三十六人集選集 躬恒集『7ヶ所ぼかし』(清書用臨書用紙)   戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ
                
(村雲ぼかし)

 三十六人集 『七ヶ所ぼかし(全面飛雲ぼかし)』 (躬恒集)   かなり密に金銀切箔が施されている為全体的にぎらぎら感が強い様に感じられていますが、箔の上にも墨が乗るように加工が施されておりますので、安心してお使いいただけます。躬恒集 『7ヶ所ぼかし』 書拡大へ
ぼかし料紙の書手本
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7ヶ所ぼかし(躬恒集)・(半懐紙)
全面金銀小切箔振り、花鳥折枝銀型打、銀契箔散し
 
 
 
三十六人集 『七ヶ所ぼかし(全面飛雲ぼかし)』 (躬恒集) 拡大
かなり密に金銀切箔が施されている為、一度箔を散らした後に乾かし、再度糊塗りをして契箔を施します。通常は全面に糊塗りをして適当な大きさのちぎり箔を散らすのですが、模造の場合には位置と形を決めて作成します。

決められた位置にだけ見本の形に糊を塗り、箔を貼り付けて乾かした後に余分な箔をそぎ落とします。その後上塗りをして箔を定着させます。

更に銀泥で花鳥折枝を施し、再び上塗りをして定着します。更に仕上げに筆の滑りを良くする別の糊を上掛けして完成です。
 
部分拡大 銀大契箔散し
銀型打の上にも特大契箔の上にも細い線まで乗るように加工が施されております。
 
 


躬恒集 書手本

三十六人集 躬恒集 『7ヶ所ぼかし』 書
 躬恒集 『7ヶ所ぼかし(村雲ぼかし)』書手本 縦6寸7分、横1尺5分5厘 第十三紙

歌番号は躬恒集での通し番号                    青色文字は使用字母

 己上延喜十七年仰によりてたて
 まつる御屏風うた 雪中のすき
 のおなしおほせ
157
 ゆきのうちに みゆるときはば みわやまの、やどのし
 るしの すきにぞありける


   すずかやま


158

 おとにきく いせのすずかの やまのはの、はやくより
 わが こひわたるきみ


    まとかた

159
 あづさゆみ いるまとわたに みつし
               ほの、ひるはありかたみよるを
                           こそまて


   あじろのはま

160
 しほみては いりえのみづも ふかやめの、あじろのはまに
 よれるおきつなみ


   うはせかは

161
 うはせ川 したのこころも しらなくに、
 ふかくもひとの たのまるるかな


   はりかは

162
 からころも ぬふはりかはの あをやぎの、いとよりかくる
 はるやみにこむ


    たけかは

163
 もみぢばの なかるるときは たけかは○、ふちの
 みどりも いろかはるらむ



  己上延喜十七年仰爾與利天堂天
  末川留御屏風宇太 雪中乃春支
  能於奈之於保勢

157
 由支乃宇知仁美由留止幾盤々美和也万能、也止乃之
 留之乃 須支爾所安利計ル


    寸々可也万

158
 
於止仁支久以世乃寸々可乃也万乃盤乃、波也久與利
 和可 己比和多留幾美


      
末止可太

159

 安川左由美以留万止和多爾美川之
            保乃、比留八安利可多美與留遠
                          己所万天

    安之呂乃者万


160

 志本身天盤 以利衣乃美川毛 婦可也女乃、安之呂乃者万仁

 與礼留於支川那美

    宇盤世可波

161
 宇盤世可川 之多乃己々呂毛 之羅那久爾
 不可久毛比止乃 多乃万留々可那

    者利可盤

162
 閑良己呂毛 奴不者利可盤乃 安遠也幾乃、以止與利可久留

 者留也身仁己武

    堂計可盤

163
 裳美地盤乃 那可留々止支盤 堂个可盤□、不知乃
 三止利毛 以呂可者留良无


 
 「爾」は「尓」とすることも。                   不明部分の□は「乃」と思はれる。
 「个」は「介」とすることも。
 「與」は「与」とすることも。

す き
主基;大嘗祭で西方に設けられる祭場。悠紀に次いでここで天皇が祭祀を行う

157
雪の中に見える常盤葉は三輪山の宿の印の隙の事ですよ。

158
噂に聞く伊勢の鈴鹿の山の端の(月の様に早く沈むこともなく)、早くから私はずっと貴方の事を恋い慕い続ける心算ですよ。

159                          わだ
梓弓を射る的ではないが、(その扇の的の様な)曲(海・湾)に満ち来る潮が昼間は中々有りそうも無く、夜中を待った方がよい。(「的型」の題に対して「かた」を「曲」の形として詠んだもので、潮が満ちるなら昼間よりも夜の方が好いとしたもの。)

160          ふか  
潮見ては入江の水も鱶や海布(海藻の総称)を引き連れて網代の浜に寄せては来る沖の波。

161
上瀬川(うわべだけで)秘めている心の底も知らせてないのに、不覚にも他人に(あの方への)頼み事をされてしまいましたよ。

162
唐衣を縫う針で川辺の青柳の糸を縒り合わせて、さあ春を見に出かけましょうよ。

163
紅葉の葉の流れ続けている時は竹河の、淵の緑(に見える水面の色)も(流れ来る紅葉が溜まって赤く)色が変わって見えるでしょうね。



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