貫之集・上15 『蝶々』　西本願寺本三十六人集臨書用紙

三十六人集貫之集上　破り継『蝶々』清書用臨書用紙 (半懐紙)　　

	破り継『蝶』書手本へ
破り継　蝶　具引唐紙　花鳥折枝金銀袷型打具引唐紙（花唐草）の台紙部分が破り継の様に使われている珍しいタイプのものです。蝶は３匹とも金燻銀の袷型打ちとなります。蝶部分の紙は、染紙（ﾍﾞｰｼﾞｭ色・淡色よりやや濃く中色よりも淡い程度）で具引きではありませんので、唐紙部分より若干タッチの違いが有ります。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
。料紙右上側部分	右上側部分破り継『蝶』書手本へ
破り継料紙右上側部分　貫之集上　第二十七紙用臨書用紙　　『揚羽蝶（あげはのちょう）』『揚羽蝶』は紋所の呼び名で、物に留まったアゲハチョウを側面から描いた紋。左端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙（唐紙柄は花唐草）	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
。料紙右下側部分	右下側部分破り継『蝶』書手本へ
破り継料紙右下側部分　貫之集上　第二十七紙用臨書用紙　　『胡蝶=揚羽蝶（あげはちょう）』揚羽蝶は幸運を運んでくる使いとも信じられていた。『胡蝶』は紋所の呼び名で、翅を広げた蝶を真上から描いたもの。左端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙（唐紙柄は花唐草）。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
。料紙左上側部分	左上側部分破り継『蝶』書手本へ ←ここら辺、唐紙部分に花鳥折枝金銀袷型打『松枝・千鳥』
破り継料紙左上側部分　貫之集上　第二十七紙用臨書用紙　　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　右端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙。（唐紙柄は花唐草）大変見辛いですが、右端の具引唐紙部分には花鳥折枝金銀袷型打（松枝・千鳥）が施してあります。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
。料紙左下側部分	←ここら辺、唐紙部分に花鳥折枝金銀袷型打『桜草（芝桜）・松枝』左下側部分破り継『蝶』書手本へ
破り継料紙左下側部分　貫之集上　第二十七紙用臨書用紙　　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　右端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙。（唐紙柄は花唐草）　大変見辛いですが、右端の具引唐紙部分には花鳥折枝金銀袷型打（桜草・松枝）が施してあります。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
料紙左側『蝶』部分	料紙左側『蝶』部分『孤蝶』
左側『蝶々』部分　花鳥折枝金銀袷型打部分拡大　　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　右端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙。（唐紙柄は花唐草）大変見辛いですが、右端の具引唐紙部分には花鳥折枝金銀袷型打（松枝・千鳥・桜草）が施してあります。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
料紙右側『蝶々』部分	あげはのちょう ←ここら辺、『揚羽蝶』料紙右側『蝶々』部分　　　　　　　こちょう ←ここら辺、『胡蝶』
右側『蝶々』部分　花鳥折枝金銀袷型打部分拡大	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
書手本右上側部分	右上側部分臨書用紙へ
書手本右上側部分　貫之集上　第二十七紙　　破り継料紙　『揚羽蝶（あげはのちょう）』『揚羽蝶』は紋所の呼び名で、物に留まったアゲハチョウを側面から描いた紋。左端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙（唐紙柄は花唐草）。	装飾料紙書手本　6寸7分×1尺5分
書手本右下側部分	右下側部分臨書用紙へ
書手本右下側部分　貫之集上　第二十七紙　　破り継料紙　『胡蝶=揚羽蝶（あげはちょう）』揚羽蝶は幸運を運んでくる使いとも信じられていた。『胡蝶』は紋所の呼び名で、翅を広げた蝶を真上から描いたもの。左端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙（唐紙柄は花唐草）。	装飾料紙書手本　6寸7分×1尺5分
書手本左上側部分	左上側部分臨書用紙へ
書手本左上側部分　貫之集上　第二十七紙　　破り継料紙　　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　胡蝶は蝶の美称で昔、荘子が蝶になった夢を見たが夢から覚めた後、自分が夢の中で蝶に為ったのか、或は蝶が夢の中で自分と云う人間に為ったのか、その区別が付かなくなとの故事がある。この事から、夢か現実か、現実か夢かはっきり区別できないことの喩えとして「胡蝶之夢」とも云われ、人生が夢の様に儚いことの喩えとしても云われる。	装飾料紙書手本　6寸7分×1尺5分
書手本左下側部分	左下側部分臨書用紙へ
書手本左下側部分　貫之集上　第二十七紙　　破り継料紙　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　胡蝶は蝶の美称で、貫之集を含む三十六人集の装丁の様に料紙を二つ折りにして、山の部分を数ミリ幅で糊付けにした粘葉装の装丁を、蝶が羽を広げた様に見える所から胡蝶装とも呼ぶ。	装飾料紙書手本　6寸7分×1尺5分

