三十六人集・断簡 石山切
貫之集(下) 具引濃色染 金銀砂子切箔 (清書用臨書用紙) 戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ
貫之集(下)石山切 具引紙 『濃色赤茶』
具引紙 『濃色赤茶』 花鳥折枝金銀袷型打 (半懐紙)
金茶をやや赤くしたように染め上げられた鳥の子紙に金銀の砂子切箔を全面に鏤めた優美な料紙です。更にその上から金銀泥で花鳥折枝をあしらっております。金銀のきらめきがまるで天空の星屑の様に立体感を持って遥か彼方にまで続いている様に感じ取って頂けたなら幸いです。


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 中央上側部分 具引濃色 花鳥折枝金銀袷型打  
銀が光を反射し過ぎて、必要以上に白く飛んでしまっています。
金銀袷型打の金色は金箔に比べて鈍い光になっております。原因は色々と考えられますが、この臨書用紙につきましても同様に鈍い光と成る様金泥を調合しております。
全面に金銀の小切箔と砂子を散らした染紙料紙です。
 伊勢集 書


貫之集(下) 具引紙 『濃色赤茶』  部分拡大 
 
 左下陰部分 花鳥折枝金銀袷型打 白っぽく見える部分が銀箔、やや黄色っぽく見えるのが金箔です。銀箔と銀泥の色の違いがお解り頂けますでしょうか。
箔は表面が鏡状、泥は非常に細かい砂子の粒ですのであちこちに光を散乱する為です。
金茶黒く見えるのが花鳥折枝金銀袷型打の金型打部分です。
 


貫之集(下)石山切 具引紙 『濃色赤茶』  書手本 
 貫之集(下) 書 第十五紙 項を捲ると裏側 にも書が書かれております。(田中親美氏模写本)
 縦6寸7分、横1尺5分5厘

歌番号は貫之集での通し番号                  青色文字は使用字母

    たまふ夜よめる

543
 おほはらや をしほの山の こまつはら
  はやこたかかれ ちよのかげ見む

    源公忠朝臣の子に元服せさする
    ところにてよめる
544
 きみをみな いはひがてらに ももとせを
 またぬ人なく またむとぞおもふ

    天慶六年正月藤大納言御せうそこ
    にとしころありつる魚袋をつく

    ろはせむとて細工にたまへるをおそ
    くもてくるあひだに日たかくなり
    しかば、いぬについたちの日はつけ
    ずありしかばおほいどのにこのよし
    をきこしめして、わがむかしより
    ようするをあえものに今日ばかり
    つけよとおほせられてたまへりし
    かば、よろこびかしこまりてた
    まはりようして、まつのえだに
    つけて返したてまつるそのよし
    内侍のかみのとのに、いささかきこえむ




 

    多万不夜々女留
543
 於保者良也越之本能山乃己万川者良
 者也己多可々礼知與乃可計見武
 
    源公忠朝臣能子二元服世佐寸類
    
止己呂爾弖與女留
544
 幾見遠美那以者比可天良仁毛々止世遠
 万多奴人奈久万多武止曾於毛不

    天慶六年正月藤大納言御世宇曾己
    耳止之己路安利川留魚袋越川久
    呂者世武止天細工二多万部留遠於曾
    久毛天久留安比多爾日多可久奈利
    之可波、以奴爾川以多知能日八川計
    寸安利之可波於保以止能二己能與之
    越支己之女之天、和可武可之與利
    與宇寸留遠安衣毛能爾今日者可利
    川計與止於保世良礼弖多万部利之
    可波、與呂己飛可之己万利弖多
    末者利與宇志弖、万徒乃衣多仁
    川計弖返之多天万川留曾能與之
    内侍乃可美能止乃二、以左々加幾己衣武




「與」は「与」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。
「礼」は「禮」とすることも。
「个」は「介」とすることも。
「弖」は「天」とすることも。

せうそこ
消息;来意を告げること。便り。ことの成り行き、有様。

ぎょたい               せちえ だいじょうえごけい
魚袋;束帯着用時の装飾具の一つ。節会、大嘗会御禊などの儀に際し、右腰に下げた物。当初は袋型をしていたが、後には長方形の箱状の物を鮫皮で包み、金製若しくは銀製の魚の形を表に六つ、裏に一つ付けた物。金魚袋は公卿、銀魚袋は殿上人に使われた。

あえもの
肖物;お手本に成るもの。幸運にあやかる為の物。
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