寸松庵(寸松庵色紙・古今和歌集抄本)          戻る 寸松庵色紙 一覧へ
 左右一紙と思われる部分「花のちる」と「こづたへば」、「ほととぎす」と「おもひいづる」、「ちはやぶるかみの」と「あめふれば」、「ふみわけて」と「秋のつき」、「ちはやぶるかみよ」と「わがきつる」、「ゆふづくよ」と「道しらば」の6か所12枚 

寸松庵色紙は古今和歌集の四季の歌を精撰して書写したもので、元は粘葉本と思われる冊子に書写されたものが分割され、色紙の形に残ったもの。佐久間将監が京都大徳寺の塔頭寸松庵の離れ寸松庵で愛玩していた事により、江戸の初めに寸松庵色紙と名付けられたもの。元々堺が繁盛していた頃に南宗寺の襖に三十六枚の色紙が貼られており、その内の十二枚を寸松庵に譲り受けたもの。残りの幾つかは烏丸光弘が譲り受けている。唯、この時には既に色紙の形に為っている訳であるからかなり早い時期から分割分散が甚だしく、手習い見本としては相当に重宝されていたと見える。
茶掛けとして古筆が持て囃されてくると、この小さな色紙もその散らし書きの美しさからやがて陽の目を見ることとなり、後の世に高値で取引されるに至った。


当初の粘葉本として書かれていた状態一覧


寸松庵色紙 秋下 『あめふれば』 (薄渋黄土色) 拡大へ寸松庵色紙 秋下 『ちはやぶる かみの』 (薄藍色) 拡大へ

寸松庵色紙 夏 『おもひいづる』 (薄茶色) 拡大へ寸松庵色紙 夏 『ほととぎす』 (薄渋黄土色) 拡大へ

寸松庵色紙 春下 『こづたへば』 (蜜柑茶色) 拡大へ寸松庵色紙 春下 『花のちる』 (蜜柑茶色) 拡大へ
  歌263     歌262   歌148     歌147   歌109     歌108

寸松庵色紙 秋下 『しらつゆの』 (薄渋黄土色) 拡大へ  寸松庵色紙 秋下 『道しらば』 (薄渋黄土色) 拡大へ寸松庵色紙 秋下 『ゆふづくよ』 (薄渋黄土色) 拡大

寸松庵色紙 秋下 『わがきつる』 (茶色) 拡大へ寸松庵色紙 秋下 『ちはやぶる』 (薄茶色) 拡大へ

寸松庵色紙 春上 『秋のつき』 (薄渋黄土色) 拡大寸松庵色紙 秋下 『ふみわけて』 (薄渋黄土色) 拡大
   歌257      歌313     歌312 
  歌295     歌294   歌289     歌288



当初の粘葉本として書かれていた状態(A) 「花のちる」 「こづたへば」


寸松庵色紙 春下 『こづたへば』 (蜜柑茶色) 拡大へ寸松庵色紙 春下 『花のちる』 (蜜柑茶色) 拡大へ
右項は左端に約4ミリの幅で粘葉装としての跡らしき糊付痕が、左項には右端に約3ミリ幅でやはり糊付痕が在る。

古今和歌集としての歌の続きから
元は一枚の料紙としてこの状態に
なっていたと思われる。
       歌109                 歌108
   
  (藤田美術館蔵)            田中親美氏模本
  唐紙は共に蜜柑茶色で「亀甲紋」
色の違いは保存状態による経年変化の差
と思われる。

このページの   上記部分の清書用臨書用紙



当初の粘葉本として書かれていた状態(B) 「ほととぎす」 「おもひいづる」

 
寸松庵色紙 夏 『おもひいづる』 (薄茶色) 拡大へ寸松庵色紙 夏 『ほととぎす』 (薄渋黄土色) 拡大へ
 当初の粘葉本として書かれていた状態

古今和歌集としての歌の続きから
元は一枚の料紙としてこの状態に
なっていたと思われる。
         歌148                 歌147
      (井上侯爵蔵)             (梅澤氏蔵)
    唐紙は共に「夏草」
色の違いは保存状態による経年変化の差と思われる。