　

書手本

解説・使用字母へ

　貫之集・上　破り継料紙『蝶々』　書手本　第二十七紙　縦6寸7分、横1尺5分5厘

歌番号は貫之集での通し番号　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　青色文字は使用字母　　　　　　　　　　解説・現代語訳へ

296
（ちるはなのもとにきてこそくれはつ）
　る、春のをしさはまさるべらなれ
　　　きさらぎおほかみのまつりのつかひ
　　　二月大神祭使
297　　　　　　　　　おぼ
　いづれをかしるしと思むみわの山
　みえとみゆるはすきにそありける
　　　　　　　　　　　　　うのはな
　　　人の家のかきのもとの卯花
298
　きみならてのちもわすれししろ
　たへの、うの花にほふやどとみつれば

　　　むまにのれる人のおほく
　　　ゆく
299
　ゆくかうゑにはやくゆけこま神かけの
　みむろの山のやまかつらせむ
　　　さつき
　　　五月たびびとのやまのほとり
　　　にやどれるがほととぎすな
　　　くをきて

300
　山さとにたびねよにせしほととぎ
　す、こゑききそめてながゐしぬべし

296
　（知留波奈乃毛止爾幾天己所久礼八川）
　流、春乃遠之左波万左留部良奈礼

　　　二月大神祭使
297
　以川礼遠可志留之止思武美和乃山
　三盈止美遊留波寸支爾曾阿利个留

　　　　人乃家乃可支能毛止乃卯花
298
　幾美那良天能知毛王須礼之志呂
　多部乃、宇乃花二本不也止々美川礼者

　　　　无末爾乃礼留人乃於本久
　　　　由久
299
　由久可宇恵爾八也久由个己末神可个
　能、美武呂能山能也末可川良世无

　　　　　五月多比々止乃也末乃保止利
　　　　　爾也止礼留可本止々支数奈
　　　　　久遠支天

300
　山左止爾多悲禰與爾世之本止々支
　春、己恵支々曾女天奈可為之奴部之

（　）は前項にあり
「礼」は「禮」とすることも。
「與」は「与」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　現代語訳　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　解説　　　　　　　　　　　　解説・使用字母へ

296
「散る花の元に来てこそ暮れ果つる春のをしさは勝るべらなれ」
散る花の傍に来たちょうどその頃、すっかり日が暮れて仕舞った。春の残念さは募るばかりであるようだ。

　　　きさらぎおほかみのまつりのつかひ
　　　二月大神祭使
297
「何れをか標と思むみわの山見えと見ゆるはすきにそ有りける」
何を目印とお思いになられているのだろうか、三輪山の神様は。体裁と見られることとは風雅一筋なだけであった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　うのはな
　　　人の家の垣根の元に咲く卯花
298
「君ならて後も忘れし白妙の卯の花匂ふ宿と見つれば」
君を措いて他にはこの後も忘れる事はしますまい、卯の花が咲き誇る屋敷だと見掛けられれば。

　　　馬に乗った人々が多く行き交う

299
「ゆく講会に早く行け駒神かけの三室の山の山蔓せむ」
経の講説に行く際に、馬よ早く行っておくれ、願掛けの為に三室山の山蔓を一杯着けよう。

　　　五月、旅人が山の畔に宿を取っていたが、
　　　時鳥が鳴いているのを聞いて、

300
「山里に旅寝よにせし時鳥声聞き初めて長居しぬべし」
旅先の山里で宿泊していた時のこと、時鳥の声がした。初めて聞いたので、きっと長居してしまうに違いない。

296
（咲いていた花のすぐ近くまで来たちょうどその頃、すっかり花が散って仕舞った。梅の花が愛おしいだけに春の名残惜しさは募るばかりであるに違いない。）との意。

暮れ果つ；すっかり日が暮れる。季節がすっかり終わる。押し詰まる。
　を
愛し；可愛い。愛おしい。「惜し」との掛詞。
　を
惜し；失うに忍びない。惜しい。残念で、捨て難い。

