法輪寺切(法輪寺切和漢朗詠集)巻下断簡 無常       戻る 法輪寺切  一覧へ

  羅紋状飛雲料紙 薄藍染紙雲母振 

料紙は鳥の子紙で、藍と紫に染めた繊維を飛雲として漉き込んだ薄藍の染紙に、砂子状の雲母を紙面全体に鏤めた装飾料紙である。然もこの飛雲、他に類を見ない特殊な加工が施してあり、一つ一つの飛雲が羅紋状に形成されていて非常に価値の高い資料としても貴重なもの。一枚につき三か所の飛雲が施してある。

 清書用・臨書用紙 『法輪寺切』 (和漢朗詠集)  清書用・臨書用紙 『法輪寺切』 (和漢朗詠集)   清書用・臨書用紙 『法輪寺切』 (和漢朗詠集)    『法輪寺切』 (法輪寺切和漢朗詠集) 巻下断簡 無常 拡大へ
淡藍色  淡藍色   淡茶色・別注品  無常



淡藍色
 『法輪寺切』 (法輪寺切和漢朗詠集) 巻下断簡 無常 
約25cmx15.2cm
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。



         漢詩・かな                        水色文字は使用時母

794
 朝有紅顔誇世路,暮爲白骨朽郊原
 義孝少将


795

 雖觀秋月波中影、未遁春花夢裏名
 江


796

 よのなかを なににたとへむ あさぼらけ、こぎ

 ゆくふねの あとのしらなみ
 沙彌満誓

 よのなかは ゆめかうつつか うつつとも、ゆめとも

 しらず ありてなければ



 
794
 
あした        せいろ
 朝に紅顔有りて世路に誇れども、暮に白骨と成りて
 
かうはら
 郊原に朽ちぬ。 
藤原義孝

795 
                 いえど
 秋の月の波の中の影を観ずと雖も、未だ春の花の夢
  
うち    のが
 の裏の名を遁れず
。 
大江朝綱

796
 與乃奈可遠 奈爾々多止部武 安左保良計、己支
                    
しゃみまにせい
 由久不禰乃 安止乃之良那見
 沙彌満誓


 與乃奈可波 由女可宇川々加 宇川々可止毛、由女止毛

 之良春 安利天奈个礼盤




794
朝に紅顔を以って世に誇っている身であっても、夕べには白骨となって野垂れ死にしてしまうこともある。(儚い人間の実相を詠ったもの)

795
水面に映る秋の月の月齢を数えなくとも、未だに裏の顔を免れないでいるのだ。
「春の花の夢の裏の名」とは花言葉のことか、或は源氏名のことか。


796
 世の中を何に喩へむ朝ぼらけ、漕ぎ行く舟の跡の白浪 (紀貫之)
*
 世の中は夢か現か現とも、夢とも知らずありてなければ 



 せいろ 
世路;
世渡り。渡ってゆく世の中。

こうげん
郊原;都の外の原っぱ。野辺。野原。


あさ

朝ぼらけ;朝がほんのりと明けてくる頃。東雲(篠の目)

 しゃみまにせい(さみまんぜい)
沙彌満誓;奈良時代中期の万葉歌人で別名笠朝臣麿。美濃・尾張の守で右大弁にまでなる。元明天皇の病気治癒を願い養老五年に出家する。大宰府で大伴旅人と交遊す。

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飛雲料紙代用可能一覧
(飛雲の位置は其々の料紙で多少の違いが有ります。気になる方は其々の料紙に合わせた特注品としてお造り出来ますが、割高にはなります。参考オリジナル料紙作成)
以下は代用可能な古筆の一覧ですが、飛雲は何れも通常の物です。

小島切      伝小野道風
深窓秘抄     伝宗尊親王
歌仙歌合     伝藤原行成
和歌体十種    伝藤原忠家
堤中納言集    伝紀貫之
名家歌集切    伝紀貫之
元暦校本万葉集  伝藤原行成・他
敦忠集切     伝藤原行成
伊豫切和漢朗詠集 伝藤原行成
紙撚切道済集   伝藤原佐理