258
(むめの香の かぎりなければ 折)
人の、てにもそでにも しみに
けるかな
259
とふ人も なきやどなれば とく
るはるは、やへむくらにし さは
らざりけり
260
ゆきやどり しらくもだにも か
よはすは、この山ざとは すみう
からまし
261
たまもかる 海人の行かひ さす
さほの、ながくや人を うらみわ
たらむ
262
このやどの 人にもあはで 朝顔
の、花をのみみて 吾やかへらむ
263
うつろふを にほふと思て ときは
(なる、山には秋も こえずぞあり
ける)
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258
(无女乃香能 可支利奈个礼者 折)
人乃、弖爾毛曾弖二毛 志美爾
个留可奈
259
止不人毛 奈支也止奈連盤 止久
類者留、波也部武久良二 之左八
良左利个利
260
由支也止利 之良久毛太爾毛 可
與八寸者、己乃山左止波 寸三宇
可良末之
261
多末毛可留 海人乃行可比 左寸
左本乃、奈可久也人遠 宇良美王
多良无
262
己乃也止乃 人二毛安波天 朝顔
乃、花遠乃三々天 吾也可部良无
263
宇川呂不遠 仁本不止思弖 止支波
(奈留、山仁者秋毛 己盈須曾安利
気留)
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