寸松庵(寸松庵色紙・古今和歌集抄本) 巻五・秋下      戻る 寸松庵色紙 一覧へ
 具引唐紙『花襷紋』(薄渋黄土色)「白露の」 田中親美氏作模写本

こちらの寸松庵色紙は明治末期の初版複製本では間に合わず、大正初期に増版されたもの。
当初の木版のみの物よりも、やや料紙が大きくなっている。「しらつゆの」の「つ」の部分の墨割れは目立ち難い程度に修正されている。
よく見るとこの断簡には反転した文字が移っている。恐らくこの右側に書いてあったであろう歌が何かの理由で転写されたものである。(右項の断簡は未だ発見されず。)

『川良由支 安幾可世乃 不支爾之比與利 於止者□□、見年乃己春恵毛 □□川支爾□□』と読取れ
「(歌256) つらゆき あきかぜの ふきにしひより おとはやま、みねのこずゑも いろづきにけり」と相応する。参考に他の左右一紙と思われる部分

□は不明箇所



                かな                                水色文字は使用時母

寸松庵色紙 秋下 『白露の』 (薄渋黄土色) 拡大
12.2cmx13.1cm

       としゆき

  しらつゆの いろは

   ひとつを いかにして

  あきのこのはを ちぢ

   に そ む ら ん


      
使用時母

        東之由支

  之良川由乃 以呂盤

   悲止川遠 以可爾之天

  安幾乃己乃者遠 知々

   爾 所 无 良 无

                              藤原敏行
257
 白露の色はひとつを如何にして、秋の木の葉を千々に染むらん

白露の色は只一色なのに(露が下りる毎に)、どうやって秋の木々の葉を様々な錦に染め上げることが出来るのだろう。


終わり二文字を「とも」と読むと
白露の色はどうして只の一色なのだろうか、(露が下りる毎に)秋の木々の葉をたとえ様々な錦に染めることが出来ようとも。



薄渋黄土色具引唐紙・白雲母『牡丹唐草』(中唐草・全面) 

 漢字の意味の通じるものは漢字で表記
 一行は一行に、繰返しは仮名で表記

此の歌の詞書;惟貞親王の家の歌合せ



     
   
5行目「良无」は「止无」とも読めるが、・・・。



写真では確認し辛いが、牡丹唐草が施されている。

薄渋黄土色;黄、黄茶、薄茶とすることも。
 右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製)
これまでの清書用には入れられていない柄 (上製のみ)
(普通清書用では薄渋黄土色柄無の物を利用してください、右側)
     上製       普通清書用
 寸松庵色紙 具剥奪唐紙(薄渋黄土色)『牡丹唐草』 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ  寸松庵色紙 具剥奪紙(薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
清書用 薄渋黄土色具引唐紙
白雲母『牡丹唐草』
 

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歌256;「いし山にまうでけるときおとはやまのもみぢをみて」の詞書