法輪寺切(法輪寺切和漢朗詠集)巻下断簡 古京・故宮付破宅  戻る 法輪寺切  一覧へ

  羅紋状飛雲料紙 薄藍染紙雲母振 

料紙は鳥の子紙で、藍と紫に染めた繊維を飛雲として漉き込んだ薄藍の染紙に、砂子状の雲母を紙面全体に鏤めた装飾料紙である。然もこの飛雲、他に類を見ない特殊な加工が施してあり、一つ一つの飛雲が羅紋状に形成されていて非常に価値の高い資料としても貴重なもの。一枚につき三か所の飛雲が施してある。

 清書用・臨書用紙 『法輪寺切』 (和漢朗詠集)  清書用・臨書用紙 『法輪寺切』 (和漢朗詠集)   清書用・臨書用紙 『法輪寺切』 (和漢朗詠集)    『法輪寺切』 (法輪寺切和漢朗詠集) 巻下断簡 古京・故宮 拡大へ
淡藍色  淡藍色   淡茶色・別注品  故宮



淡茶色(経年変化による淡藍紙の褐変した物)
 『法輪寺切』 (法輪寺切和漢朗詠集) 巻下断簡 古京・故宮 
約25cmx23.5cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。



         漢詩・かな                        水色文字は使用時母

528
 緑草如今麋鹿菀、紅花定昔管絃家。
 菅三品

529
 いそのかみ ふるきみやこを きてみれば、む

 かしかざしし はなさきにけり



530

 陰森古柳疎槐春無春色、獲落危牖壊宇秋

 有秋風。
 連昌宮賦

531

 薹傾滑石猶殘砌、簾斷眞珠不満鉤。


532
 強呉滅号有荊棘、姑蘇薹之露瀼々、暴秦

                      
河原院賦
 衰号無虎狼、咸陽宮之煙片々。
 順

533

 老鶴従來仙洞駕、寒雲在昔妓樓衣。


534

 狐花裹露啼殘粉、暮鳥栖風守癈籬。
良春道


 
528
     
い ま  びろく                くぁんげん
 緑草は如今麋鹿の菀、紅花は定めて昔の管絃の家。

                           
菅原文時

529 
 以曾能可美 不留支美也己遠 幾天美礼八、武

 可之加左之々 者那左支仁希利


                     
 三善善宗

530     こりゅうそくわい
 陰森たる古柳疎槐、春にして春の色無し、
 
くわくらく   くゐようくわいう
 獲落たる危牖壊宇、秋にして秋の風有り。
連昌宮の賦

531

 うてな          みぎり               つりばり
 臺傾いては滑石なお砌に残れり、簾斷えては真珠鉤に満たず。

                           
白楽天

532
      けいきょく    こそだい    じょうじょう
 強呉滅びて荊棘有り、姑蘇臺の露瀼々たり、暴秦
     
ころう    かんやうぐう
 衰えて虎狼無し、咸陽宮の煙片々たり。  河原院の賦(源順)

533    もとより    のりもの      むかし  ころう
 老鶴は従來仙洞の駕、寒雲は在昔の妓楼の衣。
                           
菅原道真

534
                          は い り
 狐花露を包んで残粉に啼く、暮鳥風に栖んで癈籬を守る。
                           
良岑春道



528
 緑草如今麋鹿菀、紅花定昔管絃家

529
 石上神宮古き都を来てみれば、昔かざしし花咲きにけり (中務)

530
 陰森古柳疎槐春無春色、獲落危牖壊宇秋

 有秋風


531

 薹傾滑石猶殘砌、簾斷眞珠不鉤。

532
 強呉滅号有荊棘、姑蘇薹之露瀼々、暴秦

 衰号無虎狼、咸陽宮之煙片々。

533
 老鶴従來仙洞駕、寒雲在昔妓樓衣。

534
 狐花裹露啼殘粉、暮鳥栖
風守癈籬

 びろく おおじか
麋鹿;麋と鹿。麋はヘラジカや赤鹿などの大型の鹿の総称


 こりゅうそかい         まば      えんじゅ
古柳疎槐;柳の古木と疎らに生えた槐の木。

 きようかいう
危牖壊宇;不安が先走る心の窓と崩れてゆく心の広さ。

 こ そ だ い
姑蘇臺;中国江蘇省呉県の南西部、姑蘇山に在った高殿。呉王夫差が越を破って得た美人西施らを住まわせた。

 ころう
虎狼;残忍な者、非道な者。

かんようぐう
咸陽宮;中国陝西省中部の渭河北岸に在る都。秦の孝公が定め、始皇帝が拡張して一大都城を作って以来の古都。


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飛雲料紙代用可能一覧
(飛雲の位置は其々の料紙で多少の違いが有ります。気になる方は其々の料紙に合わせた特注品としてお造り出来ますが、割高にはなります。参考オリジナル料紙作成)
以下は代用可能な古筆の一覧ですが、飛雲は何れも通常の物です。

小島切      伝小野道風
深窓秘抄     伝宗尊親王
歌仙歌合     伝藤原行成
和歌体十種    伝藤原忠家
堤中納言集    伝紀貫之
名家歌集切    伝紀貫之
元暦校本万葉集  伝藤原行成・他
敦忠集切     伝藤原行成
伊豫切和漢朗詠集 伝藤原行成
紙撚切道済集   伝藤原佐理