小島切 斎宮女御集(緞子表紙)
鳥の子紙(薄茶色)5寸4分5厘×7寸2分5厘
こちらは、小島切の部分抜粋です。鳥の子紙に染加工、雲母砂子撒きをしたものです。裏面は高野切同様の加工で、表面には更に一葉につき三か所の飛雲を施してあります。
写真は雲母振りの染紙、飛雲料紙の表面です。写真では飛雲が二か所ですが、この項の右に残り半葉分が有り、そちらには一つの飛雲が配してあります。
薄茶色
16.5cmx22cm
実際よりもやや淡く映っております。薄茶色の雲母振り染紙です。料紙半葉一項分
写真の状態があまりよくありませんがご了承ください。
かな 使用字母
はすなるに 148 いかでなほ はるのかすみに なりにしか、おも はぬ山に かかるわざせし おかへり うへより御ふみありける御返に 17 うすら日に とぢたる冬の うくひすは、 おとなふ春の かぜをこそまて ふくにおはしけるにさとにて うちよりまとほなる御返に日こ ろおぼしあつめたりけることと |
者寸奈流爾 以可天奈本 者留乃可寸美爾 奈利爾之可、於裳 者奴山爾 加々流和散世之 宇部與利御不美安利个留御返爾 宇須良日爾 止知多留冬乃 宇久日寸波、 於止奈不春乃 可勢乎己所末弖 布久仁於者之計留爾左止爾天 宇知與利万止本奈留御返爾日己 呂於本之安川免多利計留己止々 |
三項目(小島切本) 漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 一段低くなっているのは詞書 にしか;完了の助動詞「ぬ」の連用形に過去に助動詞「き」の連体形終助詞「か」の結合したもの。・・したい。 自分がそうしたいという願望を表す。 薄ら日;薄く弱々しい日差し。 おとなふ;訪れる。訪問する。 ふく 副;律令制で神祇官の長官を補佐する地位。次官。 きらすなご 雲母砂子は粗目の物が荒く撒いてあります。 写真では雲母が見えませんが雲母振りの具合は上記赤字をクリックしてください。 |
父宮失せ給て里に御座する内侍の上の御心の思 はすなるに 〔父君の宮がお亡くなりになられて内裏にいらっしゃる尚侍の御心を推し量るに〕 148 如何で尚春の霞になりにしか、思はぬ山に斯かる業せし。 〔どうして今更、春の霞と御成りになられたいのでしょうか。思い掛け無く陵にこのような行いをおさせになられるとは。〕 上より御文ありける御返に 17 薄ら日に閉じたる冬の鶯は、おとなふ春の風をこそ待て。 〔まだ薄く弱々しい日差しの頃であるし、冬なので噤じてしまっている鶯の囀りは、きっと訪れるであろう春の風をこそ待っておりましょうぞ。〕 副に御座しけるに里にて、内より間遠なる御返に日頃おぼし集めたりけることと (歌番号は三十六人集中の斎宮女御集での通し番号) |