升色紙２（深養父集歌19～歌28）∞∞ようこそ美術料紙の世界へ∞∞

臨書用紙

升色紙　伝藤原行成筆　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

深養父集　断簡　（11世紀中頃～１２世紀初頭の頃の書写と考えられる）

清原深養父の家集を書写した升色紙は元は冊子本、元々の料紙は恐らく縦4寸6分×横8寸程の物で、それらを谷折りにした冊子本と思われる。
二つ折りにした時には色紙の形になる為、色紙形を意識した墨蹟になっている。墨の濃淡、墨継ぎの位置、行間、或いは行を絡ませてと実に動きの多彩な色紙に仕立ててある。伝藤原行成筆とされているが、行成の筆に因るものではない。寸松庵色紙（伝紀貫之筆）、継色紙（伝小野道風筆）と共に平安の三色紙と称される。三色紙の名は明治以降に古筆研究会の難波津会で自然発生的に付いたもの。

現存する三十三葉の内、七葉については部分的に継紙を行ったと思われる個所が存在する（歌11、歌23、歌24、歌26、歌27、歌29、歌39）。即ち美しい散らし書きの部分に倣って後の世の人が、左右の余白を作ったり、或いはまた行間の余白を作ったりして一葉の色紙に仕立てたものである。恐らくは当時流行っていた茶の席での鑑賞で自慢する為のものであったのかも知れない。それだけ当時の色紙の散らしの評価が高かったということになる。

料紙は白の鳥の子紙で全面に雲母砂子を撒いたものと、薄く藍染にして同様に雲母を撒いたものとが在り、現存するものの中に薄茶の物と趣の異なる茶系の物とが在り、或は別の薄色に染められたものが存在していたのかも知れない。升色紙に使われている白は繊維の塵をよく取り除き、水に十分さらして余分な色味を洗い流し、清楚な素色に漉上げたもので、手間暇のかかる非常に貴重なもので当時の書き手によく好まれていた。白には他に具引きをしたものもある。

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なつのよは	うちはへて	さきにけり	杏花と云題を	三月つごもりがた	山櫻見て	はるゆきのふるひ