このページの   上記部分の清書用臨書用紙

当初の粘葉本として書かれていた状態(C) 「ちはやぶるかみの」 「あめふれば」


寸松庵色紙 秋下 『あめふれば』 (薄渋黄土色) 拡大へ寸松庵色紙 秋下 『ちはやぶる かみの』 (薄藍色) 拡大へ
 其々の項に互いの文字が反転して映っており長い間閉じられた状態にあったと見える。(文字が崩れない程度の高い湿気の中に晒されて墨が移ったもの)

しかも閉じて同じ位置に具剥奪の箇所が直線状に在ることから、閉じた状態で折れ曲がってしまったことも窺える。
       歌263                 歌262
   
                        (藤田美術館蔵)
  唐紙は共に元薄藍色で「柄不明」
多少の色の違いは保存状態による経年変化の差と思われる。


このページの   上記部分の清書用臨書用紙



当初の粘葉本として書かれていた状態(D) 「ふみわけて」 「秋のつき」


寸松庵色紙 春上 『秋のつき』 (薄渋黄土色) 拡大寸松庵色紙 秋下 『ふみわけて』 (薄渋黄土色) 拡大
 ところが此方には上記写真と同じ様な横の具剥奪はない。その代わり縦に若干斜めに直線状の具剥奪が在る。この縦の具剥奪も閉じれば丁度同じ位置に来る。

即ち閉じた状態で縦向きに折れ曲って終ったのが窺える。
このことから、かなり古い段階で一紙ごとに分散されていたか、少なくともCの物とは別々の断簡になっていたものである。

       歌289                 歌288
   
(東京国立博物館蔵)           (田中親美氏模本)
    唐紙は共に「花襷紋」
色の違いは保存状態による経年変化の差
と思われる。


このページの    上記部分の清書用臨書用紙


当初の粘葉本として書かれていた状態(E) 「ちはやぶるかみよ」 「わがきつる」

 
寸松庵色紙 秋下 『わがきつる』 (茶色) 拡大へ寸松庵色紙 秋下 『ちはやぶる』 (薄茶色) 拡大へ
 左右何れも上下斜め二段に散らし書きされているが、右項の散らし方と左項の散らし方とでは趣が異なる。右項は次項に繋がる様に流れを見ながら散し、左項ではそれを受けて単調にならぬ様墨色と散らしに動きを付けている。

継色紙の様に一紙一首で右項左項を形作っている訳ではないが、一紙二首を充分に鑑賞できる様に散らせてある。
         歌295                 歌294
      (末松子爵蔵)             (梅澤氏蔵)
    唐紙は共に「夏草」
色の違いは保存状態による経年変化の差と思われる。


このページの   上記部分の清書用臨書用紙


当初の粘葉本として書かれていた状態(F) 「ゆふづくよ」 「道しらば」

 
寸松庵色紙 秋下 『道しらば』 (薄渋黄土色) 拡大へ寸松庵色紙 秋下 『ゆふづくよ』 (薄渋黄土色) 拡大
 此方の物には明らかに其れと判る様な同一の剥奪痕は無いが、柄が同じで左右繋がっている。
古今和歌集としての歌の続きから元は一枚の料紙としてこの状態になっていたと思われる。

左右で詠者の書出し位置を変えており、「みつね」では右項の散らしの流れの続きに置いている。左項では全体は左下がりに行の頭を置きながらも、「む」を大きくとって突出し動きを付けている。
       歌313                 歌312     唐紙は共に「抱鶴唐草」
色の違いは保存状態による経年変化の差
と思われる。

