寸松庵(寸松庵色紙・古今和歌集抄本) 巻五・秋下
具引唐紙『雲鶴紋』(薄渋黄土色)「深山より」 田中親美氏作模写本
寸松庵色紙は古今和歌集の四季の歌を精撰して書写したもので、佐久間将監が京都大徳寺の離れ寸松庵で愛玩していた事により、寸松庵色紙と名付けられたもの。元々堺が繁盛していた頃に南宗寺の襖に三十六枚の色紙が貼られており、その内の十二枚を寸松庵に譲り受けたもの。残りの幾つかは烏丸光弘が譲り受けている。
書風は関戸古今集のそれとよく似ている。同筆とはいかないまでも年老いてからの物か、或は行成様の墨蹟を手本とした世尊時流の誰かの手に因る物と思われる。残っている墨蹟ははるかに少ないものの、使用時母もほぼ同じことからも同門の書と窺える。
かな 水色文字は使用時母