和泉式部集切36　断簡模本『うしとみて・・・』

和泉式部続集切（続集下巻）（６寸８分×４寸）　　　
　

染紙料紙が使われております。
料紙は漉目のない厚手の楮紙が使われている。
当然滲み止め加工はしてあり、薄浅葱色で染められた料紙に雲龍紋らしき柄が施されている。

灰青色（薄浅葱色）　　

第三十六紙（一葉）灰青色（薄浅葱色）	清書用　臨書用紙　青灰色（薄浅葱色）２５.０ｃｍｘ３６.４ｃｍ　　　　　　　　宝唐草　不明の下草茅と蕨かと思われる或は松葉蘭か解説及び使用字母へ２０.６ｃｍｘ１２.０ｃｍ
続集下巻　乙類断簡３３　歌８０（1374）。	（　）内の歌番号は、岩波文庫本和泉式部集による通し番号

解説　第三十六紙　（断簡３３）

　　　　　　　　　　　　かな　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　水色文字は使用時母　　　　　　　　解釈（現代語訳）へ

わりなき事をいひつつうらむる人に 1374 　うしとみておもひすててしみにしあれば、　我こころにもまかせやはする　　　よのなかにいきたしへかぎりはおと　　　づれむなどかきたる人のふみのありける　　　にひさしうおとづれぬこころかきつけ　　　てやる	和里那支事乎以日川々宇良武留人爾 1374 　宇志止美天於母日須天々新美仁之安連盤、　我己々呂爾无万可勢也者須留　　　与乃奈可仁以支太之部可幾利波於登　　　徒連武那止可支太留人乃不見乃安利个流　　　爾日左之宇於止川礼奴己々呂可幾徒个　　　天也類
歌番号は岩波文庫本和泉式部集による通し番号	「爾」は「尓」とすることもあり。「礼」は「禮」とすることもあり。「与」は「與」とすることもあり。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ページ

　　　　　　　　　　　　　　現代語訳　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　解釈　　　　　　　　　　　　　　解説及び使用字母へ

　　　如何にもならない事を言い続けながら嘆いている人に

1349
「憂しと見て思ひ捨ててし身にし有れば、我心にも任せやはする」
気に入らないと思って見捨ててしまったこの身であるので、私は心の為すが儘にさせるでしょうか。いいえ、そうはしませんよ。

　　　世の中に辿り着きたい場所への限度は有るの
　　　であろうなどと書いていた人の手紙の在ったのを、（思い出し）
　　　長い間訪ねて行かない理由を書き記して
　　　送り届けさせた

1349
（この世の中は気に食わないことだらけだと世間を見捨ててしまった私自身ですので、私は私自身の心のままにこの身の行動を委ねるでしょうか。いいえ、委ねる事なんてできませんよ。）との意で、を詠んだ歌。

思ひ捨ててし；見捨てしまった。見放してしまていた。（もう自分には関心が無い事だとして。）「思ひ捨つ」の連用形「思ひ捨て」に完了の助動詞「つ」の連用形「て」更に過去の助動詞「き」の連体形「し」

やは；…であろうか、いや…ではない。係助詞「や」に係助詞「は」の付いたもので、反語の意を表す。

行きたしへ；行ってみたい辺りに。動詞「行く」の連用形「行き」に、自己またはその動作をする人の動作の実現を希望する意を表す助動詞「たし」更に、動作・作用の帰着点を表す意の格助詞「辺（へ）」の付いた形。

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清書用　臨書用紙
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第三十六紙（一葉）灰青色（薄浅葱色）	清書用　臨書用紙　青灰色（薄浅葱色）２５.０ｃｍｘ３６.４ｃｍ　　　　　　　　宝唐草　不明の下草茅と蕨かと思われる或は松葉蘭か解説及び使用字母へ２０.６ｃｍｘ１２.０ｃｍ
続集下巻　乙類断簡３３　歌８０（1374）。	（　）内の歌番号は、岩波文庫本和泉式部集による通し番号