このページの   上記部分の清書用臨書用紙


当初の粘葉本として書かれていた状態を推定(G) 「あきかぜの ふきに」 「しらつゆの」

 
寸松庵色紙 秋下 『しらつゆの』 (薄渋黄土色) 拡大へ寸松庵色紙 秋下 『あきかぜの』 (薄渋黄土色) 拡大
 此方の物には右項に値する断簡は無いが、左項にうっすらと反転した文字が移っている。
古今和歌集としての歌の続きから見ると此の歌は 
つらゆき
「あきかぜのふきにしひよりおとはやま、みねのこずゑもいろづきにけり」
の歌であり、何とか読み取ってみると次のような字母になる

    
川良由支
安幾可世乃不□爾之比與利於止者□□、
見年乃己春恵毛□□川支爾□□


が五行に書かれている。(□は不明)
       歌257                 歌256     唐紙は「牡丹唐草」
右項にも牡丹唐草に上記貫之の歌が書かれていたと思われる。
詠者の書出しは両項とも同じ高さ

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元一紙分(A) 左「こづたへば」 右「花のちる」

 右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製)
この色柄はこれまでの清書用にも入れられております。
(普通清書用でも蜜柑茶色同柄の物を利用してください、  右側)



この部分の古筆
    上製          上製        普通清書用
 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『亀甲紋』 (蜜柑茶色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『亀甲紋』 (蜜柑茶色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『亀甲紋』 (蜜柑茶色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
 清書用
 薄渋黄土色具剥奪唐紙・『草花』2・3     具剥奪紙
  


元一紙分(B) 左「おもひいづる」 右「ほととぎす」

 右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製)
これまでの清書用には入れられていない柄(上製のみ)
(普通清書用では薄渋黄土色柄無の物を利用してください、右側)



この部分の古筆
    上製          上製        普通清書用
 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『草花』3 (薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『夏草に蜻蛉』 (薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪紙 (薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
 清書用
 薄渋黄土色具剥奪唐紙・『草花』2・3     具剥奪紙
  


元一紙分(C) 左「あめふれば」 右「ちはやぶる かみの」

 右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製)
これまでの清書用には入れられていない柄(上製のみ)
(普通清書用では薄渋黄土色柄無の物を利用してください、右側)



この部分の古筆
    上製          上製        普通清書用
 寸松庵色紙 具剥奪紙 『柄無』 (薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪紙 『柄無』 (灰青緑色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪紙 (薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
 清書用
薄渋黄土色具剥奪紙 灰青緑色具剥奪    具剥奪紙
  


元一紙分(D) 左「秋のつき」 右「ふみわけて」

 右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製)
これまでの清書用には入れられていない柄(上製のみ)
(普通清書用では薄渋黄土色柄無の物を利用してください、右側)
(又は薄茶柄無の物を利用してください)


この部分の古筆
    上製          上製        普通清書用
 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『花襷』 (薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『花襷』 (茶色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪紙 (薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
 清書用
薄渋黄土色具剥奪唐紙・『花襷』 茶色     具剥奪紙
  


元一紙分(E) 左「わがきつる」 右「ちはやぶる かみよ」

 右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製)
これまでの清書用には入れられていない柄(上製のみ)
(普通清書用では茶色柄無の物を利用してください、右側     )



この部分の古筆
    上製          上製        普通清書用
 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『草花』7 (茶色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『草花』6 (茶色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪紙 (茶色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
 清書用
 茶色具剥奪唐紙・『草花』6・7 茶色      具剥奪紙
  


元一紙分(F) 左「道しらば」 右「ゆふづくよ」

 右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製)
これまでの清書用には入れられていない柄(上製のみ)
(普通清書用では薄渋黄土色柄無の物を利用してください、右側)
(又は薄茶柄無の物を利用してください)


この部分の古筆
    上製          上製        普通清書用
 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『抱鶴唐草』 (茶色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪唐紙 『抱鶴唐草』 (薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪紙 (薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
 清書用          薄渋黄土色
茶色具剥奪唐紙・『抱鶴唐草』           具剥奪紙
  


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