寸松庵(寸松庵色紙・古今和歌集抄本) 巻五・秋下      戻る 寸松庵色紙 一覧へ
 具引唐紙『雲鶴紋』(薄渋黄土色)「深山より」   田中親美氏作模写本

寸松庵色紙は古今和歌集の四季の歌を精撰して書写したもので、佐久間将監が京都大徳寺の離れ寸松庵で愛玩していた事により、寸松庵色紙と名付けられたもの。元々堺が繁盛していた頃に南宗寺の襖に三十六枚の色紙が貼られており、その内の十二枚を寸松庵に譲り受けたもの。残りの幾つかは烏丸光弘が譲り受けている。
書風は関戸古今集のそれとよく似ている。同筆とはいかないまでも年老いてからの物か、或は行成様の墨蹟を手本とした世尊時流の誰かの手に因る物と思われる。残っている墨蹟ははるかに少ないものの、使用時母もほぼ同じことからも同門の書と窺える。




                かな                                水色文字は使用時母

寸松庵色紙 秋下 『みやまより』 (薄渋黄土色) 拡大
12.9cmx12.9cm

    おきかぜ

  みやまより たち

  くるみづの いろみ

  てぞ、秋はかぎりと

  おもひしりぬる


      
使用時母

      於支可世

  見 也 末與利 太 知

  久留美川乃 以呂美

  天所、秋盤可支利止

   於 毛 悲 之利奴留

                           藤原興風
310
 深山よりおち来る水の色見てぞ、秋は限りと思ひ知りぬる。

奥深い山より遠く流れ来る水の気配を見てまさに、秋の終わりも近いと思い知らされたのですよ。

色;文字通り水面に浮かぶ落葉の色でもあるが、流れ来る量や間隔を見ての気配。





薄渋黄土色具引唐紙・白雲母『雲鶴紋』(全面)

 漢字の意味の通じるものは漢字で表記
 一行は一行に、繰返しは仮名で表記
 「與」は「与」とすることも。

参考;興風集に納まる詞書
「同じ御時にふる歌奉れと仰せられければ、
竜田川紅葉流るという歌書きておくに同じ心を」

指すと思われる歌
「竜田川紅葉流るかみなびの三室の山に時雨ふるらし」


写真では確認し辛いが、雲鶴紋が施されている。

薄渋黄土色;白(素色)・薄茶などとすることも。
右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製)
これまでの清書用には入れられていない柄(上製のみ)
(普通清書用では薄渋黄土色柄無の物を利用してください、右側)
      上製       普通清書用
    寸松庵色紙 具剥奪唐紙(薄渋黄土色)『雲鶴紋』 清書用 臨書用紙(上製) 拡大へ 寸松庵色紙 具剥奪紙(薄渋黄土色) 清書用 臨書用紙 拡大へ
清書用 薄渋黄土色具剥奪唐紙・『雲鶴紋』

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