べらなれ；…する様子だ。…らしい。助動詞「べし」の語幹「べ」に接尾語「ら」が接し、更に助動詞「なり」の接続した形。強意の係助詞「こそ」を受けての已然形。平安初期に漢文読下しに現れ、男性口語体として定着したが、平安の終わりとともに廃れていった。

　　　二月大神祭使
297
（三輪山の神様は、いったい何を目印としてお考えになられているのだろうか、見えることが全てで、どう見られようともお構いなしで、風流の道に心寄せるだけであったと云うことだ。）との意。

数寄；芸道一般に打ち込む心。風雅の道。

298
（君を措いて他には、この後も忘れる事はしないでおこうと思う、卯の花が美しく咲いている屋敷を見掛けたならばね。）との意。

忘れじ；忘れる事は無い。「じ」は打消しの意思を表す助動詞。

299
（お経の講義の集まりに行く際のこと、馬に早く行っておくれと願う、願いが叶うよう神仏に誓う為にも、三室山の山蔓を一杯着けようと思う。）との意。

かうゑ
講会；仏教の講義をする集まり。　
やまかづら
山蔓；蔓性のシダ植物ヒカゲノカズラの異称。冠や髪に掛けて鬘とした。

300
（旅先の山里で宿泊していた時のこと、この夏初めての時鳥の声がした。恋心を募らせる時鳥の声を初めて聞いたのできっと長居することになるに違いありませんよ。）との意。

世に；全く。本当に。打消しの語を伴って、決して。さらさら。
　し
為ぬべし；…してしまうのが良い。動詞「す」の連用形「し」に完了の助動詞「ぬ」の連体形「ぬ」、更に助動詞「べし」の付いた形で、確実な推量の意を表す。

おおかみのまつり　　　おおみわじんじゃ　　　　おおものぬしのかみ
大神祭；奈良の大神神社で行われた大物主神の祭。昔、4月・12月の上卯の日に行なった。祭神は蛇体で人間の女に通じ、また祟り神としても現れる。

さいし　　　　　　　　　　　　さいし　ほうへい　　　　　　　　　　　　　　　ささ　
祭使；諸社・山陵(みささぎ)の祭祀に奉幣(神を祭る時に神前に供えるものを捧げること)の為に派遣される勅使。
みささぎ
御陵；天皇・皇后・太皇太后・皇太后を葬る処。その他の皇族を葬る所は墓と呼び慣わす。

