三十六人集(西本願寺本)
家持集 染紙『飛雲・金銀砂子』(清書用臨書用紙)
大伴家持の家集で、筆者は不明、同じく三十六人集中の能宜集上・能宜集下と同筆とみられる。完存しており納められている歌の総数は三一二首、歌に詞書が付けられておらず、早春部・夏歌・秋歌・冬歌・恋歌・雑歌の六巻に部立されている。現存する伝本はどれも皆ある一冊を基にしたと思われる類纂本で、本集と同様の露庵本(309首)と類従本(308首)などのグループ、又は歌仙本(298首)の様に恋歌・雑歌の二部を合わせて雑部として五巻の部立にした物とに分けられる。
歌仙本に在って本集にない歌が二首存在しており、元は三一四首であったものと思われる。只すべての歌が家持の歌というわけではなく、作者不詳の歌も多くあり中には人丸、赤人をはじめ旅人や憶良、友則や貫之はたまた持統天皇や額田王のものまで納められている。これを見るに家持の歌集としての信憑性は眉に唾を付けてみなければならないが、書写でしか為す術の無かった当時の人々がこれらの歌を家持の歌風として捉えていたという事実を伝えるうえでは一定の資料としてあり得る。料紙は全部で二十二枚あるが重ね継・破り継・切継の何れも使用しておらず、また具引唐紙の使用もない。様々に染められた色紙に金銀彩を施したもの、或は銀泥下絵や彩色下絵飛雲などを施した装飾料紙ばかりが使われている珍しい巻である。(全料紙組順へ)
切継料紙の書手本 拡大へ 解説及び使用字母へ |
|||
家持集 第一三紙 染紙・黄土『獅子唐草(繋丸紋獅子唐草)』 (半懐紙) 染紙・飛雲(全面金銀砂子振)花鳥折枝金銀袷型打は実物とは異なります。。 染紙・黄土 飛雲(金銀砂子振)の花鳥折枝の柄違い代用品です。実物には裏面同様の芝桜が描かれています。。 |
|||
|
|||
家持集 第一三紙 染紙・黄土『飛雲・金銀砂子』 右上側花鳥折枝部分の拡大です。写真が不鮮明ですがご了承ください。。 金銀袷型打です。花鳥折枝は三十六人集中の別部分のものです。代用品としてのご利用になります。。 |
|||
|
|||
家持集 第一三紙 染紙・黄土『飛雲・金銀砂子』 左上側部分の拡大です。飛雲(全面金銀砂子振)花鳥折枝金銀袷型打は実物とは異なります。。 染紙・黄土 飛雲(金銀砂子振)の花鳥折枝の柄違い代用品です。実物には裏面同様の芝桜が描かれています。 |
|
|||||
家持集・染紙『飛雲・金銀砂子』(黄土地) 書手本 縦6寸7分、横1尺5分5厘 第一三紙 歌番号は家持集での通し番号 青色文字は使用字母 解釈(現代語訳)へ
ページ 解説及び使用字母へ |
おおとものやかもち おおとものさかのへのいらつめ
大伴家持;奈良時代後期の歌人で旅人の子であり、叔母には大伴坂上郎女を持つ三十六歌仙の一人。越中守をはじめ各地に役人として赴く傍ら、歌人としても多くの歌を残し、とりわけ万葉集には役480首と最も多くを収録していることから万葉集編者の一人ではないかとも目されている。759年までの歌が残されているが、その後の歌がなくなぜ作歌をやめてしまったのかは不明。繊細かつ感傷的な抒情歌が多く歌風は万葉後期を代表する。生年不詳、没は785年。
なりひらのあさおみ
大伴坂上郎女;奈良時代の歌人。旅人の妹でやはり万葉集に多くの歌を残し、才気豊で技巧的な歌が多い。家持の叔母に当たり、穂積皇子にも寵愛されたが、皇子の死後大伴宿奈麻呂に嫁いで坂上嬢を生む。
いそのかみじんぐう かんぺいたいしゃ ふるのやしろ ふつのみたまのつるぎ
石上神宮;奈良県天理市布留町にある元官幣大社で布留社ともいう。祭神は布都御魂剣で、神武天皇の大和平定に先立ち、物部氏がこれを祀って氏神としたものと伝えられる。もともと本殿は無く、古くからの習わしで拝殿の奥の禁足地が神の鎮座する神聖な霊域とされている。
ページ
家持集 料紙組順
紙順 | 料紙主仕様 | 料紙特徴 |
第一紙 | 染紙(薄茶)『飛雲』 全面金銀砂子 |
|
第二紙 | 具引唐紙 撫子唐草(薄茶具引) |
|
第三紙 | 染紙(薄茶)『古風雲』 全面金銀砂子 |
|
第四紙 | 斑染紙 花鳥折枝不明瞭 |
|
第五紙 | 具引唐紙 枝紅葉紋(薄茶具引) |
|
第六紙 | 切継『縦両袖』 全面金銀砂子 |
|
第七紙 | 切継『上下隅』 全面金銀砂子 |
|
第八紙 | 染紙(黄土)『飛雲』 全面金銀砂子 |
|
第九紙 | 具引唐紙 丸唐草(薄茶具引) |
|
第十紙 | 破り継『以者禰不三』 全面金銀砂子 |
|
第十一紙 | 染紙(薄茶)『古風雲』 全面金銀砂子 |
|
第十二紙 | 具引唐紙 薇唐草(薄茶具引) |
|
第十三紙 | 破り継『二葉與利』 全面金銀砂子 |
|
第十四紙 | 染紙(薄茶)『雁乱舞』 『可武川布左』 |
|
第十五紙 | 破り継『以弖者』 全面金銀砂子 |
|
第十六紙 | 具引唐紙 雲鶴(薄茶具引) |
|
第十七紙 | 破り継『奈可止』 全面金銀砂子 |
|
第十八紙 | 具引唐紙 花唐草(薄茶具引) |