三十六人集 貫之集 上 天地特殊雲ぼかし 清書用臨書用紙 (半懐紙)  戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ


変型ボカシ手書(天地特殊雲ボカシ) 金銀砂子振り 花鳥折枝銀燻し銀袷型打 
写真は半懐紙の為、臨書手本よりも一回り大きくなっております。

三十六人集 変形ぼかし手書 (貫之集 上) 左上ぼかし部分  三十六人集 変形ぼかし手書 (貫之集 上) 書手本 
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 左上ぼかし部分及び花鳥折枝銀燻し銀袷型打  

臨書手本

三十六人集 変形ぼかし手書 (貫之集 上) 臨書手本   
 天地特殊雲形ぼかし  書手本 第十九紙 縦6寸7分、横1尺5分5厘

歌番号は貫之集での通し番号                    青色文字は使用字母

   (水邊菊)

231

 (きくのはな ひきてながるる みづにさへ)
*1
 なみのしわなき やどにぞありける 


   河の邊の鶴むれたる
232
 かわのせに なびくあしたづの お
 のがよを、なみとともにや きみによすらむ


   人の家の竹

233
 ちよもたる たけのおゐたる やどな
 れば、ちくさのはまは ものならなくに


   承平七年依仰奉之
234
 としたてば 花こふべくも あらなく
 に、春今更に 雪のふる覧

235
 くれぬとて なかすなりぬる うぐひす
 の、こゑのうちにや 春はきぬらむ

236
 つらき人 わすれ南とて はらふれば
 みそぐかひなく 恋ぞまされる

237
 あきはぎに みたるる玉は なくし

 (かの、こゑよりおつる なみだなりけり)



   (水邊菊)
231
 (幾久能者奈 比支天奈可留々 美川爾左部)
*1
 奈三乃之和那支 也止仁曾安利个留


    
河能邊能鶴武禮多留
232
 家者能世爾 奈比久安之多川能 於
 能可與遠、奈美止々茂爾也
幾美爾與寸良



    人乃家乃竹
233
 知與毛多留 多个能於為太留 也止那
 禮者、知久左乃者末波 毛乃奈良奈久爾


    承平七年依仰奉之
234
 止之太天波 花己不部久毛 安良那久
 爾、春今更爾 雪乃布留覧

235
 久礼奴止天 奈可須奈利奴留 宇久比春
 能、己恵能宇知仁也 春八幾奴良无

236
 川良支人 和春禮南止天 八良不禮者
 身曾久可比奈久 恋曾左禮留

237
 安幾波幾爾 美多留々玉者 奈久之

 (可乃、己恵與利於川留 奈美多奈利利)


( )*1は前項にあり。
「禮」は「」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。
「个」は「介」とすることも。

「與」は「与」とすることも。
( )は次項にあり。

なみ しわ

波の皴;水面の波紋を喩えていう言葉。

 あしたづ
葦田鶴;鶴のこと。多くは葦の水辺にいることからいう。「葦田鶴の」は枕詞なのだが、この歌にはかかるべき言葉がない。(「たづたづし、音に鳴く」など)或いはそれを含ませた余韻を我が情として詠んだものか。

よりおおせのほうし
依仰奉之;承りに謹んで仕えること。

はら
祓ふ;神に祈って身を清める。邪心を取り除く。


見足るる;十分に見てとれる。飽きる程見える。「乱るる」も内在している。

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