三室山；神奈備山。奈良県生駒郡斑鳩町竜田にある山。山麓を竜田川が流れ、古くから紅葉・時雨の名所となっている。御室山は「神のいます山」の意。

ほととぎす
時鳥；初夏に渡来し秋に南方へ去る渡り鳥。自分では子育てをしない、遊び人ならぬ”ぐうたら鳥”(托卵鳥)。夏を知らせる鳥として親しまれ、多くの詩歌に詠まれてきた。特に和歌に多く、「あやなしどり(文無鳥)・くつてどり(沓手鳥)・うづきどり(卯月鳥)・しでのたおさ(死出の田長)・たまむかえどり(魂迎鳥)・よただどり(夜直鳥)・ゆうかげどり(夕影鳥)」など多くの名で詠われている。死出の田長の異名から冥途からやって来る鳥ともされていた。
「ほととぎす人待つ山に鳴くなれば我うち付けに恋勝りけり」（古今集・夏）にも見られる様に、恋心を募らせる歌としてもよく歌われている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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破り継　蝶　具引唐紙　花鳥折枝金銀袷型打具引唐紙（花唐草）の台紙部分が破り継の様に使われている珍しいタイプのものです。蝶は３匹とも金燻銀の袷型打ちとなります。蝶部分の紙は、染紙（ﾍﾞｰｼﾞｭ色・淡色よりやや濃く中色よりも淡い程度）で具引きではありませんので、唐紙部分より若干タッチの違いが有ります。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
。料紙右上側部分	右上側部分破り継『蝶』書手本へ
破り継料紙右上側部分　貫之集上　第二十七紙用臨書用紙　　『揚羽蝶（あげはのちょう）』『揚羽蝶』は紋所の呼び名で、物に留まったアゲハチョウを側面から描いた紋。左端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙（唐紙柄は花唐草）	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
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破り継料紙右下側部分　貫之集上　第二十七紙用臨書用紙　　『胡蝶=揚羽蝶（あげはちょう）』揚羽蝶は幸運を運んでくる使いとも信じられていた。『胡蝶』は紋所の呼び名で、翅を広げた蝶を真上から描いたもの。左端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙（唐紙柄は花唐草）。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
。料紙左上側部分	左上側部分破り継『蝶』書手本へ ←ここら辺、唐紙部分に花鳥折枝金銀袷型打『松枝・千鳥』
破り継料紙左上側部分　貫之集上　第二十七紙用臨書用紙　　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　右端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙。（唐紙柄は花唐草）大変見辛いですが、右端の具引唐紙部分には花鳥折枝金銀袷型打（松枝・千鳥）が施してあります。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
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破り継料紙左下側部分　貫之集上　第二十七紙用臨書用紙　　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　右端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙。（唐紙柄は花唐草）　大変見辛いですが、右端の具引唐紙部分には花鳥折枝金銀袷型打（桜草・松枝）が施してあります。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
料紙左側『蝶』部分	料紙左側『蝶』部分『孤蝶』
左側『蝶々』部分　花鳥折枝金銀袷型打部分拡大　　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　右端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙。（唐紙柄は花唐草）大変見辛いですが、右端の具引唐紙部分には花鳥折枝金銀袷型打（松枝・千鳥・桜草）が施してあります。	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
料紙右側『蝶々』部分	あげはのちょう ←ここら辺、『揚羽蝶』料紙右側『蝶々』部分　　　　　　　こちょう ←ここら辺、『胡蝶』
右側『蝶々』部分　花鳥折枝金銀袷型打部分拡大	装飾料紙臨書用紙　半懐紙
書手本右上側部分	右上側部分臨書用紙へ
書手本右上側部分　貫之集上　第二十七紙　　破り継料紙　『揚羽蝶（あげはのちょう）』『揚羽蝶』は紋所の呼び名で、物に留まったアゲハチョウを側面から描いた紋。左端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙（唐紙柄は花唐草）。	装飾料紙書手本　6寸7分×1尺5分
書手本右下側部分	右下側部分臨書用紙へ
書手本右下側部分　貫之集上　第二十七紙　　破り継料紙　『胡蝶=揚羽蝶（あげはちょう）』揚羽蝶は幸運を運んでくる使いとも信じられていた。『胡蝶』は紋所の呼び名で、翅を広げた蝶を真上から描いたもの。左端の具引唐紙は料紙の中央付近、縦向に設けられた天の川風の隔て紙（唐紙柄は花唐草）。	装飾料紙書手本　6寸7分×1尺5分
書手本左上側部分	左上側部分臨書用紙へ
書手本左上側部分　貫之集上　第二十七紙　　破り継料紙　　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　胡蝶は蝶の美称で昔、荘子が蝶になった夢を見たが夢から覚めた後、自分が夢の中で蝶に為ったのか、或は蝶が夢の中で自分と云う人間に為ったのか、その区別が付かなくなとの故事がある。この事から、夢か現実か、現実か夢かはっきり区別できないことの喩えとして「胡蝶之夢」とも云われ、人生が夢の様に儚いことの喩えとしても云われる。	装飾料紙書手本　6寸7分×1尺5分
書手本左下側部分	左下側部分臨書用紙へ
書手本左下側部分　貫之集上　第二十七紙　　破り継料紙　『孤蝶（こちょう=連れの無い一羽の蝶）』　胡蝶は蝶の美称で、貫之集を含む三十六人集の装丁の様に料紙を二つ折りにして、山の部分を数ミリ幅で糊付けにした粘葉装の装丁を、蝶が羽を広げた様に見える所から胡蝶装とも呼ぶ。	装飾料紙書手本　6寸7分×1尺5分