ふゆながら春	おほぞらに	さよふけて	はなすすき	かみなゐの	きえかへり	いくよへて

こころをぞ	みつしほの	いまははや	ひとをおもふ	恋むしのごと	かはなぐさといふ	ふゆながら空

ともすれば	おもひけむ	なみたかく	むかしみし	うつせみの	ひかりなき	うらみても

かな書　歌番号は宮内庁書陵部本（桂宮本）「深養父集」による

４寸２分×３寸６分	ヽ　　　　　　　　　　　　　　ふゆながらそらより花のち　　古　　　りくるはくものあな　　たははるにやあるらん　　　うき身にはけぶりなるともきかなくにそらにかくるることのはかなさ使用字母ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　布由奈可良曾良與利花乃知　　　　古　　　　　利久留八　久毛乃安那　　　太八々留爾也安留良无　　　　宇支身耳八遣不利奈留東毛幾可那久仁曾良仁可久留々　　　　　　　　　己止乃波可那左
古　ヽ　；藤原定家の校合と集付け（古今和歌集）　　　　　　　　歌１９　冬ながら空より花の散り来るは、雲の彼方は春にやあるらん　まだ冬だというのに空から花が舞い落ちてくると云う事は、雲のずっと向こうの方ではもしや春になっておるのだろうか。歌４０　　憂き身には煙なるともきかなくに、空に隠るることのはかなさ　　辛いことの多い身の上には跡形もなく消え去る事さへ出来ないのに、（その様に思うことさへ）空に隠れるがごとくにあっけなく空しいものですね	参考（桂宮本）「冬ながら空より花の散り来るは、雲の彼方は春にやあるらん」「憂身には煙なれともきえなくに、空にかくるる事のはかなさ」
４寸３分×３寸６分	かはなぐさといふだ　　　　　　　　　　　いをヽ　　　　　　　　　古むばたまのゆめに　　　なにかはなぐさまむ　　　　　　　　うつつに　だにもあかぬ　　　　　　　　　こころを使用字母　　　　　　　可者那久左止以不太　　　　　　　　　　　　　　意遠ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　古武八多万乃由女耳　　　　　　　那二可者那久左万武　　　　　　　　　　　宇川々耳太二毛安可奴　　　　　　　　　　　　　己々露遠
「かはなぐさ」といふ題を歌２１　むば玉の夢になにかはなぐさまむ、うつつにだにもあかぬ心を夜中見る夢に少しは慰められる、現実さへも巧くゆかないこの思いを！五島美術館蔵	参考（古今和歌集・物名）「かはなぐさ　うばたまの夢になにかはなぐさまん、うつつにだにもあかぬ心を」
４寸５分×３寸９分（薄藍色）	恋ヽ　　　　　　　　　古むしのごとこゑに　　　たててはなかねども　　　なみだのみこそした　　　　　　　　　にながる　　　　　　　　　　　　れ使用字母　　　　　　　恋ヽ　　　　　　　　　　　　　古武志乃己止己恵二　　太天々者那可年止无　　奈三多乃美己曾之太　　　　　　　　　　二奈可留　　　　　　　　　　　　　　　連
恋歌２２　　虫のごと声にたてては泣かねども、涙のみこそ下に流るれ　（どんなに悲しくとも）虫の様に声に出しては泣かないけれども、涙だけはどうしようもないから、そっと流れ落すのだよ。
４寸４分×３寸７分（素色）	のみもなき　　　　　　　　　　わたる　　　　　　　　　　　　　かなヽ　　　　　　　　　ひとをおもふこころ　　　　　　　はかりにあらねども　　　　　　　　　　くもゐに使用字母　　　　　　　　　　　　　乃三毛那支　　　　　　　　　　　　　和多留　　　　　　　　　　　　　　　　　　　可奈ヽ　　　　　　　　　　　　　　比止遠於无不己々呂　　　　　　　　者可利二安良年止无　　　　　　　　　　　　　　　久毛為二
歌２３　　人を思う心は雁にあらねども、雲井にのみもなき渡るかな　人を思う心は雁には無けれども、遠くはるかに離れた処にだけでも私の代わりに泣きながら飛んで行ってくれているのだろうか。行の左端約１寸２分に料紙の継紙部分在り。
４寸３分×３寸７分（薄藍色）	いまははやこひしな　　　　　ましをあひみむとたのめしことぞ　　　　　　　　いのちなりける使用字母以万者々也己悲之那　　　　　　末之遠安比三武止太乃女之己登曾　　　　　　　　　　　以乃知那利計留
歌２４　　今ははや恋しなましを相みむと、たのめしことぞ命なりける　　今となっては速やかに恋していればよかったのに、互いに逢おうと期待する思いこそが、今では寿命なのですよ。２行目と３行目の間に約５分の、また左端に約６分の料紙の継足し箇所が在り。東京国立博物館蔵	恋しなましを；「しな」は接尾語。動詞の連用形に添えて〇〇の折、〇〇しがけに。「まし」は助動詞。〇〇したらよかったのに。「を」は助詞。己の願望の強調を表す。「恋死なましを」とする説もある寿命；生きる力、生き甲斐。
４寸５分×３寸７分	まてみつしほのながれ　　　　ひるまをあひがたみ　　　　　みるめのうらは　　　　　　　よるを　　　　　　　　　　こそ使用字母　　　　　　　　　　　　　　万弖身川之保乃奈可礼　　　　　　比留万遠安比可多三　　　　　　　　身留女乃宇良盤　　　　　　　　與留遠　　　　　　　　　　　　　己曾
歌２６　満つ汐の流れ干るまをあいがたみ、みるめの浦は夜をこそまて滿汐が引いて干潟となるまでの間は逢い難いので、顔合わせの為の浦は潮干となる夜をこそ待ってするものですよ。行の右端約７分及び左端約１寸１分に料紙の継紙部分在り。	参考（桂宮本）「みつしほのなかれひるまをあひかたみ、みるめの浦によるをこそまて」しほひ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、潮干；干潮。引き潮となって浦を歩くことができる状態
４寸３分×３寸7分	こころをぞわりなきものとおもひぬる　　　　　　　　　みるものから　　　　　　　　　　や　　　　　　こひしかる　　　　　　　　　　　　べき使用字母古々露遠曾和利奈支毛乃止於无比奴留　　　　　　　　　　　　　美留毛能可良　　　　　　　　　　　　　　也　　　　　　　　己悲之可留　　　　　　　　　　　　　　　　部支
歌２７　　心をぞ理無き物と思ひぬる、見る物からや恋しかるべき　　わきま　　　　心と云うものはいかにも弁えの悪いものであると思ってしまう、見る物によっては恋もそうあるのが当然なことだよ。行の左端約１寸２分に料紙の継紙部分在り。	参考（桂宮本）「心をぞわりなき物と思ひぬる、見物からや恋しかるべき」見る物；夫婦の契りを交わすもの　　　、見る物；好奇心をそそる物などを見ること見る物；見る価値の有る物　　　　　　、などがあるがどれも当てはまってそれぞれニュアンスが変わる。

