三十六人集(西本願寺本)
 中務集 染紙(黄蘖色)・金銀砂子振 清書用臨書用紙 (半懐紙)  戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ


三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 花鳥折枝金銀袷型打 (中務集 )
染紙(黄蘖色) 金銀砂子振り 花鳥折枝金銀袷型打

写真は半懐紙の為、臨書手本よりも一回り大きくなっております。
(本料紙は中務集第五紙の代用品です。花鳥折枝等は実物とは異なります。)


三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 花鳥折枝金銀袷型打拡大 (中務集 )   三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 書手本(中務集 )
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 花鳥折枝金銀袷型打部分拡大(中央やや上側部分)  
 
三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 花鳥折枝金銀袷型打拡大 (中務集 )
 
 花鳥折枝金銀袷型打部分拡大(右下側部分)  


臨書手本

三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 書手本拡大 (中務集 )  使用字母
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 染紙(黄蘖色) 書手本 第五紙 縦6寸7分、横1尺5分5厘      使用字母及び解説へ

歌番号は中務集での通し番号                    青色文字は使用字母

   
(村上の先帝の御屏風のゑにゐなかいへ
   にをとこまらうときたり)

35

 むめのかを とめてきつれば めづらしき、

 うぐひすならぬ こゑもきくかな


   きしのこゑ
36
 はるがすみ あさたつのべに たつとりも、
 しのはぬねにや 人もしるらむ


   ちかきやまのさくら
37
 わがやどし はるのやまべの つまなれば、
 ほかのはなとも おもほえぬかな


   四月みあれひく
38
 きみをのみ いのりおきては うちむれて、
 たちかへりなむ かものかはなみ


   五月五日
39
 しるきかも にほふなるかな あやめぐさ、
 今日こそたまに ぬくひなりけれ


   いづみ
40
 したくぐる みづにあきこそ かよふらし、
 むすぶいづみの てさへすずしき


   秋のあかつきのはなをみるところ

                          
   (村上能先帝能御屏風乃衛爾井奈可部
   耳越止己末良宇東幾多梨)

35
 武女能可遠 止女弖幾川禮波 女川良之支、

 宇久比寸那良奴 
己衛毛支久可那


    
幾之能己衛
36
 者類可寸美 安左多徒乃部爾 多徒止利毛、
 之乃者奴子爾也 人毛之類良無

       キ
    知可也末乃左久良
37

 和可也止之 者類能也末部能 川末那禮波、
 本可能者那止毛 於毛保衣奴可那


    四月美安禮比久
38
 幾美遠能見 以乃利於幾天波 宇知武禮天、
 多知可部利奈无 可毛能可者那見


    五月五日
39
 之類支可毛 爾保不奈類可那 安也女久佐、
 今日己所多満爾 奴久比奈利个禮


   以川美
40
 之多久々類 美川爾安支己所 可與不良之、
 武須不以川美能 天左部春々之幾



    秋乃安可川支乃者那乎美類止己路

( )は前項にあり。                               ページトップ アイコン
「弖」は「天」とすることも。
「禮」は「」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。
「个」は「介」とすることも。

「與」は「与」とすることも。

まらうと まらひと
客人;稀人の「う音便」。余所より訪れて来た人。稀に来る人の意。「まらうど」とも。

35
梅の香りを(衣に)匂わせてやって来たのなら、可愛らしい(鶯も一緒に連れてこなければならないのに)鶯ではないが(春の訪れを伝える客人の)声でも聴くとしますか。

36
春霞の立ち込めている明け方の野辺で飛び立つ鳥(恋人の所を発つ私)も、忍びでは無い音(人知れず思い慕うのではなく有りげな噂)を立てるからこそ(世間の)人も知っているのであろう。

37
我が家は春の山辺の添え物なので、他の花とも自然と思われてしまったのだなあ。

つま
具;主要なものを引き立てる為に軽く添える物。

み あ
御生れ;陰暦四月の午の日に、賀茂神社の葵祭に先立って行われる神事。阿礼と云われる榊に神移しの神事を営む。

38
主君に頭を下げて乞い願う、祈りや掟が大勢集まって繰り返しては連なる、あの寄せては返す賀茂の川波の様に。

39
世話をする(国を治める)気かも、(邪気を払うために)香りを漂わせてくれるだろうか菖蒲草よ、今日こそは玉として(菖蒲草の様な)緒を通す日であったと云うことだけれども。(端午の節句は菖蒲の節句とも云う)

 し
領る;或範囲の隅々まで支配する。統治する。領有する。

40                                     すく
大地の下を通り抜けている水に秋こそは通っているらしい、泉の水を掬う手には(秋の気配である)涼しさが伝わってくることよ。

むす
掬ぶ;(水などを)手ですくう。




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中務;平安中期の歌人で三十六歌仙の一人。古今和歌集を勅撰したことで知られる醍醐天皇の皇弟で中務省長官、中務卿敦慶親王の王女。家集は『中務集』、天暦・天徳歌合せの作者。母はやはり三十六歌仙の一人、伊勢。

てんとくうたあわせ
天徳歌合;天徳四年三月三十日宮中清涼殿で催された歌合であり、12題20番を採った。これ以後の歌合の規範となり、天徳四年内裏歌合とも称された。


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