巻子本 秋萩帖 (7寸8分2厘×27尺9寸4分)     戻る 『秋萩帖』巻子本 一覧へ 

   所在不明歌集(題名のない歌集) (両面加工)昭和初期の模写本

万葉集・寛平御時后宮歌合・古今和歌集・後撰和歌集・古今六帖などから撰出したと思われる鈔本の一巻である。巻頭の第一紙に秋歌2首、第二紙以後に冬歌28首、その後雑歌18首の計48首が納められており、末尾六葉には王羲之の尺牘11通分も臨写されている。この巻子本は元存在していた『淮南子』の巻子本の裏に『いちじろく今日ともあるかな・・・』以下を臨写した私用の秘蔵本である。(最初の一葉は当時の臨写前の原本か?)


     第一紙(灰青)  
     薄香色(うすごういろ)
  古筆臨書 巻子本『秋萩帖』 第一紙・巻頭見返し (次へ)  
全長23.7cmx846.5cm 
拡大図
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黄茶色地に茶色の鉄線唐草(大花唐草)をあしらった緞子表紙です。題箋は鳥の子色に染めた鳥の子紙に金大小切箔ノゲ金銀砂子を万遍に施した装飾料紙が使用されております。
この巻子本は昭和初期の模本であり、霊元天皇から有栖川宮家、高松宮家へと伝えられている零本を可能な限り原本に忠実に染めた料紙に模写したものです。現在巻子本原本はは東京国立博物館所蔵となております。
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   見返し料紙 七草雲母摺装飾料紙           古筆臨書 巻子本『秋萩帖』 見返し料紙 (次へ)
見返し料紙部分
拡大図 秋萩帖


見返し料紙
薄香色の具引地に白雲母で秋の七草(萩・ススキ・葛・撫子・女郎花・藤袴・桔梗)とその奥に隠れる鹿が表現されております。
かなり見辛いですが、ご了承下さい。


     第一紙 秋萩帖(秋萩歌巻)古筆臨書 巻子本『秋萩帖』 第一紙(灰青) 伝小野道風筆
万葉仮名
 第一紙 秋萩帖  
                 
ひとり      いね
秋萩の下葉色づく今よりぞ、独ある人の寝がてにする                         古今和歌集 秋上 不知読人

安幾破起乃之多者以□都久以末餘理處、悲東理安留悲東乃以禰可轉仁数流

                    

鳴き渡る雁の涙や落ちつらむ、物思う宿の萩の上の露                        古今和歌集 秋上 不知読人

奈幾和多留閑里能□美當也於知都羅武、毛能毛布也登乃者幾能有辺能都由


この料紙原本はこの一葉のみ縦の寸法が僅かに大きくなっており(縦8寸1分5厘)、第二紙以降の十九葉とは異なっている。(但し、本模写本は第一紙も第二紙以降と同じ縦の寸法にしてあり。)