馬にのれる女旅行
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いへちには いつしか行むと おもひしを、ひ
ひごろしぶれば ちかづきにけり
月よに女の家にをとこいたり
てすのこにゐてものいはせた
り
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山のはに いりなむとおもふ 月みつつ、われ
はとなから あらむとやする
をむなかへし
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ひさかたの つきのたよりに くる人は、いた
らぬところ あらしとぞおもふ
網代に紅葉ちりておつる所
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二度や もみぢばはちる 今日みれば
あしろきにこそ おちいでにけれ
承平六年右大臣殿御障子お
やこすみたまふなり、へだてな
るゑに松竹鶴かける所
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おなしいろの 松とたけとは たらちね
(の、おやこひさしき ためしなりけり)
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馬爾乃禮留女旅行
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以部知爾波 以川之可行武止 於毛比之遠、比
己呂之不禮者 知可川支爾个利
月與爾女乃家爾遠止己以多利
転須乃己爾為天毛乃以者世多
理
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山能者爾 以利奈无止於毛不 月美川々、王禮
者止奈可良 安良无止也春留
遠武奈可部之
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悲左可太乃 川支乃多與利爾 久留人者、以多
良奴止己呂 安良之止所於毛不
網代爾紅葉知利天於川留所
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二度也 毛美知波々知留 今日美禮者
安之呂支二己曾 於知意天爾个禮
承平六年右大臣殿御障子於
也己寸美多末不奈利部多天奈
留恵爾松竹鶴可个留所
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於奈之以呂能 松止多个止波多 良知年
(農、於也己比左之支 太女之奈利个里)
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