粋です。鳥の子紙に染加工、雲母砂子撒きをしたものです。裏面は高野切同様の加工で、表面には更に一葉につき三か所の飛雲を施してあります。
写真は雲母振りの染紙、飛雲料紙の表面です。写真では飛雲が一か所ですが、この項の左に残り半葉分が有り、そちらには二つの飛雲が配してあります。
雲母振りの様子がよく判るように、斜めに映したものです。
薄茶色
１６．５ｃｍｘ２２ｃｍ きらすなご
雲母の光を捉える為、実際よりもやや淡く映っております。薄茶色の雲母振り染紙です。雲母砂子は粗目の物が荒く撒いてあります。
藍と紫の部分が染められた繊維の飛雲です。よく目を凝らすと縦横の筋の様な物が見えますが、これは紙を漉く時の紗の織り目が残ったものです。
かな 使用字母
ひさしうまいりたまはぬことと ある御返しにさとより とふことの はるかなるには うぐひすの、ふる すをたたむ ことぞものうき まうのぼりたまへるにうへおほとの ごもりたまへるほどなればただにおり たまふつとめて かくれぬに おひたるあしの うきねして、 はてはつれなく みゆるきみかな |
日散之 安留御返爾左止與利 婦己止乃 者留可那留爾盤 宇久比寸乃、布留 越多々武 己止曾毛乃宇支 末宇乃本利多末部留爾宇部於本止乃 己毛利多万部留本止奈礼者多々爾於利 多万不川止女弖 可久礼奴爾 於比多留阿之乃 宇支禰之天、 者弖八川礼奈久 美由類幾美可那 |
| 一項目（小島切本） 漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 一段低くなっているのは詞書 大殿籠り；貴人がお休みになる事。 つとめて；強いて心を励まして。若しくは早朝。 かくれぬ 隠沼；草などに覆われていて外からは見えない沼。 うきね 浮寝；定まった宿りの場所無く寝る事。 又は「浮」を「憂」きにかけ、涙に浸って寝ること。 |
久う参り給わぬことと、ある御返しに里より 11 訪うことの遥かなるには鶯の、古巣をたたむことぞ物憂き まうのぼりたまへるに、うへ大殿籠りたまへるほどなれば、唯におり給ふつとめて 145 隠沼に生（老）たる葦の浮根（浮寝）して 果てはつれなくみゆる君かな |