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升色紙

　清書用１冊６２７０円（税込）

清書用　雲母紙１

朽葉色

清書用　雲母紙２

薄藍色

清書用　雲母紙３
しろいろ　　　　　
素色（ﾍﾞｰｼﾞｭ）

　ページ

練習用　30枚入

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ハクビ製清書用臨書用紙として制作している本品は、刷毛にてボカシを入れたもので、雲紙風にあつらえたものです。
手作り製品の為、製作途中で発生する色むら､刷毛むら、汚れ、キズ等僅かの違いで規格外となったものを特価提供しております。程度はピンからキリまで御座いますが､中には見た目殆ど変わらないものも含まれている場合も御座います｡
溪雨資料館にて”一部やや難あり”のものを　３１９０円（税込）でお分け致しております。数に限りが御座いますのでご了承ください。
正規品の清書用については､お近くの書道用品店でお求めになれます｡
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ご注文は　ＴＥＬ（086‐943‐8727）、又はにて

４寸２分×３寸６分	ヽ　　　　　　　　　　　　　　ふゆながらそらより花のち　　古　　　りくるはくものあな　　たははるにやあるらん　　　うき身にはけぶりなるともきかなくにそらにかくるることのはかなさ使用字母ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　布由奈可良曾良與利花乃知　　　　古　　　　　利久留八　久毛乃安那　　　太八々留爾也安留良无　　　　宇支身耳八遣不利奈留東毛幾可那久仁曾良仁可久留々　　　　　　　　　己止乃波可那左
古　ヽ　；藤原定家の校合と集付け（古今和歌集）　　　　　　　　歌１９　冬ながら空より花の散り来るは、雲の彼方は春にやあるらん　まだ冬だというのに空から花が舞い落ちてくると云う事は、雲のずっと向こうの方ではもしや春になっておるのだろうか。歌４０　　憂き身には煙なるともきかなくに、空に隠るることのはかなさ　　辛いことの多い身の上には跡形もなく消え去る事さへ出来ないのに、（その様に思うことさへ）空に隠れるがごとくにあっけなく空しいものですね	参考（桂宮本）「冬ながら空より花の散り来るは、雲の彼方は春にやあるらん」「憂身には煙なれともきえなくに、空にかくるる事のはかなさ」
４寸３分×３寸６分	かはなぐさといふだ　　　　　　　　　　　いをヽ　　　　　　　　　古むばたまのゆめに　　　なにかはなぐさまむ　　　　　　　　うつつに　だにもあかぬ　　　　　　　　　こころを使用字母　　　　　　　可者那久左止以不太　　　　　　　　　　　　　　意遠ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　古武八多万乃由女耳　　　　　　　那二可者那久左万武　　　　　　　　　　　宇川々耳太二毛安可奴　　　　　　　　　　　　　己々露遠
「かはなぐさ」といふ題を歌２１　むば玉の夢になにかはなぐさまむ、うつつにだにもあかぬ心を夜中見る夢に少しは慰められる、現実さへも巧くゆかないこの思いを！五島美術館蔵	参考（古今和歌集・物名）「かはなぐさ　うばたまの夢になにかはなぐさまん、うつつにだにもあかぬ心を」
４寸５分×３寸９分（薄藍色）	恋ヽ　　　　　　　　　古むしのごとこゑに　　　たててはなかねども　　　なみだのみこそした　　　　　　　　　にながる　　　　　　　　　　　　れ使用字母　　　　　　　恋ヽ　　　　　　　　　　　　　古武志乃己止己恵二　　太天々者那可年止无　　奈三多乃美己曾之太　　　　　　　　　　二奈可留　　　　　　　　　　　　　　　連
