楮雁皮   全懐紙(1尺6寸5分×1尺2寸)       戻る 支倉料紙一覧へ 
  『野っ原』(葛野)
初秋に枯れ始めの野原を彩る可憐な花をモチーフにして、ざわめく原っぱをイメージしてみました。題材の白銀の花は葛をモチーフにした物です。葛は可憐というよりは力強い野草ですが、花穂だけを見ると観賞にも堪え得る紫花のものが多くなります。葛といえば日本各地の荒野でよく見かける雑草です。が、葛は雑草と侮る無かれ、古来より生活に密着しております。秋の七草の一つであり、葛湯・葛餅をはじめ、生薬の葛根(葛根湯と言う名は聞いた事が有ると思います)、餡かけ料理の葛餡として、また蔓を利用した葛布などに利用され馴染の広い物でした。

ところで、葛の語源をご存知でしょうか?。
大和の国吉野の山奥に国栖(くず)と言う村が在ったそうですが、周りの村とは交わりを控え、奈良・平安の時代より宮中の節会に参加するのが恒例に為っていたそうで、歌や笛やらを披露ていたそうです。果してどんな歌だったのでしょうか。この地方でも大量のクズを産することから、この野草を葛と呼ぶ様になったとされております。
又吉野の葛は良質のでんぷんを含むことでも有名です。料紙の糊としても利用しております。

淡いベージュの地肌に、薄めの利休白茶で天地のボカシを入れて秋の野を表し、金銀のノゲや、長切箔を配して枯れ草を表現しております。
葛は葛で、吾此処に在りと存在感を見せ付けているのかも知れません。果たして夢は枯れ野を駆け巡っているのでしょうか?。
実はこれ、NHKで正月に放送された、伊達政宗が支倉常長に持たせた書状の模作品です。此方は全懐紙版ですが、実際に撮影用に作成したものは、
全懐紙2丁版に成ります。

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写真をクリックすると部分拡大が御覧に為れます。
支倉料紙 ベージュ系 『枯野原2』
葛野原1 中央辺りに切箔を少なくして比較的書を載せやすくしております。勿論、金銀切箔ノゲ・銀泥の上にも墨が乗るように加工しております。           長切箔(慶長遣欧使節団書状より)  

楮雁皮 全懐紙 天地特殊ボカシ 金銀中小切箔砂子ノゲ振り 資料館参考価格 1枚6,300円

ベージュ系 『枯野原』 葛花と葉部分拡大 ベージュ系 『枯野原』 金銀切箔砂子部分拡大
葛・花葉部分 
くすんだ淡い緑色で薄っすらと葛葉を描てるのがお判り頂けますでしょうか。
葛の花穂を銀泥で描いております。庭藤や萩も同じような花穂を持っています。
右中央上部分拡大 
金銀切箔の振り分け状況、
枯野に絡む葛を表現してみました。



ベージュ系 『枯野原』 左下金銀切箔砂子部分拡大 ベージュ系 『枯野原』 葛花と葉部分拡大
左下部分  金銀中小切箔を密に落とし、ノゲで混沌とした様子を表現しています。
銀砂子の奥に緑の蔓が見え隠れしているのが、お判り頂けますでしょうか。
 下地にはやはり、葛の葉と花を、見え隠れするように配しております。
花穂部分 散らされた銀ノゲ - 風に倒れた茎でも表現しているのでしょうか? くすんだ淡い緑色で薄っすらと葛葉を描ております。

全懐紙別柄タイプ

ベージュ系 『野っ原1』 拡大へ ベージュ系 『枯野原1』 拡大へ ウス茶系 『野っ原2』 拡大へ 灰桜系 『野っ原3』 拡大へ
野っ原 枯野原 野っ原 野っ原

全懐紙2丁別柄タイプ
                                                                                                     

慶長遣欧使節団書状料紙 (1.2尺×3.3尺) 慶長遣欧使節団書状 (1.2尺×3.3尺)
慶長遣欧使節団書状料紙 慶長遣欧使節団書状