恋歌２２　　虫のごと声にたてては泣かねども、涙のみこそ下に流るれ　（どんなに悲しくとも）虫の様に声に出しては泣かないけれども、涙だけはどうしようもないから、そっと流れ落すのだよ。
４寸４分×３寸７分（素色）	のみもなき　　　　　　　　　　わたる　　　　　　　　　　　　　かなヽ　　　　　　　　　ひとをおもふこころ　　　　　　　はかりにあらねども　　　　　　　　　　くもゐに使用字母　　　　　　　　　　　　　乃三毛那支　　　　　　　　　　　　　和多留　　　　　　　　　　　　　　　　　　　可奈ヽ　　　　　　　　　　　　　　比止遠於无不己々呂　　　　　　　　者可利二安良年止无　　　　　　　　　　　　　　　久毛為二
歌２３　　人を思う心は雁にあらねども、雲井にのみもなき渡るかな　人を思う心は雁には無けれども、遠くはるかに離れた処にだけでも私の代わりに泣きながら飛んで行ってくれているのだろうか。行の左端約１寸２分に料紙の継紙部分在り。
４寸３分×３寸７分（薄藍色）	いまははやこひしな　　　　　ましをあひみむとたのめしことぞ　　　　　　　　いのちなりける使用字母以万者々也己悲之那　　　　　　末之遠安比三武止太乃女之己登曾　　　　　　　　　　　以乃知那利計留
歌２４　　今ははや恋しなましを相みむと、たのめしことぞ命なりける　　今となっては速やかに恋していればよかったのに、互いに逢おうと期待する思いこそが、今では寿命なのですよ。２行目と３行目の間に約５分の、また左端に約６分の料紙の継足し箇所が在り。東京国立博物館蔵	恋しなましを；「しな」は接尾語。動詞の連用形に添えて〇〇の折、〇〇しがけに。「まし」は助動詞。〇〇したらよかったのに。「を」は助詞。己の願望の強調を表す。「恋死なましを」とする説もある寿命；生きる力、生き甲斐。
４寸５分×３寸７分	まてみつしほのながれ　　　　ひるまをあひがたみ　　　　　みるめのうらは　　　　　　　よるを　　　　　　　　　　こそ使用字母　　　　　　　　　　　　　　万弖身川之保乃奈可礼　　　　　　比留万遠安比可多三　　　　　　　　身留女乃宇良盤　　　　　　　　與留遠　　　　　　　　　　　　　己曾
歌２６　満つ汐の流れ干るまをあいがたみ、みるめの浦は夜をこそまて滿汐が引いて干潟となるまでの間は逢い難いので、顔合わせの為の浦は潮干となる夜をこそ待ってするものですよ。行の右端約７分及び左端約１寸１分に料紙の継紙部分在り。	参考（桂宮本）「みつしほのなかれひるまをあひかたみ、みるめの浦によるをこそまて」しほひ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、潮干；干潮。引き潮となって浦を歩くことができる状態
４寸３分×３寸7分	こころをぞわりなきものとおもひぬる　　　　　　　　　みるものから　　　　　　　　　　や　　　　　　こひしかる　　　　　　　　　　　　べき使用字母古々露遠曾和利奈支毛乃止於无比奴留　　　　　　　　　　　　　美留毛能可良　　　　　　　　　　　　　　也　　　　　　　　己悲之可留　　　　　　　　　　　　　　　　部支
歌２７　　心をぞ理無き物と思ひぬる、見る物からや恋しかるべき　　わきま　　　　心と云うものはいかにも弁えの悪いものであると思ってしまう、見る物によっては恋もそうあるのが当然なことだよ。行の左端約１寸２分に料紙の継紙部分在り。	参考（桂宮本）「心をぞわりなき物と思ひぬる、見物からや恋しかるべき」見る物；夫婦の契りを交わすもの　　　、見る物；好奇心をそそる物などを見ること見る物；見る価値の有る物　　　　　　、などがあるがどれも当てはまってそれぞれニュアンスが変わる。